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「軸が直交する2つの放物線の4交点は共円」(射影幾何から考える)

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$$\newcommand{bm}[1]{\boldsymbol{#1}} $$

「軸が直交する2つの放物線の4つの交点は共円である」という命題を見かけたので、これについて考えます。
初めに広い定理を示しておき、表題の定理がその特殊な場合であることを見ていきます。

なお、この記事は射影幾何に関するある程度の知識を前提とします。
また、ここに載せた定理や証明はあまり厳密ではないので雰囲気を感じる程度の気持ちで見てください。

大きなくくりの定理

平面上に円錐曲線$\mathcal{C}$と2点$A,B$があるとき、「$\mathcal{C}$に関する$A$の極線上に$B$があること」と「$\mathcal{C}$に関する$B$の極線上に$A$があること」は同値であり、この条件が成立しているとき点$A,B$は円錐曲線$\mathcal{C}$に関して共役であるといいます。

これを踏まえたうえで、次の定理を考えます。

2点$A,B$と、この2点が共役の関係になるような円錐曲線$\mathcal{C},\mathcal{D}$がある。
(つまり「$A,B$$\mathcal{C}$に関して共役」かつ「$A,B$$\mathcal{D}$に関して共役」とする。)
$A,B;P,Q$が調和点列になるように直線$AB$上に2点$P,Q$をとる。
このとき、$\mathcal{C}$$\mathcal{D}$の4つの交点と$P,Q$を合わせた計6点を通る円錐曲線が存在する。

この定理は逆も成り立ちます。
「2点$A,B$とこの2点が共役の関係になるような円錐曲線$\mathcal{C},\mathcal{D}$があるとき、$\mathcal{C},\mathcal{D}$の4つの交点を通る円錐曲線が直線$AB$と交わる点を$P,Q$とすると$A,B;P,Q$は調和点列になる。」

私はthmdaiを座標計算で確認したのでとりあえずそれを証明として載せておきますが、座標に頼らない示し方もあると思います。

斉次座標を使って証明する。
点の斉次座標となる3つの数をまとめて$\bm{x}$のように表記し、これを3次元列ベクトルとみなして行列・ベクトルの演算規則で計算を行うこととする。
円錐曲線は$M$を3×3対称行列として座標$\bm{x}$$^t\bm{x}M\bm{x}=0$を満たす点の集合になる。
$A,B$の座標をそれぞれ$\bm{a},\bm{b}$とするとき、
$A,B$$^t\bm{x}M\bm{x}=0$に関して共役 $\Leftrightarrow$ $^t\bm{a}M\bm{b}=0$ $\Leftrightarrow$ $^t\bm{b}M\bm{a}=0$
が成り立つ。

円錐曲線$\mathcal{C},\mathcal{D}$をそれぞれ$^t\bm{x}M\bm{x}=0,\,^t\bm{x}N\bm{x}=0$とする。
$A,B$$\mathcal{C}$に関して共役なので $^t\bm{a}M\bm{b}=0,\,^t\bm{b}M\bm{a}=0$が成り立つ。
$A,B$$\mathcal{D}$に関して共役なので $^t\bm{a}N\bm{b}=0,\,^t\bm{b}N\bm{a}=0$が成り立つ。
$\mathcal{C},\mathcal{D}$の4つの交点を通る円錐曲線は$k,l$を任意の数として$^t\bm{x}(kM+lN)\bm{x}=0$と書くことができ、この形で表されるものですべて網羅している。

$P$は直線$AB$上の点なので、$P$の座標は$s,t$を任意の数として$s\bm{a}+t\bm{b}$と書くことができる。
$Q$$A,B$に関する$P$の調和共役点なので、$Q$の座標は$s\bm{a}-t\bm{b}$となる。

$P$の座標$s\bm{a}+t\bm{b}$を円錐曲線の式$^t\bm{x}(kM+lN)\bm{x}=0$の左辺に代入すると次のようになる。
\begin{align} &^t(s\bm{a}+t\bm{b})(kM+lN)(s\bm{a}+t\bm{b}) \\ =&ks^2(^t\bm{a}M\bm{a})+kt^2(^t\bm{b}M\bm{b})+ls^2(^t\bm{a}N\bm{a})+lt^2(^t\bm{b}N\bm{b}) \\ &\quad {}+kst(^t\bm{a}M\bm{b})+kst(^t\bm{b}M\bm{a})+lst(^t\bm{a}N\bm{b})+lst(^t\bm{b}N\bm{a}) \\ =&ks^2(^t\bm{a}M\bm{a})+kt^2(^t\bm{b}M\bm{b})+ls^2(^t\bm{a}N\bm{a})+lt^2(^t\bm{b}N\bm{b}) \end{align}

