東大数理の院試(2025年度専門B問10)の解答です.
自分が作った解答は
ここ
に置いてあります.
(東大数理2025年専門B問10)
を複素平面内の単位円板とする.は上正則かつ単射であるとする.各に対しとおく.以下の問に答えよ.
- のを中心とするテイラー展開をとする.このときの面積をとを用いて表せ.
- 像が凸集合ならば,各に対しも凸集合であることを示せ.
(1)
とすると,2005年度専門B問9と同様にして答えは
(2)
を任意に固定する.と,線分上の点を任意に取る.の凸性からである.これとの単射性から,なるが一意に存在する.となることを示せば良い.一般性を失わずとして良い.
とおく.のカッコ内はの凸性からの元であり,またの単射性からは well-defined である.はからへの正則関数であってを満たすから,Schwarzの補題より上でが成り立つ.よって
(補足)
(2) の証明は P.L.Duren, Univalent Functions, Springer の Theorem 2.11による.