ここでは、多重ゼータ値の積分表示を導出する。ただ、積分表示といっても単積分ではなく反復積分なので扱いには注意が必要である。
記法
微分形式を語に対応させてを二項演算とする係数非可換多項式環が作れるので、それをとおけば、関数は線形性を持つ。この節では一貫してとしてとする(以降、は省略する)。
積分表示の導出
まずは、よく知られたMaclaurin展開
から出発する。これはでは収束しない(形式的にはである)。しかし、両辺をで割ってから(はなる実数))で積分すると
となる。ここから、どうやらポリログはで割ってで積分すると級数表示の分母の次数が増えるだろうということが推測できる。たしかに、この推測は正しく、次のことが成り立つ。
以上の結果とから
を得る。