$Q$の座標$s\bm{a}-t\bm{b}$を円錐曲線の式$^t\bm{x}(kM+lN)\bm{x}=0$の左辺に代入すると次のようになる。
\begin{align} &^t(s\bm{a}-t\bm{b})(kM+lN)(s\bm{a}-t\bm{b}) \\ =&ks^2(^t\bm{a}M\bm{a})+kt^2(^t\bm{b}M\bm{b})+ls^2(^t\bm{a}N\bm{a})+lt^2(^t\bm{b}N\bm{b}) \\ &\quad {}-kst(^t\bm{a}M\bm{b})-kst(^t\bm{b}M\bm{a})-lst(^t\bm{a}N\bm{b})-lst(^t\bm{b}N\bm{a}) \\ =&ks^2(^t\bm{a}M\bm{a})+kt^2(^t\bm{b}M\bm{b})+ls^2(^t\bm{a}N\bm{a})+lt^2(^t\bm{b}N\bm{b}) \end{align}

この2つの式が一致するため、
$\hspace{1em}$$P$が円錐曲線$^t\bm{x}(kM+lN)\bm{x}=0$上にある
$\Leftrightarrow$ $ks^2(^t\bm{a}M\bm{a})+kt^2(^t\bm{b}M\bm{b})+ls^2(^t\bm{a}N\bm{a})+lt^2(^t\bm{b}N\bm{b})=0$
$\Leftrightarrow$$Q$が円錐曲線$^t\bm{x}(kM+lN)\bm{x}=0$上にある
が成り立つ。
(どの4点も一直線上にない)5点を通る円錐曲線がただ一つに決まることを考えると、$\mathcal{C},\mathcal{D}$の4交点[これはどの3点も一直線上にない]と$P$を合わせた計5点を通る円錐曲線が存在して点$Q$を通ることが言えて、$\mathcal{C}$$\mathcal{D}$の4つの交点と$P,Q$を合わせた計6点を通る円錐曲線の存在が示された。

[逆の証明: $\mathcal{C},\mathcal{D}$の4つの交点を通る円錐曲線が直線$AB$と交わる点の一方の座標が$s\bm{a}+t\bm{b}$になるとすると、先の計算がそのまま使える。ベズーの定理より円錐曲線と直線の交点は2つだけであるため、もう一方の交点の座標は必然的に$s\bm{a}-t\bm{b}$が該当することになり、$A,B$とこの2つの交点は調和点列になることがわかる。]

ちなみに、$\mathcal{C},\mathcal{D}$の4交点と$P,Q$を合わせた計6点を通る円錐曲線に関して2点$A,B$は共役になります。
(このことは、「2点$A,B$が円錐曲線$\mathcal{C}$に関して共役 $\Leftrightarrow$ 直線$AB$と円錐曲線$\mathcal{C}$の2交点を$P,Q$とするとき$A,B;P,Q$は調和点列」という定理から明らかです。)
よって、$\mathcal{C},\mathcal{D}$の4交点を通る任意の円錐曲線に関して2点$A,B$は共役になるといえます。

中くらいのくくりの定理

thmdaiの特別な場合として次の定理が導かれます。

$A$で直線$AB$に接する円錐曲線$\mathcal{C}$と点$B$で直線$AB$に接する円錐曲線$\mathcal{D}$がある。
$A,B;P,Q$が調和点列になるように直線$AB$上に2点$P,Q$をとる。
このとき、$\mathcal{C}$$\mathcal{D}$の4つの交点と$P,Q$を合わせた計6点を通る円錐曲線が存在する。

$A$$\mathcal{C}$上にあり、$B$$\mathcal{C}$$A$における接線上の点なので、$A,B$$\mathcal{C}$に関して共役である。
$B$$\mathcal{D}$上にあり、$A$$\mathcal{D}$$B$における接線上の点なので、$A,B$$\mathcal{D}$に関して共役である。
よってthmdaiより、$\mathcal{C}$$\mathcal{D}$の4つの交点と$P,Q$を合わせた計6点を通る円錐曲線が存在することがいえる。

