ここでは東大数理の修士課程の院試の2017B03の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2017B03
代数の準同型
とおく。とする。
- の生成系のうち、個数が最小になるものを一つ挙げなさい。
- がの極大イデアルになり、局所化の極大イデアルが元生成されないような組を全て挙げなさい。
証明手法(任意)
- 初めにの元を
と分解する。ここにを代入するとになる。ここで右辺第一項はに関して奇数次の項、右辺第二項はに関して偶数次の項しかないから、のときである。よってである。 - 以上からである。一般にの極大イデアルによる局所化が正則局所環であるためには
であることが必要充分である。いまのクルル次元はである。よってに於けるヤコビアンは
であり、これがランクになるにはであることが必要充分である。以上から所望のはの形の組で尽くされている。