背景
円分多項式 を考え、その因数として などの形の式がでてきます。これを と置いて簡単にしようとしました。すると を で表す問題が生じます。この問題からチェビシェフ多項式がでてきました。
ニュートンの恒等式
とし、
のときをで表すことを考えます。これはニュートンの恒等式の方法で解けます。
は
の解です。よって
これを足すと
また元の2つの式にをかけたものを足すと
同様に
という漸化式が得られます。
とすればすべての場合について成り立ちます。実際
と考えれます。
この式は とおけばチェビシェフ多項式の漸化式になります。実際
とおき、 とおけば となります。
以下はこの漸化式を解いた多項式の係数を表にしたものです。
これより という形で表されることが分かります。ただしのときだけ別でです。
漸化式からが満たす関係式を求めます。
これを足すと0になるので係数比較より
という関係が成り立ちます。この関係式はパスカルの三角形を表す式とほぼ同じです。先ほどの表の二段ずれている部分を一段にすると
となり、右端を2にしたパスカルの三角形になります。これは以下のパスカルの三角形に、一段上の行を右にずらして足すという操作をしたものになります。
なので一つ前の表の n 行 k 列目の数字は
となります。これを一段ずつずらしたものが、で
となります。よって の一般項は
となります。この表現ではのときとなることもカバーしています。これを書き下すと
となります。ただし のとき となります。この式をみるとまた別の表現
が見えます。これものときだけ例外となります。
指数表現
漸化式を特性方程式を使ってときます。
並進演算子を次のように定義します。
これを用いると漸化式 は
と表せます。この問題は固有値問題の考え方でとけます。ここである実数を用いてとなるような固有関数 を考えます。の解は なので がの固有関数です。
の解はを満たすを固有値として持つ固有関数の線形結合で表されます。
の解は
なのでの線形結合を初期値が一致するように作るとが求まり
となります。
単にをで表すとになるので が上の式になるとも考えられます。
もう一つの表現
チェビシェフ多項式のwikiページにはまた別の表現がのっています。今回ので表すと
となります。この表現は以下のようにして導けます。
とおきます。すると
よって
2つの項を二項展開すると、一つ飛ばしで足されるので
となります。
結果
とおき
をの多項式で表すと
といろいろな表現ができる。
をの多項式で表す
円分多項式でとおくと、やという式がでてきます。これをの多項式で表すことを考えます。の係数を次数が低いほうから並べると以下の表のようになります。ただしの位置を2ではなく1としています。これはのはじめの1を表しています。
この表を上から足していった表がの係数になります。
このようにパスカルの三角形がダブってるような数列になります。これを数式で表すと
とおき
となります。のの次数は偶数のみか奇数のみなので、
もう一つよく出てくる項
も係数の数字は変わらず奇数次の項にマイナスをつけるだけです。
感想
表と表記法
今回の研究で思ったのは、表をみて考えたほうが速いし分かりやすいということです。シグマ、二項係数、、床関数など標準の数学表記を使った表現の式変形を考えるのは大変です。
使われている数学の表記法が最適ではないという気もします。例えばという数列がと表現されたり、という数列がと表現されるのは、言いたいことと別の情報が含まれてる感じがします。
初項だけ半分で足すというパターン
今回という式でだけど初項だけということにするという扱いをすれば、統一的に表現できるという経験をしました。このようなパターンはフーリエ級数やの部分分数分解でもでてきます。これは円のn分割の分割線がちょうど実軸上にあるとき、複素共役がそれ自身になるため、二重カウントの防止のために1/2がでてきます。複素数の世界で対称なものを実数で表そうとしたことにより、対称性が崩れたと言えるでしょうか。