ここでは東大数理の修士課程の院試の2025B02の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2025B02
可換環
を取る。
- を体の直積として表しなさい。
- を自然な射影とする。そして上で生成されるの部分代数をとおき、とおく。の像はに含まれていることを示し、加群としての剰余を巡回群の積として表しなさい。
- 単数群を巡回群の積として表しなさい。
- まずのの像はである。よってである。ここでに対して
を満たす一方、かつを満たす整数を任意に取ったとき、
と置けば、これはかつを満たす。以上からのに於ける像は
である。いま自然な同一視を考え、同型
を取ったとき、この同型によるの像は
に移される。よって
が従う。 - は環の単射であるから、はの単数群、つまりに含まれる。(2)で求めたの像の元のみたす条件から、の像としてあり得るのはのみである。これらは実際の像になっている。よって
であるから、