0
大学数学基礎解説
文献あり

ハウスドルフでない位相空間の例

44
0
$$$$

本稿では,ハウスドルフでない位相空間の例として,実数全体の集合$\mathbb{R}$に特殊な位相を入れた空間を考える.

ハウスドルフ空間の定義

ハウスドルフ空間

位相空間$X$ハウスドルフであるとは,任意の相異なる2点$x,y\in X$に対して

  • $x\in U$
  • $y\in V$
  • $U\cap V=\varnothing$

を満たす開集合$U,V$が存在することを言う.

通常の位相を入れた$\mathbb{R}$はハウスドルフである.

例1を証明せよ.

ハウスドルフでない位相空間の例

$a\in\mathbb{R}$に対し,$\mathbb{R}$の部分集合$U^{(a)}$$U^{(a)}=\{x\in\mathbb{R}\mid a< x\}$と定め,$\tilde{\mathcal{O}}=\{U^{(a)}\}_{a\in\mathbb{R}}\cup\{\varnothing,\mathbb{R}\}$とする.
また,便宜上$U^{(-\infty)}=\mathbb{R}$と定める.

$\tilde{\mathcal{O}}$$\mathbb{R}$の位相である.

  1. $\tilde{\mathcal{O}}$の定義より$\varnothing,\mathbb{R}\in\tilde{\mathcal{O}}$である.
  2. $U_1,U_2,\cdots,U_n\in\tilde{\mathcal{O}}$に対して$\displaystyle\bigcap_{k=1}^nU_k\in\tilde{\mathcal{O}}$である.実際,
    (a) $U_1,U_2,\cdots,U_n$の少なくとも一つが$\varnothing$のとき,$\displaystyle\bigcap_{k=1}^nU_k=\varnothing\in\tilde{\mathcal{O}}$となる.
    (b) $U_1,U_2,\cdots,U_n$の中に$\mathbb{R}$が含まれる場合は,それを除いて考えても結果は変わらない.
    (c) $U_k=U^{(a_k)}$$k=1,2,\cdots,n$;$a_k\in\mathbb{R}$)であるとき,$\displaystyle\bigcap_{k=1}^nU_k=U^{(\max\{a_1,a_2,\cdots,a_n\})}\in\tilde{\mathcal{O}}$となる.
  3. 集合族$\{U_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}$が,任意の$\lambda\in\Lambda$に対して$U_\lambda\in\tilde{\mathcal{O}}$を満たすとき,$\displaystyle\bigcup_{\lambda\in\Lambda}U_\lambda\in\tilde{\mathcal{O}}$である.実際,
    (a) $\{U_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}$の少なくとも一つが$\mathbb{R}$のとき,$\displaystyle\bigcup_{\lambda\in\Lambda}U_\lambda=\mathbb{R}\in\tilde{\mathcal{O}}$となる.
    (b) $\{U_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}$の中に$\varnothing$が含まれる場合は,それを除いて考えても結果は変わらない.
    (c) $U_\lambda=U^{(a_\lambda)}$$\lambda\in\Lambda$;$a_\lambda\in\mathbb{R}$)であるとき,$\displaystyle\bigcup_{\lambda\in\Lambda}U_\lambda=U^{(\inf_{\lambda\in\Lambda}a_\lambda)}\in\tilde{\mathcal{O}}$となる.

以上より,$\tilde{\mathcal{O}}$$\mathbb{R}$の位相である.

位相空間$(\mathbb{R},\tilde{\mathcal{O}})$はハウスドルフでない.

$(\mathbb{R},\tilde{\mathcal{O}})$の空でない任意の開集合$U,V$$U\cap V\neq\varnothing$を満たすことを示そう.
(1) $U=\mathbb{R}$のとき$U\cap V=V\neq\varnothing$である.同様に$V=\mathbb{R}$のとき$U\cap V=U\neq\varnothing$である.
(2) $U=U^{(a)}, V=U^{(b)}$$a,b\in\mathbb{R}$)であるとき$U\cap V=U^{(\max\{a,b\})}\neq\varnothing$である.

以上より,位相空間$(\mathbb{R},\tilde{\mathcal{O}})$はハウスドルフでない.

問題の解答

問題1

任意の相異なる$a,b\in\mathbb{R}$に対し,$d=|a-b|$と定めて
$U=\left\{x\in\mathbb{R}\,\middle|\,|x-a|<\dfrac{d}{2}\right\}$,$V=\left\{x\in\mathbb{R}\,\middle|\,|x-b|<\dfrac{d}{2}\right\}$
とすると,$U,V$$\mathbb{R}$の開区間(すなわち開集合)であり,

  • $a\in U$
  • $b\in V$
  • $U\cap V=\varnothing$

を満たす.よって,通常の位相を入れた$\mathbb{R}$はハウスドルフである.

参考文献

[1]
松本幸夫, 多様体の基礎, 東京大学出版会, 1988, p.27
投稿日:5日前
数学の力で現場を変える アルゴリズムエンジニア募集 - Mathlog served by OptHub

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

電気魚
電気魚
35
44016

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中