平面の重心座標系における距離の公式を紹介します。
この記事は重心座標について既に知っている人向けです。
重心座標そのものについての説明は行いません。
重心座標系の基準となる三角形を
重心座標が正規化されている必要がある箇所はその旨を記載します。
記載がなければ正規化された重心座標である必要はありません。
この記事では、座標は原則として
点
座標に対して、ベクトルと同様の演算(和と定数倍)を定義します。
つまり、
2点
まずは私が基本の形だと思っている式から載せます。
はい、長いですね。
ですが、次のように見ればそれほど難しくはありません。
座標
また、行列
で定義します。
すると、fmlBasicの分子は
なお、
その他の距離の公式は円の式を利用したもので、正規化された重心座標を使います。
まず、正規化された重心座標について説明します。
無限遠点ではない点
そこで、
このように、
円の式を利用した距離の公式について、まずは一般の円の場合です。
ここで使う円の式は実円または虚円または点円を表すものならば何でもいいので、公式はいくらでも作れることになります。
(実円・虚円・点円などの広義の円に関しては下の方に
付録
を書いたので参考にしてください。)
とします。
が成り立つので、この値を
このとき、距離の公式は次のようになります。
次に、基準三角形によって決まる円の式を使ってfmlGCの距離の公式の具体例を求めてみます。
点
です。
です。
広義の円という用語は一般には反転幾何でよく用いられます。
しかし、ここでは射影幾何における広義の円を考えるので、混同しないようにしてください。
この記事で説明する広義の円は反転幾何に出てくる広義の円とは少し異なります!
とします。つまり
座標
行列
i.の実円錐曲線は通常の円錐曲線で楕円・放物線・双曲線があります。
ii.の虚円錐曲線は平面上に図形は現れず空集合になります。ただし、座標が虚数になる虚点というものを考えれば、式を満たす虚点の集合として図形が存在することになります。
iii.の1点は実平面上ではただの1点です。ただし、虚点の範囲まで考えれば複素共役な2本の虚直線になります。
iv.の2直線は、交差する2直線・平行な2直線・通常の直線と無限遠直線を合わせた2直線という3種があります。
v.はiv.の2直線が近づいて同じ直線になったものと思ってください。つまり2本の直線が重なって1直線になったものです。
この記事で説明する広義の円は反転幾何に出てくる広義の円とは少し異なります!
2つの虚円点を通る広義の円錐曲線を(射影幾何における)広義の円といいます。(この名称や定義が一般的に使用されているかどうかはわかりませんが、私はそう呼んでいます。)
その条件を整理すると、
を満たすような広義の円錐曲線
広義の円には次の5種類があり、広義の円錐曲線の5分類と対応しています。
i.の実円はいわゆる通常の円です。広義の円に対する言葉としての狭義の円がこの実円になります。
ii.の虚円は平面上に図形は現れず空集合になります。ただし、座標が虚数になる虚点というものを考えれば、式を満たす虚点の集合が存在します。
iii.の点円は平面上の1点です。これは円の半径が0になったものと考えてください。
iv.は円の半径が無限大になったものとみなせます。反転幾何においては直線が広義の円に含まれますが、射影幾何においては無限遠直線を含めた2直線になることに注意してください。
v.はiv.における"別の直線"が"同じ無限遠直線"になったものと思ってください。つまり無限遠直線2つが重なったものです。
ただし、
参考文献jkやftでは外接円の式を使用したfmlCircumcircleが距離の公式として載っており、どうやらこれが一般的なようです。
fmlCircumcircle以外にも距離の公式はいろいろと作れるということを紹介したくて今回この記事を書きました。