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高校数学
文献あり

MZVの関係式[2]

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インデックスのシャッフル積

インデックスk=(k1,,kr)についてwk=akr1bak11bRwk+l=wk+wlと定めると、MZVの積分表示とシャッフル積関係式より01wkшwl=01wk01wl=ζ(k)ζ(l)が成り立つ。
しかし、この関係式は積分表示という多重ゼータ値のの対象を用いて定義されている。この節では、インデックス同士のシャッフル積を定義し、積分表示を経由せずに計算できるようにする。

シャッフル積の定義から、
awkшawl=a(wkшawl)+a(awkшwl)=a(wkшwl)+a(wkшwl)awkшbwl=a(wkшbwl)+b(awkшwl)=a(wkшwl)+b(wkшwl)bwkшawl=b(wkшawl)+a(bwkшwl)=b(wkшwl)+a(wkшwl)bwkшbwl=b(wkшbwl)+b(bwkшwl)=b(wkшwl)+b(wkшwl)
となる。とりあえず、wkшwl=wkшlとなるようなインデックスの線形結合kшlがあるとして、上の式からkшlを再帰的に定義する。

インデックスのシャッフル積

インデックスのシャッフル積を
kш=шk=kkшl=(kшl+kшl)kшl=(kшl)+(kшl)kшl=(kшl)+(kшl)kшl=(kшl+kшl)
と定義する。矢印記法はインデックスに線形に作用するものとする。

(2)ш(1,2)=((1)ш(1,2)+(2)ш(1,1))=(ш(1,2))+((1)ш(1,1))2+((1)ш(1,1))2+((2)ш(1))=(1,2,2)+(ш(1,1))2+2((1)ш(1))2+((1)ш(1)) +((2)ш)2=(1,2,2)+(1,1,3)+2(ш(1))22+2((1)ш)22+(ш(1))+((1)ш)+(2,1,2)=(2,1,2)+3(1,2,2)+5(1,1,3)
よってζ(2)ζ(1,2)=ζ(2,1,2)+3ζ(1,2,2)+5ζ(1,1,3)を得る。
これは前ページの例3と全く同じ結果である。

インデックスの調和積とシャッフル積を組み合わせて得られるMZVの関係式族のことを有限複シャッフル関係式という。
調和積とシャッフル積より
(2)(1,2)=(1,4)+(3,2)+(2,1,2)+2(1,2,2)
(2)ш(1,2)=(2,1,2)+3(1,2,2)+5(1,1,3)
が分かるので
ζ(1,4)+ζ(3,2)+ζ(2,1,2)+2ζ(1,2,2)=ζ(2,1,2)+3ζ(1,2,2)+5ζ(1,1,3)
すなわち
ζ(1,4)+ζ(3,2)=ζ(1,2,2)+5ζ(1,1,3)
ここで、(1,1,3)=(1,4),(1,2,2)=(2,3)なので
ζ(3,2)=ζ(2,3)+4ζ(1,4)
を得る。

参考文献

[1]
Kam Cheong Au, EVALUATION OF ONE-DIMENSIONAL POLYLOGARITHMIC INTEGRAL, WITH APPLICATIONS TO INFINITE SERIES, arXiv
投稿日:202393

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