こんにちは。
前回の記事
では五次方程式のブリング根の発想を六次方程式にも利用できることを示しました。
今回は、「ブリング根を任意の$n$次方程式にも一般化して、解の公式を求めることができるか?」について考えていきます。
まずはじめにチルンハウス変換について話しておきましょう。
チルンハウス変換とは、変数変換など用いて項の値を$0$にする手法です。一般に
$n$次方程式は次数が$n-1$から$n-3$の項まで消去できます。
三次方程式$ax^3+bx^2+cx+d=0$について、
$y=x+\frac{b}{3a}$とおくと、
$$ax^3+bx^2+cx+d=a(y- \frac{b}{3a})^3+b( y-\frac{b}{3a})^2+c(y- \frac{b}{3a})+d$$
$$=y^3-3y^2(\frac{b}{3a})+3y(\frac{b}{3a})^2-(\frac{b}{3a})^3$$
$$=y^3- \frac{b}{a}y^2+ \frac{b^2}{3a^2}y- \frac{b^3}{27a^3}+ \frac{b}{a}y^2- \frac{2b^2}{3a^2}y+ \frac{b^3}{9a^3}+ \frac{c}{a}y- \frac{bc}{3a^2}$$
$$=y^3+( \frac{3ac-b^2}{3a^2})y+ \frac{2b^3-9abc+27a^2d}{27a^3}=0$$
$y^2$の項を消去できました。
このチルンハウス変換を使って、四次方程式までは解の公式の導出が可能になります。
前回は$n=5,6$の場合、即ち五次方程式、六次方程式の解の公式を導出をしました。
その結果がこちらです。
五次方程式$x^5+px+q=0$に対し、
$$x=p^{1/4}BR(\frac{q}{p^{5/4}})$$
六次方程式$x^6+px^2+qx+r=0$に対し、
$$x=p^{1/4}SR(\frac{q}{p^{5/4}},\frac{r}{p^{3/2}})$$
($SR$は六次方程式独自のブリング根)
なにやら規則性がありそうですね…
$n$次方程式の式は$$a_1x^n+a_2x^{n-1}+a_3x^{n-2}+ \cdots+a_{n+1}=0$$
ですが、チルンハウス変換で$n-1$から$n-3$の項まで消去できるので、
$$
x^n+a_1x^{n-4}+a_2x^{n-5}+a_3x^{n-6}+\cdots+a_{n-3}=0
$$
が成り立ちます。
$n$次方程式への一般化ブリング根を$BR_n(a_1,a_2,a_3,\cdots,a_{n-4})$とし、
それを
$$
x^n+x^{n-4}+a_1x^{n-5}+a_2x^{n-6}+ \cdots+a_{n-4}=0
$$
の実軸の正の無限方から最も近い解とし、その値が複素数に分岐する場合は、解析接続によって得られる連続な枝を採用するとしましょう。(枝が連続であればなんでもいいです。)
すると、次の予想が成り立ちそうです。
$$
x^n+a_1x^{n-4}+a_2x^{n-5}+a_3x^{n-6}+ \cdots+a_{n-3}=0
$$
に対し、
$$
x=a_1^{1/4}BR_n(\frac{a_2}{a_1^{5/4}},\frac{a_3}{a_1^{6/4}},\frac{a_4}{a_1^{7/4}},\cdots,\frac{a_{n-3}}{a_1^{n/4}})
$$
$$x^n+a_1x^{n-4}+a_2x^{n-5}+a_3x^{n-6}+ \cdots+a_{n-3}=0$$
に対し、$x=uy$とおきます。
$$(uy)^n+a_1(uy)^{n-4}+a_2(uy)^{n-5}+a_3(uy)^{n-6}+ \cdots+a_{n-3}=0$$
$u^n$で割って、
$$y^n+\frac{a_1}{u^4}y^{n-4}+\frac{a_2}{u^5}y^{n-5}+\frac{a_3}{u^6}y^{n-6}+ \cdots+\frac{a_{n-3}}{u^n}=0$$
$y^{n-4}$の係数を$1$にするために、$u=a_1^{1/4}$を代入して、
$$y^n+y^{n-4}+\frac{a_2}{a_1^{5/4}}y^{n-5}+\frac{a_3}{a_1^{6/4}}y^{n-6}+ \cdots+\frac{a_{n-3}}{a_1^{n/4}}=0$$
一般化ブリング根の定義より、
$$y=BR_n(\frac{a_2}{a_1^{5/4}},\frac{a_3}{a_1^{6/4}},\cdots,\frac{a_{n-3}}{a_1^{n/4}})$$
$x=a_1^{1/4}y$なので、
$$x=a_1^{1/4}BR_n(\frac{a_2}{a_1^{5/4}},\frac{a_3}{a_1^{6/4}},\frac{a_4}{a_1^{7/4}},\cdots,\frac{a_{n-3}}{a_1^{n/4}})$$

やっとn次方程式の解の公式が完成しましたね!
ですが、一般化ブリング根をさらに簡略化したり、新たな関数を考えるなどまだまだ改良の余地はありそうです…!
しかし、n次方程式の解を一遍に表す公式ができたのは大きいと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました!