9

素微分友愛数は互いに素である簡単?な証明

227
1

なんかめっちゃ不安なので間違いがあれば言ってください...

前提知識

piを0から数えてi番目の素数とする。またqiは有理数とする。
n=i=0piqiと書けるとき、素微分Dを以下のように定義する。
D(n):=ni=0qipi


例えばD(840)なら、840=23315171なので、
p1=2,p2=3,p3=5,p4=7,p5=11,p6=13q1=3,q2=1,q3=1,q4=1,q5=0,q6=0
となるので
D(840)=840i=0qipi=840(32+13+15+17+011+013+017+)=840315+70+42+30210=840457210=1828
となります。
必要な知識はこれだけです。


もっと知りたい人:
素微分についての記事(数学を愛する会Wiki)

この記事を書く元となった記事
素微分友愛数となる相異なる自然数同士は互いに素

素微分友愛数

素微分友愛数というのは、以下を満たす自然数(n,m)の組のことです。
{n=D(m)m=D(n)

証明に必要な性質

pを素数とする
D(p)=1

p=p1と書けるので、定義より
D(p)=pi=0qipi=p(1p)=1


a,bは自然数とする
D(ab)=D(a)b+aD(b)

a,bの素因数分解が
a=i=0piqib=i=0piri
と表されるとする
ただしqi,riは整数とする。
定義に沿って計算すると、
ab=i=0piqi+riより、
D(ab)=abi=0qi+ripi=ab(i=0qipi+i=0ripi)=abi=0qipi+abi=0ripi=b(ai=0qipi)+a(bi=0ripi)=bD(a)+aD(b)


pを素数とし、nを自然数とする
D(pn)=npn1

帰納法で証明する
(i)n=1のとき左辺、右辺はそれぞれ
D(p1)=11p11=1
となり、成立。
(ii)n=kの時成立すると仮定する
つまり、ある自然数kで、
D(pk)=kpk1
が、成り立つと仮定する
すると、n=k+1の時、
D(pk+1)=D(ppk)=D(p)pk+pD(pk)=pk+pkpk1=pk+kpk=(k+1)pkとなり、n=k+1の時も成り立つ。
よって(i),(ii)から、全ての自然数nにおいて
D(pn)=npn1が成り立つ。


非負整数nに対し、
D(n)0
であり、特に、
D(n)=0となるnn=0,1のみである

n=i=0piqiと書けるとき、D(n)
D(n)=ni=0qipi
ここでn=0の時、D(n)=0となる。
n0の時、
全ての非負整数jに対してqj0より、もちろんpi>0なので
i=0qipi0
より、
D(n)=ni=0qipi0


D(n)=0となるには
全ての非負整数jに対してqj=0とならないといけない。
するとn
n=i=0piqi=i=0pi0=1
よって、D(n)=0となるn0,1のみである。

本題

素微分友愛数の性質

素微分友愛数である自然数n,mについては、以下のいずれかが成り立つ。

  1. n=m (素微分完全数)
  2. n,mが互いに素

ここでは素微分友愛数が互いに素になることを示したいので
nmとします。

nmが互いに素ではないと仮定します。
つまり、ある素数pと自然数a,bと素因数にpを持たない自然数n,mが存在して、
n=npam=mpb
とかけるとします。あと、baとしても一般性を失わないのでそうしておきます。
すると、D(n)=mより、公式を使っていくと、
mpb=D(npa)mpb=D(n)pa+nD(pa)mpb=D(n)pa+napa1mpba=D(n)+napmpbaD(n)=nap
となります。ここで、ba0より、左辺は整数です。
よって右辺のnapも整数なのでnapの倍数です。
しかし、npの倍数ではないので
apの倍数であると分かりました
なのでa=paとなる自然数aがあります。


