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大学数学基礎解説
文献あり

【備忘録/用語集】冪級数の収束半径

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関数項級数

以下,ECの部分集合とし,fn:EC (n=0,1,2,)を複素関数の列とする。
また,g:ECを複素関数とする。

(関数項級数の各点での収束と絶対収束)
  • 各点zEで級数n=0fn(z)が収束するとき,関数項級数n=0fnE上各点で収束するという。
    このとき,新たに複素関数
    f:EC;zn=0fn(z)
    が定まる。
    これを関数項級数n=0fnの和といい,級数本体と同じ記号でf=n=0fnと記す。
  • 各点zEで級数n=0|fn(z)|が収束するとき,関数項級数n=0fnE上各点で絶対収束するという。

関数項級数n=0fnE上各点で絶対収束するならば,それはE上各点で収束する。

zEとし,ϵ>0が任意に与えられたとする。

n=0|fn(z)|が収束することから,ある番号Nが存在し,m,nNかつm>nを満たすような任意の番号m, nに対して
|fn+1(z)|+|fn+2(z)|++|fm(z)|<ϵ
が成り立つ。(コーシーの収束判定条件)

したがって,このようなm, nに対して
|fn+1(z)+fn+2(z)++fm(z)||fn+1(z)|+|fn+2(z)|++|fm(z)|<ϵ
が成り立つ。(三角不等式)

これは級数n=0fn(z)が収束するということに他ならない。(コーシーの収束判定条件)

(関数項級数の一様収束)

任意に与えられたϵ>0に対して,ある番号Nが存在して,任意のzEnNを満たすような任意の番号nに対して,
|(k=0nfk(z))g(z)|<ϵ
が成り立つとき,関数項級数n=0fnEgに一様収束するという。

  • 級数n=0supzE|fn(z)|が収束するとき,関数項級数n=0fnE上各点で絶対収束する。
  • f=n=0fnと置くと,n=0fnfへの収束はE上一様である。
[絶対収束]

zEについて,|fn(z)|supzE|fn(z)| (n=0,1,2,)が成り立つことから従う。

[一様収束]

n=0supzE|fn(z)|が収束することから,任意のϵ>0に対して,ある番号Nが存在して,nNを満たすような任意の番号nに対して,
k=n+1supzE|fk(z)|<ϵ
が成り立つ。

このようなnと任意のzEに対して,
|k=n+1fk(z)|k=n+1|fk(z)|k=n+1supzE|fk(z)|<ϵ
となるが,これはn=0fnEfに一様収束するということに他ならない。

冪級数

原点を中心とした冪級数

an (n=0,1,2,)を複素数とし,関数項級数として冪級数n=0anznを考える。

n=0anznがあるz00で収束したとすると,それは任意の0r<|z0|に対し,閉円盤|z|r上絶対かつ一様に収束する。

E={zC|z|r}と置く。

n=0anz0nが収束することから,limnanz0n=0である。

特に,anz0nは有界で,あるM>0が存在し,すべての番号nに対して|anz0n|Mが成り立つ。

さて,zEとすると,|z|r<|z0|より|z/z0|r/|z0|<1である。

したがって,任意のzEと任意の番号nに対して,
|anzn|=|anz0n||zz0|nM(r|z0|)n
が成り立つ。

よって,
supzE|anzn|M(r|z0|)n
である。

これにより級数n=0supzE|anzn|が収束することが分かり,前命題よりn=0anznE上絶対かつ一様に収束する。

λ=lim supn|an|n (0λ+)と置く。

  • 0<λ<+のとき,n=0anzn|z|<1/λの各点で絶対収束し,|z|>1/λの各点で発散する。
  • λ=0のとき,n=0anznCの各点で絶対収束する。
  • λ=+のとき,n=0anznCの各点で発散する。
0<λ<+の場合]

|z|<1/λとする。

実変数xについての関数1xλ+xx=0で連続なので,十分小さいあるδ>0に対して
|z|<1δλ+δ
が成り立つ。

一方,limnsupmn|am|m=λより,十分大きいある番号Nに対して
supmN|am|m<λ+δ
が成り立つ。

したがって,mNのとき,
|amzm|=|am||z|m<(λ+δ)m(1δλ+δ)m=(1δ)m
である。

これにより,級数n=0|anzn|が収束することが分かる。

次に,|z|>1/λとする。

実変数xについての関数1λxx=0で連続なので,十分小さいあるδ>0に対して
|z|>1λδ
が成り立つ。

一方,limnsupmn|am|m=λより,無数の番号mに対して
|am|m>λδ
が成り立つ。
(なぜなら,もしそのようなmが有限個しかなく,ほとんどすべてのmについて|am|mλδであったとすると,十分大きいすべての番号nに対してsupmn|am|mλδとなってしまうからである。)

このような無数の番号mに対して
|amzm|=|am||z|m>(λδ)m(1λδ)m=1
となるので,級数n=0anznは収束しない。

λ=0の場合]

zCとする。

アルキメデスの原理より,十分小さいあるδ>0に対して
|z|<1/δ1=1δδ
が成り立つ。

一方,limnsupmn|am|m=0より,十分大きいある番号Nに対して
supmN|am|m<δ
が成り立つ。

したがって,mNのとき,
|amzm|=|am||z|m<δm(1δδ)m=(1δ)m
である。

これにより,級数n=0|anzn|が収束することが分かる。

λ=+の場合]

zCとする。

アルキメデスの原理より,十分大きいあるM>0に対して
|z|>1M
が成り立つ。

一方,|am|mが非有界なので,無数の番号mに対して
|am|m>M
が成り立つ。

このような無数の番号mに対して
|amzm|=|am||z|m>Mm1Mm=1
となるので,級数n=0anznは収束しない。

一般の点を中心とした冪級数

z0を複素数とし,冪級数n=0an(zz0)nを考える。

n=0an(zz0)nがあるz1z0で収束したとすると,それは任意の0r<|z1z0|に対し,閉円盤|zz0|r上絶対かつ一様に収束する。

冪級数n=0anwnw0=z1z0で収束するので,任意の0r<|w0|に対し,級数n=0sup|w|r|anwn|は収束する。
(原点を中心とした冪級数についての対応する命題の証明部分を参照せよ。)

ここで
sup|zz0|r|an(zz0)n|=sup|w|r|anwn|
であることに注意すると,級数n=0sup|zz0|r|an(zz0)n|もまた収束することが分かる。

したがって,閉円盤|zz0|r上でn=0an(zz0)nは絶対かつ一様に収束する。

λ=lim supn|an|n (0λ+)と置く。

  • 0<λ<+のとき,n=0an(zz0)n|zz0|<1/λの各点で絶対収束し,|zz0|>1/λの各点で発散する。
  • λ=0のとき,n=0an(zz0)nCの各点で絶対収束する。
  • λ=+のとき,n=0an(zz0)nCの各点で発散する。
(収束半径)

上の命題における1/λのことを冪級数n=0an(zz0)nの収束半径という。
ただし,λ=0の場合には収束半径は無限大,λ=+の場合にはゼロと約束する。

参考文献

[1]
高橋礼司, 複素解析, 基礎数学, 東京大学出版会, 1990
投稿日:202427
更新日:202428
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  1. 関数項級数
  2. 冪級数
  3. 原点を中心とした冪級数
  4. 一般の点を中心とした冪級数
  5. 参考文献