0

東大数理院試過去問解答例(2022B05)

255
0

ここでは東大数理の修士課程の院試の2022B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2022B05

集合
M:={(xzyw)M2(R)|xz+yw=1}
N:={YM2(R)|rankY=TrY=1}
をとり、写像
π:MN(xzyw)(xzxwyzyw)
を考える。
(1) M及びNπC級になるようなC級多様体の構造を持つことを示せ。
(2) M上の2次形式η:=dxdz+dydwを考える。このとき、η=πωなるN上の2次形式が一意的に存在することを示せ。
(3) G=GL2(R)とおく。ここでgG
Lg:NNYgYg1
に対応させる作用は推移的であることを示せ。また任意のgGについてLgω=ωであることを示せ。
(4) b>0に対して
S(b):={YN|Tr(YtYY2)b2}
と定義する。このとき積分S(b)ωを計算しなさい。

  1. まずここでMの開集合
    Ux={A=(ai,j)M|a1,10}Uy={A=(ai,j)M|a2,10}
    を取ったとき、(x,y,z)及び(x,y,w)Ux及びUyの座標系を定めている。ここで作用R×M
    R×MMr(xzyw)(rxzrrywr)
    で定義する。このときN=M/R×である。上記の開集合及びその上の座標系からNの座標系が誘導される。このNの座標系はMの座標系をπを通して誘導しているから、πC級写像になる。
  2. 2次形式ηR×の作用で不変であるからωが存在する。またπの全射性からωの一意性が従う。
  3. トレースの共役不変性からNの元は全て固有値0,1を持つから、Nの元は全て共役である。よって前半が従う。 次に写像
    Lg:MM(xzyw)(g(xy)tg1(zw))
    をとる。 このとき
    (πLg)ω=(Lgπ)ω=(πLg)ω=Lgπω=Lgη=η
    であるからωの一意性よりLgω=ωが従う。
  4. まず
    T(b):={(xz1w)M|bxwzb}
    とおく。ここで
    π:T(b)S(b)
    を考える。πによるT(b)の像は
    π(T(b))={(xzxwzw)S(b)}
    であり、S(b)π(T(b))は面積0であるから、所望の積分値はπ(T(b))上で計算すれば良い。またπ:T(b)π(T(b))は微分同相であるから、
    S(b)ω=T1(b)πω=T1(b)dxdz
    である。ここでT(b)の向きを適切に定めるとこの積分値は
    T1(b)dxdz=2b11+x2dx=2bπ
    である。
投稿日:202436
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中