$n$が非負整数, $1+a+b+c=d+e+f+n$のとき,
\begin{align}
\F43{a,b,c,-n}{d,e,f}1=\frac{(e-a,f-a)_n}{(e,f)_n}\F43{a,d-b,d-c,-n}{d,1-n+a-e,1-n+a-f}1
\end{align}
Eulerの変換公式
\begin{align}
\F21{a,b}{c}{x}=(1-x)^{c-a-b}\F21{c-a,c-b}c{x}
\end{align}
より$c-a-b=f-d-e$のとき,
\begin{align}
(1-x)^{c-a-b}\F21{c-a,c-b}c{x}\F21{d,e}fx=(1-x)^{f-d-e}\F21{a,b}cx\F21{f-d,f-e}fx
\end{align}
であるから,
\begin{align}
\F21{c-a,c-b}{c}x\F21{d,e}fx=\F21{a,b}cx\F21{f-d,f-e}fx
\end{align}
である. 両辺の$x^n$の係数を比較すると
\begin{align}
\sum_{k=0}^n\frac{(c-a,c-b)_k}{k!(c)_k}\frac{(d,e)_{n-k}}{(n-k)!(f)_{n-k}}=\sum_{k=0}^n\frac{(a,b)_k}{k!(c)_k}\frac{(f-d,f-e)_{n-k}}{(n-k)!(f)_{n-k}}
\end{align}
を得る. これを書き換えると,
\begin{align}
\F43{c-a,c-b,1-n-f,-n}{c,1-n-d,1-n-e}1=\frac{(f-d,f-e)_n}{(d,e)_n}\F43{a,b,1-n-f,-n}{c,1-n-f+d,1-n-f+e}1
\end{align}
である. $a\mapsto c-a,b\mapsto c-b,d\mapsto 1-n-d,e\mapsto 1-n-e,f\mapsto 1-n-f$とすると, 条件は$1+a+b+f=c+d+e+n$となり,
\begin{align}
\F43{a,b,f,-n}{c,d,e}1&=\frac{(d-f,e-f)_n}{(1-n-d,1-n-e)_n}\F43{c-a,c-b,f,-n}{c,1-n+f-d,1-n+f-e}1\\
&=\frac{(d-f,e-f)_n}{(d,e)_n}\F43{c-a,c-b,f,-n}{c,1-n+f-d,1-n+f-e}1\\
\end{align}
が得られる. 変数を入れ替えて定理を得る.
この定理の条件における$1+a+b+c=d+e+f+n$は$1+a+b+c+(-n)=d+e+f$と書くと, 上の段の総和に$1$を足したものが下の段の総和に一致するという条件になる. 一般にこのような条件を満たす超幾何級数はbalancedであるという. Whippleの${}_4F_3$変換公式は2つのbalancedな${}_4F_3$超幾何級数の単位引数における値の間の変換公式である.
Whippleの${}_4F_3$変換公式の$q$類似としては
Searsの変換公式
が知られており, 全く同様の方法で示すことができる.
Whippleの変換公式の右辺を入れ替えてもう一度Whippleの変換公式を適用することによって, 以下が得られる.
$n$が非負整数のとき,
\begin{align}
\F43{a,b,c,-n}{d,e,1-n+a+b+c-d-e}{1}=\frac{(a,d+e-a-b,d+e-a-c)_n}{(d,e,d+e-a-b-c)_n}\F43{d-a,e-a,d+e-a-b-c,-n}{d+e-a-b,d+e-a-c,1-n-a}1
\end{align}
が成り立つ.