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ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2023午前05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2023午前05
以下の問いに答えなさい
- 任意の正整数$k$に対して
$$
S(k):=\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{(nk)^{nk}}
$$
は収束することを示しなさい。 - 自然数$n$に対して、広義積分についての
$$
\int_0^1(x\log x)^ndx=\frac{(-1)^nn!}{(n+1)^{n+1}}
$$
を示しなさい。 - 広義積分についての等式
$$
\int_0^1x^xdx=S(1)-2S(2)
$$
を示しなさい。
- 部分積分を繰り返すことで
$$
\begin{split}
\int_0^1(x\log x)^ndx&=\int_0^1 x^n\log^nx\\
&=\qty[\frac{x^{n+1}\log^n x}{n+1}]_0^1-\frac{n}{n+1}\int_0^1x^n\log^{n-1}xdx\\
&=-\frac{n}{n+1}\int_0^1x^n\log^{n-1}xdx\\
&=\frac{n(n-1)}{(n+1)^2}\int_0^1x^n\log^{n-2}xdx\\
&=\cdots\\
&=(-1)^n\frac{n!}{(n+1)^n}\int_0^1x^ndx\\
&={\frac{(-1)^nn!}{(n+1)^{n+1}}}\\
\end{split}
$$
を得る。 - ルベーグの優収束定理から
$$
\begin{split}
\int_0^1x^xdx&=\int_0^1e^{x\log x}dx\\
&=\int_0^1\sum_{i=0}^\infty\frac{(x\log x)^n}{n!}dx\\
&=\sum_{n=0}^\infty \int_0^1\frac{(x\log x)^n}{n!}dx\\
&=\sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{(n+1)^{n+1}}
&=S(1)-2S(2)
\end{split}
$$
が従う。