当初の目標の定理

放物線に関する定理はthmchuの特別な場合になります。

軸が直交する2つの放物線の4つの交点は共円である。

次の2つの事柄を使う。

  • 放物線の軸上の無限遠点はその放物線上の点であり、その点で無限遠直線に接する。
  • 虚円点(2つ)と直交する2直線上の無限遠点(各直線に1つずつで計2つ)の合わせて4点は無限遠直線上にあって調和点列をなす。

これらに注意するとthmchuが適用できて、軸が直交する2つの放物線の4つの交点と2つの虚円点を通る円錐曲線が存在することがいえる。すなわち、軸が直交する2つの放物線の4つの交点は共円である。

参考:thmshoの逆

thmshoは逆も成り立ちます。

台形ではない円内接四角形の2つの外接放物線の軸は直交する。

円に内接する四角形は凸四角形であり、凸四角形は台形でないとき外接放物線を2つ持つ。よって、台形ではない円内接四角形は外接放物線を2つ持つのでそれらを$\mathcal{C},\mathcal{D}$とする。
$\mathcal{C},\mathcal{D}$の軸上のの無限遠点をそれぞれ$A,B$とすると、$A,B$$\mathcal{C}$に関して共役であり、$A,B$$\mathcal{D}$に関して共役である。
よってthmdaiの逆が使えて、四角形の4頂点を通る円錐曲線が無限遠直線と交わる2点は$A,B$に関して互いに調和共役点となる。今、四角形は円に内接しているので、「四角形の4頂点を通る円錐曲線」として「四角形の4頂点を通る円」を選べば無限遠直線と交わる2点は虚円点となり、$A,B$と2つの虚円点が調和点列となる。これは$A$を通る直線と$B$を通る直線が直交していることを意味しており、$\mathcal{C}$の軸と$\mathcal{D}$の軸は直交する。

おまけ:直角双曲線

次のような定理があります。

2つの直角双曲線が4点で交わるとき、この4つの交点は垂心系をなす。

3点$A,B,C$を通る任意の直角双曲線は$\triangle ABC$の垂心$H$を通るため、3点$A,B,C$を通る2つの直角双曲線の第4交点は$\triangle ABC$の垂心$H$になる。
これは2つの直角双曲線の4つの交点の内の1点は残り3点が作る三角形の垂心であることを意味し、4交点が垂心系をなしていることがいえた。

このこととthmdaiの関連について考えてみましょう。
次の事柄を使います。

  • 任意の直角双曲線に関して2つの虚円点は共役の関係にある。
  • 双曲線の漸近線とは双曲線が無限遠直線と交わる点における接線である。
  • 虚円点(2つ)と直交する2直線上の無限遠点(各直線に1つずつで計2つ)の合わせて4点は無限遠直線上にあって調和点列をなす。

thmdaiの逆より、2つの直角双曲線の4つの交点を通る円錐曲線が無限遠直線と交わる2点を$P,Q$とするとこの2点と2つの虚円点は調和点列になります。よって点$P$を通る接線と点$Q$を通る接線が直交する、すなわち2本の漸近線が直交するため、この円錐曲線は直角双曲線です。
このことから、2つの直角双曲線の4つの交点を通る円錐曲線がすべて直角双曲線になることがいえます。これは垂心系をなす4点がもつ性質です。

補足

thmdaithmchuは射影幾何の定理なので、双対原理により双対定理も成り立ちます。

thmdaiの双対定理

2直線$l,m$と、この2直線が共役の関係になるような円錐曲線$\mathcal{C},\mathcal{D}$がある。
(つまり「$l,m$$\mathcal{C}$に関して共役」かつ「$l,m$$\mathcal{D}$に関して共役」とする。)
$l,m;u,v$が調和線束になるように$l,m$の交点を通る2直線$u,v$をとる。
このとき、$\mathcal{C}$$\mathcal{D}$の4つの共通接線と$u,v$を合わせた計6直線に接する円錐曲線が存在する。

thmchuの双対定理

円錐曲線$\mathcal{C},\mathcal{D}$の交点の1つを$O$とし、$O$における$\mathcal{C},\mathcal{D}$の接線をそれぞれ$l,m$とする。
$l,m;u,v$が調和線束になるように点$O$を通る2直線$u,v$をとる。
このとき、$\mathcal{C}$$\mathcal{D}$の4つの共通接線と$u,v$を合わせた計6直線に接する円錐曲線が存在する。

補足のおまけ

thmdaidualthmchudualを適用できる例があるか考えてみたけど、いい感じのものは思いつきませんでした。
とりあえず思いついたものを以下に1つ載せてみますが、定理自体は対称性から容易に示せますし、あまりいい例とはいえませんね。

