ここでは東大数理の修士課程の院試の2022B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2022B05
集合
をとり、写像
を考える。
(1) 及びはが級になるような級多様体の構造を持つことを示せ。
(2) 上の次形式を考える。このとき、なる上の次形式が一意的に存在することを示せ。
(3) とおく。ここでを
に対応させる作用は推移的であることを示せ。また任意のについてであることを示せ。
(4) に対して
と定義する。このとき積分を計算しなさい。
- まずここでの開集合
を取ったとき、及びは及びの座標系を定めている。ここで作用を
で定義する。このときである。上記の開集合及びその上の座標系からの座標系が誘導される。このの座標系はの座標系をを通して誘導しているから、は級写像になる。 - 次形式はの作用で不変であるからが存在する。またの全射性からの一意性が従う。
- トレースの共役不変性からの元は全て固有値を持つから、の元は全て共役である。よって前半が従う。 次に写像
をとる。 このとき
であるからの一意性よりが従う。 - まず
とおく。ここで
を考える。によるの像は
であり、は面積であるから、所望の積分値は上で計算すれば良い。または微分同相であるから、
である。ここでの向きを適切に定めるとこの積分値は
である。