ここでは東大数理の修士課程の院試の2020B0の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
$R=\mathbb{C}[X,Y]/(X^3-Y^3+X^4)$と、$X$で代表される元$x$と$Y$で代表される元$y$で生成される$R$の極大イデアルを$I$とする。直和
$$
S=\bigoplus_{n=0}^{\infty}I^n/I^{n+1}
$$
に対して、$S$のある直和成分の元
$$
a+I^{n+1}\in I^n/I^{n+1}
$$
$$
b+I^{m+1}\in I^m/I^{m+1}
$$
の積を
$$
ab+I^{n+m+1}\in I^{n+m}/I^{n+m+1}
$$
と定めることで、二項演算$S\times S\to S$が定まり、これを積とすることで$S$は可換環になる。以下の問いに解答しなさい。