ここでD(D(n))について考えましょう。
D(n)=D(npa)=D(n)pa+nD(pa)=D(n)pa+napa1=D(n)pa+napa=pa(D(n)+na)=pac
見やすくするためD(n)+na=cとしています。
一応ですが、定理よりD(n)0なのでcは非負整数です。
D(D(n))=D(pac)=D(pa)c+paD(c)=apa1c+paD(c)=apac+paD(c)=pa(ac+D(c))
そういえばD(D(n))=D(m)=nですから、
n=pa(ac+D(c))npa=pa(ac+D(c))n=ac+D(c)
ここで、c=D(n)+naより、
n=aD(n)+na2+D(c)n(1a2)=aD(n)+D(c)
おっと
ここで定理よりD(n),D(c)0
またaは自然数なのでa>0
よって右辺は非負です。
しかし左辺は、nが自然数なので1a2が非負でないといけません。
1a201a2
aが自然数なのでa=1と分かりました
ついでにa=pa=pと分かりました


ここから、さっきの式に代入して
n(1a2)=aD(n)+D(c)n(112)=D(n)+D(c)0=D(n)+D(c)
ここで定理よりD(n),D(c)0なので
D(n)=0,D(c)=0でないといけません。
D(n)=0となる自然数n1のみです。
よって
n=npan=1ppn=pp
です。


ん~これは興味深いですね。
なぜなら
m=D(n)m=D(pp)m=ppp1m=ppm=n
となり、nmという仮定に反しています。

これで示したかった定理を示すことができました!
おしまい

...


ちなみに

D(D(n))=nという仮定のみで
ゴリゴリ計算していくとどうなるでしょうか
とりあえずさっきと同じように
n=npa
とします。
D(n)=D(npa)=D(n)pa+napa1=pa1(D(n)p+na)=pa1c
今度はc=D(n)p+naとしました。
cは非負整数です。


D(D(n))=D(pa1c)n=D(pa1)c+pa1D(c)n=(a1)pa2c+pa1D(c)n=pa2((a1)c+pD(c))n=pa2(acc+pD(c))npa=pa2(acc+pD(c))np2=acc+pD(c)
ここでc=D(n)p+naより
np2=a(D(n)p+na)(D(n)p+na)+pD(c)np2=D(n)ap+na2D(n)pna+pD(c)np2=p(D(n)aD(n)+D(c))+na2na
なので
na2napの倍数です。
よってnpの倍数ではないので
a2a=a(a1)
より、a,a1が互いに素なことから

  1. apの倍数
  2. a1pの倍数

に限られます。


  1. の場合はさっきやって、これは素微分完全数に対応するのでした。

よって2. の場合が素微分友愛数になるはずです(多分)
a1=paとしましょう。a=pa+1です
するとc=D(n)p+n(pa+1)
つまりD(n)p+nap+nより、npと互いに素なのでcpと互いに素です。
ところで、
D(n)=pa1c=ppac
つまり
m=ppac
んんんんんんんんんんんんんんんん?
D(m)=D(ppac)=D(ppa)c+ppaD(c)=pappa1c+ppaD(c)=acppa+D(c)ppa=ppa(ac+D(c))=ppac
なので見やすくするためにac+D(c)=cとしました。
cは非負整数です。
D(D(m))=D(ppac)m=D(ppa)c+ppaD(c)m=pappa1c+ppaD(c)m=appac+ppaD(c)m=ppa(ac+D(c))ppac=ppa(ac+D(c))c=ac+D(c)
ここでc=ac+D(c)より
c=a(ac+D(c))+D(c)c=a2c+aD(c)+D(c)c(1a2)=aD(c)+D(c)
先ほどと同じ議論で、a=0,1です。
a=1だとさっきと同じくm=ppになるので、
a=0です。
すると、
a=1c=D(c)m=p0c=c=D(c)D(m)=p0c=c
となります。
つまり、
n=cm=D(n)=D(c)=c
です。また、
n=npと分かります。
なのでD(D(n))=nという仮定のみから定理2を証明することができました
だからなに

投稿日:220
更新日:222
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

Y.K.
Y.K.
110
6314
掛け算が苦手

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 前提知識
  2. 素微分友愛数
  3. 証明に必要な性質
  4. 本題
  5. ちなみに