三角形$ABC$が与えられているとき、直線$BC,CA,AB$に接する円錐曲線を三角形$ABC$の内接円錐曲線といいます。三角形$ABC$の内側にあって辺に接する楕円を最初に思い浮かべると思いますが、三角形の外部にあって辺の延長に接するような楕円・放物線・双曲線も内接円錐曲線です。

三角形$ABC$が与えられているとき、角$A$の二等分線上に焦点を持つ内接円錐曲線は内接円と$A$-傍接円の第4共通接線に接する。

三角形$ABC$の角$A$の二等分線を$l_A$とおく。
三角形$ABC$の内心は$l_A$上にあるため、内接円は$l_A$に関して対称である。
三角形$ABC$$A$-傍心は$l_A$上にあるため、$A$-傍接円は$l_A$に関して対称である。
よって内接円と$A$-傍接円の共通接線は$l_A$に関して対称な2直線の組が2つとなり、直線$AB$と直線$AC$$l_A$に関して対称なので、第4共通接線は直線$BC$$l_A$に関して対称移動した直線になる。

三角形$ABC$の内接円錐曲線が楕円または双曲線のとき、2つの焦点は互いに三角形$ABC$に関する等角共役点である。よって、焦点の1つが$l_A$上にあるとき、もう一つの焦点も$l_A$上にあり、この内接円錐曲線は$l_A$に関して対称である。
三角形$ABC$の内接円錐曲線が放物線のとき、焦点と軸上の無限遠点は互いに三角形$ABC$に関する等角共役点である。よって、焦点が$l_A$上にあるとき、軸上の無限遠点も$l_A$上にあって軸が$l_A$に一致するため、この内接円錐曲線は$l_A$に関して対称である。
内接円錐曲線は直線$BC$に接しているので、$l_A$に関して対称な内接円錐曲線は直線$BC$$l_A$に関して対称移動した直線にも接する。

以上から、角$A$の二等分線上に焦点を持つ内接円錐曲線は内接円と$A$-傍接円の第4共通接線に接することが言える。

この定理をthmchudualの観点から見てみましょう。

再掲 thmchudual

円錐曲線$\mathcal{C},\mathcal{D}$の交点の1つを$O$とし、$O$における$\mathcal{C},\mathcal{D}$の接線をそれぞれ$l,m$とする。
$l,m;u,v$が調和線束になるように点$O$を通る2直線$u,v$をとる。
このとき、$\mathcal{C}$$\mathcal{D}$の4つの共通接線と$u,v$を合わせた計6直線に接する円錐曲線が存在する。

三角形$ABC$の内接円と$A$-傍接円を$\mathcal{C},\mathcal{D}$とします。
内接円と$A$-傍接円の4交点のうち2つは虚円点なので、虚円点の片方を$O$とします。
虚円点における円の接線は円の中心を通るので、$l,m$はそれぞれ内心,$A$-傍心を通る isotropic line になります。
(2つの虚円点を両方通る直線は無限遠直線ですが、虚円点のどちらか片方だけを通る直線を isotropic line といいます。)
三角形$ABC$の内心と$A$-傍心を通る直線は角$A$の二等分線$l_A$です。
$l_A$上に点$P$を取るとき、点$P$の等角共役点$Q$は内心と$A$-傍心に関する点$P$の調和共役点になります。
よって、$l,m;OP,OQ$は調和線束になるので、$OP,OQ$$u,v$とします。
任意の円錐曲線において焦点を通る isotropic line はその円錐曲線に接するので、点$P,Q$を焦点とする三角形$ABC$の内接円錐曲線は$BC,CA,AB$($\mathcal{C},\mathcal{D}$の共通接線のうちの3つ)と$u,v$に接するため、thmchudualより$\mathcal{C},\mathcal{D}$の第4共通接線にも接することが言えます。

補足のおまけの付けたし

thmincにおける"内接円と傍接円"を"傍接円と傍接円"にしても同様の議論ができて次の定理が言えますね。

三角形$ABC$が与えられているとき、角$A$の外角の二等分線上に焦点を持つ内接円錐曲線は$B$-傍接円と$C$-傍接円の第4共通接線に接する。

投稿日:16日前
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投稿者

工学系物理工学出身のただの社会人です。 数学は趣味のひとつです。どうやら文字計算が好きらしい。 2022年から三角形の幾何学にはまり、重心座標などでいろいろ計算しています。

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