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線形二項間漸化式の解とその応用

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以前, 漸化式で遊んでいたときに作ったものをまとめてみました.

なお, 本記事が初投稿ですので, おかしな箇所などありましたら遠慮なく教えてください.

前準備

$\mathbb{N}:=\mathbb{Z}^+$

$f,g,h$$\mathbb{N}$を定義域にもつ関数とする.

空和は$0$, 空積は$1$とする.

 

線形二項間漸化式

数列$\{a_n\}_{n\in\mathbb{N}}$
\begin{align} a_{n+1}=g(n)a_n+f(n)\,\,\,(\forall n\in\mathbb{N})  \end{align}
を満足するとき,
\begin{align} a_n &=a_1\!\left(\prod^{n-1}_{k=1}g(k)\right)\!+\sum^{n-1}_{k=1}f(k)\hspace{-2.3mm}\prod^{n-1}_{j=k+1}\hspace{-2.3mm}g(j) \\ &=\left(\prod^{n-1}_{k=1}g(k)\right)\!\left(a_1+\sum^{n-1}_{k=1}\frac{f(k)}{\prod^k_{j=1}g(j)}\right)  \end{align}
但し, 最右辺は$0$除算とならない場合のみ有効である.

天下り的には明らか.

 

線形三項間漸化式

上手くいけば二項間漸化式に変形できるという話です.

\begin{align} &a_{n+1}=g(n)a_n+f(n)\,\,\,(\forall n\in\mathbb{N})\\ &\Longrightarrow a_{n+2}=\big(h(n)+g(n+1)\big)a_{n+1}-h(n)g(n)a_n+\big(f(n+1)-h(n)f(n)\big)\,\,\,(\forall n\in\mathbb{N})\overset{ }{ } \end{align}

$a_{n+2}-h(n)a_{n+1}$を計算すればよい.

 

応用問題

最後に, Mathお 様の記事「 自作漸化式 」に載っている問題を解いてみます. なお, どうでもいい途中式は端折っています

(問題)

数列$\{a_n\}_{n\in\mathbb{N}}$
$$ \begin{cases} a_1=2\\ \displaystyle a_{n+1}= 1+\frac{n(n+2)}{a_n} & (\forall n\in\mathbb{N}) \end{cases} $$
を満足するとき, 一般項を求めよ.

(解)

$$ \begin{cases} \,b_1=1 & (\text{初項は任意})\\ a_{n}=b_{n+1}/b_n & (\forall n\in\mathbb{N})\overset{ }{ } \end{cases} $$
なる数列$\{b_n\}_{n\in\mathbb{N}}$を取ると
\begin{align} \frac{b_{n+2}}{b_{n+1}} &=1+\frac{n(n+2)}{b_{n+1}/b_{n}}\\ b_{n+2} &=b_{n+1}+n(n+2)b_n\overset{ }{ } \end{align}
この漸化式は [定理2] について
$$ h(n)=n+2,\,\,g(n)=-n $$
とすれば同じ形となるから
$$ b_{n+1}=-nb_n+\frac{3}{2}(n+1)! $$
よって [定理1] により
$$ b_n=\frac{1}{8}(n-1)!(6n+3+(-1)^n) $$
従って
$$ a_n=\frac{n(6n+9-(-1)^n)}{6n+3+(-1)^{n}} $$

投稿日:2023918
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投稿者

nanaSi
nanaSi
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「満足する」(=「満たす」)は語呂が好きなので使っているだけです. 特に深い意味はありません.

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