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高校数学
文献あり

導入

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定義

Z>0を正整数全体の集合とする。このとき、直積Z>0××Z>0nInとおく(I0:={})。それの直和n0InIと表す。
この時のIの元をインデックスという。I0の唯一の元を空インデックスといい、で表す。
また、インデックスk=(k1,,kr)Iに対してdep(k)=r,|k|=i=1rkiとおきそれぞれk重さ深さいう。インデックスk=(k1,,kr)kr2以上のとき、k許容インデックスという。簡単のため許容インデックス全体の集合をIとする。

インデックスk=(k1,,kr)と正の整数n>rに対して
ζ<n(k):=0<n1<<nr<n1n1k1nrkr
とする。

MZV

許容インデックスk=(k1,,kr)に対して
ζ(k):=limnζ<n(k)
で定義される実数をインデックスk多重ゼータ値(multiple zeta value,MZV)という。
また、
Lik(x):=0<n1<<nrxnrn1k1nrkr
をインデックスkの多重ポリログという。

インデックスの変形と性質

矢印記法

k=(k1,,kr)(許容インデックスとは限らない)に対して、
k:=(k1,,kr1,kr+1)k:=(k1,,kr,1):=(1)kn:=(kn1)kn:=(kn1)
と定める。

双対インデックス

任意の許容インデックスkは正整数s,a1,,as,b1,,bsを用いた一意な表示
k=a1b1asbs
を持つ。このときの
k=bsasb1a1
k双対インデックスという。
このとき、明らかに|k|=|k|が成り立つ。

縮約インデックス

インデックスk=(k1,,kr),l=(l1,,ls)(r,s1)に対し、r+1個の整数(i0,,ir)であって、条件
(i)  0=i0<i1<<ir(ii)  i0=0,ir=s(iii) j{1,,r},kj=n=1+ij1ijln
を満たすものがあるとき、kl縮約インデックスであるといい、klと書く。
要するに縮約インデックスとは隣り合う要素をいくつか足し合わせたものである。
例えば、(3)(1,2)(1,1,1)というふうに書く。

指数

k=(k1,,kr),l=(l1,,lr)について、
kl=i=1rkili
と定義する。以降、のダミー変数を並べたインデックスをnなどと略記することにする。

インデックスの結合

k=(k1,,kr)l=(l1,,ls)について(k,l)=(k1,,kr,l1,,ls)とする。

インデックスの和

インデックスを引数に取る関数f:IRに対して、f(k+l)=f(k)+f(l)と定義する。

主予想

D.Zagier

整数k2について|k|=kを満たすインデックスkのMZVζ(k)全体がQ上張る空間をZkとおくと、dimQZk=dkであろう。ただし{dk}k=0k=0dktk=11t2t3を満たす数列とする。

Terasoma、Goncharovにより不等式dimQZkdkが成り立つことが証明された。しかし、dimQZkを下から押さえる不等式は今のところ発見されていない。

参考文献

[1]
Kam Cheong Au, EVALUATION OF ONE-DIMENSIONAL POLYLOGARITHMIC INTEGRAL, WITH APPLICATIONS TO INFINITE SERIES, arXiv
投稿日:202393

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