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高校数学
文献あり

多重L値[1]

1311
0
多重L値,MLV

全て絶対値が1以下の複素数z1,,zrと正の整数k1,,krについて
L(z1k1,,zrkr)=L(zk):=0<n1<<nrznnk
と定義する。

x0<x<1を満たす実数とすると、
L(z1k1,,zr1kr1,zrxkr+1)=0<n1<<nrznnkxnr=0<n1<<nrznnkxnrnr=0<n1<<nrznnk0xtnr1dt=0x0<n1<<nrznnktnr1dt=0xL(z1k1,,zr1kr1,zrtkr)dtt

L(z1k1,,zrkr,zr+11)=0<n1<<nr<nr+1znzr+1nr+1nkxnr+1nr+1=0<n1<<nr<nr+1znnkzr+1nr+10xtnr+11dt=0x0<n1<<nr<nr+1znnkzr+1nr+1tnr+11dt=0x0<n1<<nr0<mznnkzr+1nr+mtnr+m1dt=0xL(z1k1,,zr1kr1,zrzr+1tkr)zr+10<m(zr+1t)m1dt=0xL(z1k1,,zr1kr1,zrzr+1tkr)dtzr+11t

が成り立つので、多重L値の積分表示を得ることができる。

L(z1k1,,zrkr)=01(dtt)kr1dtzr1t(dtt)k11dt(zrz1)1t

上の式を繰り返し用いれば示すことができるので、省略する。

多重L値の分子側の変数(z1,,zr)がすべて絶対値1であり、ζN=exp(2πiN)の整数乗になっているものを特にlevelNの多重L値と呼ぶ。特にN=2の場合は交代多重ゼータ値(AMZV)と呼ぶ。AMZVの文脈では1k1kをそれぞれkkと略記し、Lの代わりにζを用いる。

levelNの多重L値の積分表示はdtt,dtζNntという形をした微分形式のみでかけるから、a=dtt,bn=dtζNnt(n=0,,N1)の計N+1個の変数の非可換多項式環RN=Qa,b0,,bN1を導入すると、多重L値はRNの元の反復積分で表現される。

以降、levelNのMLVのQ-線形結合全体の集合をMLVN、levelNでweightがrのMLVのQ-線形結合全体の集合をMLVrN。とおく。

参考文献

[1]
Kam Cheong Au, EVALUATION OF ONE-DIMENSIONAL POLYLOGARITHMIC INTEGRAL, WITH APPLICATIONS TO INFINITE SERIES, arXiv
投稿日:202393

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