大野関係式
双対関係式の証明で使用した連結和に変数を導入したものを新たに定義する。
インデックスについて、
と定める。
ここで、はPochhammer記号(上昇冪)である。
また、と定める。
この連結和に関しても、同様の輸送関係式が成り立つ。
対称性より片方のみ示せばよい。
ここで、
なのでを得る。
許容インデックスと非負整数について、その大野和を
と定めると、が成り立つ。
連結和の輸送関係式より
となるので、冪級数の係数の一致からを得る。
上の等式においてとすれば、
であり、また、
となるから、を得る。これはMZVの和公式といって、とても美しい式なので改めて定理として書いておく。
調和積から、シャッフル積からが分かるので、が導かれる。和公式よりなのでも分かり、これを調和積から出てきた式に代入するとという関係式が具体値を経由せずに証明できる。よく知られた特殊値とを用いればすぐわかるが、こういった具体値を経由せずに関係式が求まるのは、多重ゼータ値の強みであるといえる。