はじめに
今回の記事では複素関数の微分を考えます.
目次
1.複素関数の連続性
2.複素関数の微分
3.コーシー・リーマンの関係式
用語
複素数について、を満たす点全体の集まりをの近傍という.また、連結な開集合を領域という.
複素関数の連続性
実関数の場合を参考にして、複素関数の連続性を定義する.
を領域とし、を関数とする。において、が成立するとき、はで連続であるという.
とすると、とは
すなわち、を意味している.
ここでのとはを指している.
そのために、近づき方は無数にあり、あらゆる近づき方を考慮しなければならない.
のとき、以下が成立する.
①{} (複合同順)
②
③
④
実関数のときと同様の性質が成り立つ.
証明は論法を用いて容易に示せるので省略する.
複素関数の微分
連続性と同様に、実関数をもとに複素関数の微分を定義する.
を領域とし、を関数とする。において、
が存在するとき、はで微分可能であるといい、その極限をの微分係数といい、と表記する.
一般に逆は成り立たない.すなわち、で連続であっても微分可能ではない例が存在する.具体的にはなどが例として挙げられる.
続いて、複素関数では1点のみではなく、領域全体での微分可能性を考えることが多いため、それを指す用語である正則を定義する.
を領域とし、を関数とする。のある近傍の全ての点で微分可能なとき、はで正則であるという.
また、ある領域の全ての点で微分可能なとき、は領域で正則であるという.(領域を単にとよぶこともある.)
変数にその微分係数を対応させる関数をの導関数といい、などと表記する.
を領域とし、を正則関数とするとき、以下が成立する.
①{} (複合同順)
②{}
③{}
④{}
実関数における微分と同様であり、証明は省略する.
コーシー・リーマンの関係式
複素関数における微分は実関数の場合よりも制約が強く、以下でその判別を与える.
を領域とし、を関数とする。実2変数関数と
を用いて、と表示するとき、 が領域でともに級関数ならば、以下が成り立つ.
が正則Cauchy-Riemannの方程式:を満たす
はで全微分可能だから、複素数において とすると
よって
(とおいた)
ここでを用いて整理すると
と表示すると、はに相当するから、あるが存在して
このときはの挙動に依存するので、この極限値を一意に定めるには
の成立が必要十分条件となる。
これにより、同値性が示された.
とする際にの挙動にはあらゆる場合が考えられるため、はの関数であることに気をつけよ.
また、はをに飛ばした際のの偏角である.
をに近づける際、とすることのみを要求するため、が自由に動けてしまうことが微分に対する制約が強い原因となっている.
よって、極限にが表れない形となることが微分するための鍵であり、コーシー・リーマンの関係式が必要十分条件を与える.
この系により、複素関数の微分は実部によるの偏微分を行えばよいとわかる.