どこにも書いてないのでメモ.
$\textbf{Top}$を位相空間と連続写像の圏、$U:\textbf{Top}\rightarrow\textbf{Set}$を忘却関手とする。見やすさのため、位相空間はギリシャ文字で書く。終域の誘導位相について解説している。始域の誘導位相の話は何も書いていない。普遍性と表現可能関手の意味は知っているものとする。知らなかったら$[3]$とかを観てね。
$( \xi_i )_{i\in I}$を位相空間の族、$X$を集合としたとき、写像の族$(U(\xi_i)\stackrel{f_i}{\longrightarrow}X)_{i\in I}$のことを$U$-structured sinkという。
$U$-structured sink$(U(\xi_i)\stackrel{f_i}{\longrightarrow}X)_{i\in I}$に対して、$\textbf{Top}$から$\textbf{Set}$への関手$\Psi$を
\begin{equation}
\Psi\coloneqq \Big\{(g,(m_i)_{i\in I})\in \text{Map}(X,U(\cdot))\times\prod_{i\in I}\text{Hom}_\textbf{Top}(\xi_i,\cdot)\Bigm| (\forall i\in I)[g\circ f_i=U(m_i)]\Big\}:\textbf{Top}\rightarrow\textbf{Set}
\end{equation}
と定める。射のほうは、$f\in\text{Hom}_\textbf{Top}(\alpha_1,\alpha_2) $としたとき
\begin{array}{rccc}
\Psi(f): &\Psi(\alpha_1) &\longrightarrow& \Psi(\alpha_2)&;& \\
& (g,(m_i)_{i\in I}) & \longmapsto & \Psi(f)(g,(m_i)_{i\in I})\coloneqq(U(f)\circ g,(f\circ_\textbf{Top}m_i)_{i\in I}) &;&
\end{array}と対応させる。この関手の表現対象を、$(U(\xi_i)\stackrel{f_i}{\longrightarrow}X)_{i\in I}$の終リフトという。つまり、普遍性
\begin{equation}
\text{Hom}_\textbf{Top}(\Gamma,\cdot) \stackrel{\big((U(\cdot)\circ v,\,((\cdot)\circ_\textbf{Top} u_i)_{i\in I})\big)_{z\in\textbf{Top}}}{\cong}
\Big\{(g,(m_i)_{i\in I})\in \text{Map}(X,U(\cdot))\times\prod_{i\in I}\text{Hom}_\textbf{Top}(\xi_i,\cdot)\Bigm| (\forall i\in I)[g\circ f_i=U(m_i)]\Big\}\;\big(\text{s.t. }(v,(u_i)_{i\in I})\in \Psi(\Gamma)\big)
\end{equation}
を満たす$(\Gamma,v,(u_i)_{i\in I})$のこと。
$U$-structured sink$(U(\xi_i)\stackrel{f_i}{\longrightarrow}X)_{i\in I}$に対して、$(\Gamma,\textcolor{red}{\text{id}_X},(u_i)_{i\in I})$を終リフトにする$\Gamma$と$(u_i)_{i\in I}$が一意に存在する。(※同型を除かなくても一意に存在する)。このとき、$(\text{id}_X,(u_i)_{i\in I})\in \Psi(\Gamma)$なので$U(\Gamma)=X,u_i=U(u_i)=f_i$になる。この$\Gamma$を「$(U(\xi_i)\stackrel{f_i}{\longrightarrow}X)_{i\in I}$に誘導される終位相(終域側の誘導位相)」という。
$f_i$という方法で集合$X$の中に位相空間$\xi_i$を埋め込んでも、$\xi_i$たちを壊さない位相を$X$に入れられると言ってる(かつ非自明な位相的関係を満たさないものが入る)。$f_i$って単射じゃなくてもいいから、埋め込みって言い方は微妙だけど…
終位相の定義を言い換えてみよう。
$U$-structured sink$(U(\xi_i)\stackrel{f_i}{\longrightarrow}X)_{i\in I}$を任意に固定する。次の二つは同値。
(↑2では$f_i\in\text{Hom}_\textbf{Top}(\xi_i,\Gamma)$とあるように$f_i$は連続なので、連続写像の合成は連続になることから「$g$が連続$\Longrightarrow$任意の$i\in I$に対して$g\circ f_i$が連続」も自動的に成り立つ)
普遍性を愚直に書き下せばよい。まず、1は以下と同値。
$U$は忠実なので、$h$は存在すれば自動で一意になる。また、$f_i,\,g,\,g\circ f_i$がそれぞれ$u_i,\,h,\,m_i$に持ち上がるならば、$U$は忠実なので自動で$h\circ_\textbf{Top} u_i=m_i$になる。なので消しても良い。今、ドメインとコドメインを固定したとき、$U$は射について定値関数$U(f)=f$になっている。よって、明らかに同値。
$\Gamma$の具体的な構成は$[2]$とかを参照してね。ちなみに、$\textbf{Top}$だけでなく収束空間と連続写像の圏$\textbf{Conv}$や、一様空間の圏と一様連続写像の圏$\textbf{Unif}$、可測空間と可測写像の圏$\textbf{Meas}$、擬距離空間と非増加写像の圏$\textbf{PsMet}$、前順序集合と単調写像の圏$\textbf{Preos}$、2項関係代数と関係準同型の圏$\textbf{Rel}(2)$でも一意に存在することが知られている。また、位相群と圏$\textbf{TopGrp}$を群の圏$\textbf{Grp}$への忘却による$\textbf{Grp}$-具体圏とみたときも同じことが言える。位相$\mathbb{K}$-ベクトル空間の圏$\textbf{TopVect}_\mathbb{K}$を$\textbf{Vect}_\mathbb{K}$-具体圏と見たときも言える$[1],[4]$. また、$\textbf{Top}^\text{op}$を$\textbf{Set}^\text{op}$-具体圏とみたときも一意に存在し、これはまさに始位相の定義に一致する。一般に、$\mathbfcal{C}$を$\mathbfcal{S}$-具体圏と見たとき一意に存在するならば、$\mathbfcal{C}^\text{op}$を$\mathbfcal{S}^\text{op}$-具体圏と見たときも一意に存在する。(ただし$\mathbfcal{C},\mathbfcal{S}$は局所小)
このように、任意の$U$-structured sinkに対して$\text{id}_X$を普遍射とする終リフトが一意に存在する$\mathbfcal{S}$-具体圏を$\text{Top}$似$\mathbfcal{S}$-具体圏(topological concrete category)という。このとき、忘却関手のファイバーは完備束になる(ある集合に入る開集合系全体のクラスが完備束になるのと同様)。
需要はあるの‥?