こんにちは,itouです.今回は数え上げ補題の証明の解説をします.
この記事ではデータを固定し,このデータに対し正則化補題を適用して得られるを1組とって固定します.(ただし対数をとったときに1以上であるようにとしておく)
また,を以下とします.
これはから作ったの部分集合族で,の情報をうまく引き出してくれているのです.
数え上げ補題はのアトムに対して,の元がに入る確率を与えるものです.しかし,そのように確立を計算できるアトムには条件があります.
数え上げ補題を適用可能なアトム
アトムの族のなす集合を
と分ける.ただし,であるのは任意のに対して
および
が成り立っているときと定める.
とおいた(上の関数であることに注意).
はの補集合とする.
が数え上げ補題を適用可能なアトムたちです.かなり複雑な定義というか,ランダムに見えるようにしたいから頑張って条件を作ったという感じです.
以下のように定義しておきます.
うれしいことに,適用不可能なアトムたちは少ないことが分かります.
数え上げ補題を適用不可能なアトムたちの割合は小さい
(証明略)
さて,数え上げ補題のステートメントを見てみましょう.
数え上げ補題
のみに依存する関数が存在して,以下が成立する.各点でであれば,の任意の元に対して
が成り立つ.ただし,の場合はとする.
左辺
はの元がアトムに属する確率だと解釈できます.一方,右辺の
はの元がに属するという条件の下でアトムに属する確率を表し,数え上げ補題は近似式
が成立することを主張します.これは事象の独立性を言っています.一般に,事象の族が独立なとき,
でした.
つまり
「の元がアトムに属する確率」
は
「ごとにに分けてからに入るという事象に分割し,それらが独立であるとして計算した確率」
で近似できるということです.
これは正則化補題によってうまい分割構造を与え,ランダムグラフにみえるようにした効果が表れています.
以下,の元を固定します.このとき,各について以下のように定義します.
これらについての道具を用意します.
について
に対して以下が成り立つ.
(1)任意のに対して,.
(2)のとき,.
(3)のとき,
(4)任意のに対して,
ある関数が存在して,であれば
であることを示したいです.
さて,に対して,に対応するの部分集合をと略記する.であるとき,任意のに対してであることに注意すると,下の図式を可換にするが一意に存在することがわかる.
に対して
などに注意して,がわかるので,対応するからへの写像をと表す.
1つ目の記事でファン・デル・ヴェルデンの定理をグラハム・ロスチャイルドの定理に一般化して示しました.同様に,数え上げ補題を一般化を経由して示します.
束
組が上の束であるとは,が有限集合,であり,任意のに対してはは上に制限すると単射であり,が成り立ち,部分集合に対してが成り立つときをいう.
の次元(または束の次元)をと定義する.
表記
に対して,とする()
また,に対してと略記する.
数え上げ補題の一般化
を上の束とし,とする.このとき,のみに依存する関数が存在して,以下が成立する.各点でであれば,
が成り立つ.ただし,とする.