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第二章 オイラー・ナーゲル座標

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スチュワートの定理 一番使いやすい形

スチュワートの定理 スチュワートの定理

∠B,∠C<90°、AからBCに下した垂足をHとし、PがC,Hの(端点を含む)間だと仮定する。
(PがB,Hの間でもB,Cを入れ替えて同様の議論ができる)
c^2=(BP-PH)^2+AH^2=BP^2-2BP・PH+PH^2+AH^2=AP^2+BP^2-2BP・PH
b^2=(CP+PH)2+AH^2=BC^2+2CP・PH+PH^2+AH^2=AP^2+CP^2+2CP・PH
2PH=(AP^2+BP^2-C^2)/BP=(b^2-AP^2-CP^2)/CP
CP(AP^2+BP^2-C2)=BP(b^2-AP^2-CP^2)
(CP+BP)AP2+(CP+BP)CP・BP=b^2BP+c^2CP
AP^2=(BPb^2+CPc^2)/(BP+CP)-BP・CP
定義よりBP:CP=m:nだから、示せた。

これこそがオイラー・ナーゲル座標である! これこそがオイラー・ナーゲル座標である!

オイラー・ナーゲル座標の定義

任意の三角形のオイラー線、ナーゲル線をそれぞれx軸、y軸として平面を作り、重心を(0,0),内心を(0,1),外心を(1,0)定義して得られる座標。

注意 EN座標は直交座標ではなく、斜交座標である。
これまでにでてきた点は、ほぼ全て座標上に表せる。
垂心(-2,0)  九点円の中心(-0.5,0) 
ナーゲル点(0,-2)   シュピーカー点(0.-0.5)   ドロンシャン点(4,0)

①EN座標の活用その1

ベバン点の定義

ベバン点は傍心三角形の外心とする。

ベバン点の性質

①外心は内心とベバン点の中点
②ベバン点はナーゲル点とドロンシャン点の中点
③スピカー点は垂心とベバン点の中点 [24]

ベバン点はX(40)である。
この証明を愚直に行うのは困難だが、EN座標用いて容易に証明できる。

①の証明(独自)

ΔABCの傍心三角形をΔDEFとしたら、
ΔABCはΔDEFの垂足三角形である(傍心三角形の性質①)  よって、
ΔABCの内心=ΔDEFの垂心(垂足三角形の性質①)
ΔABCの外心=ΔDEFの九点円の中心(九点円の定義)
ΔABCのベバン点=ΔDEFの外心(ベバン点の定義)
ここでΔDEFにおいて九点円の中心は垂心と外心の中点だから、
ΔABCにおいて外心は内心とベバン点の中点である。

②③の証明(独自)

Vがベバン点である。 Vがベバン点である。
①からEN座標においてベバン点が(2,-1)であると分かる。
EN座標のおかげで②③を証明できた。

②EN座標の活用その2

重心ありじごく (重心の特性定理②)

三角形ABCの任意の点Pと重心Gの距離は,
PG^2=(PA^2+PB^2+PC^2)/3-(a^2+b^2+c^2)/9
で表せる。

[25]から着想をえた。重心のもう一つの強力な性質を用いて、EN座標上の任意の点同士の距離を導出できる。これが意味するのは
①各頂点との距離二乗の和が最小にする点は、重心である。
(PA^2+PB^2+PC^2を最小にするのはPG=0 よってPが重心のとき)

②Pと各頂点の距離が分かると、PGが分かる
③PA^2+PB^2+PC^2=(a^2+b^2+c^2)/3 等号成立条件は、Pが重心のとき。
④PA^2+PB^2+PC^2が一定の点の集合は、重心Gを中心とする。円になる。
⑤平面xyに対してPA^2+PB^2+PC^2を表すz座標を用意すると、重心を中心とするすり
鉢状の図形が生まれる。(重心ありじごくと呼んでいる理由)

中線定理とスチュワートの定理が使える。 中線定理とスチュワートの定理が使える。

証明の流れ 証明の流れ

重心ありじごくの活用

①外心

OG^2=R^2-(a^2+b^2+c^2)/9  ※外接円の半径を、Rとする。

Pが外心のとき、PA^2=PB^2=PC^2=R^2
よってPG^2=R^2-(a^2+b^2+c^2)/9が成立する。

★参考 ライプニッツの不等式 a^2+b^2+c^2≦9R^2
もちろん重心ありじごくP=外心で導ける。

②内心

※内接円の半径をrとする。

IG^2=(IA^2+IB^2+IC^2)/3-(a^2+b^2+c^2)/9

補足 補足

AIとBCの交点をDとする。角の二等分線の公式よりAI:IP=b+c:a,AI^2:AP^2=(b+c)^2:(a+b+c)^2  スチュワートの定理の角の二等分線版より、
AD^2=bc-a^2bc/(b+c)^2
AD^2=bc(a+b+c)(-a+b+c)/(b+c)^2  IA^2=bc(-a+b+c)/(a+b+c)
IB,ICについても同様に示せる。
これよりIGの長さが分かるようになった。

③九点円の中心

内接円の半径がr,九点円の半径がR/2,フォイエルバッハの定理より、

IN=R/2-r

★オイラーの定理(内心と外心の距離)

IO^2=R(R-2r)   (証明[26])

二つの三角形が相似であることを利用して証明する。 二つの三角形が相似であることを利用して証明する。

MをAIと外接円の交点、DはOMと外接円の交点、NはABと内接円の接点、P,QをOIと外接円の交点とする。dをIOの長さとする。
①∠BIM=∠BAM+∠ABI=∠MAC+∠IBC
=∠MBC+∠IBC=∠IBM      よって△BIMは二等辺三角形であり、IM=BM
②円周角の定理より  ∠NAI=∠BDM
   直径に対する円周角より ∠ANI=∠DBM=90°
二角相等より、ΔANI∽ΔDBM     よって  AI:DM=NI:BM      AI×BM=DM×NI   
これらの議論から
(R-d)(R+d)=PI×IQ
=AI×IM    (方べきの定理)
=AI×BM  (①)
=DM×NI  (②)
=2Rr             R^2-d^2=2Rr  OI^2=R(R-2Rr)
これらの情報と、EN座標を組み合わせて、EN座標上の任意の2点間の距離を求められる。


EN座標上の任意の2点間の距離を求めるプロセス
1.外接円の半径と、内接円の半径を求める
2.①②とオイラーの等式をから導けたGO,GI,IOの値を余弦定理に代入し
 オイラー線とナーゲル線のなす角を求める
3.EN座標を用いて、余弦定理で2点間の距離を求める

(例)
Fuがフールマン点である。 Fuがフールマン点である。

フールマン点の定義

フールマン円は、垂心とナーゲル点を直径とする円である。
フールマン円の中心をフールマン点 Fuとする。 (X(355)) [27]

証明手法(任意)

フールマン点は垂心とナーゲル点の中点である。 EN座標が(-1,1)であることは
分かっているため、①から②、③を示せる。

フールマン円の半径を求めよ。

FuNaがフールマン円の半径にあたる。 FuNaがフールマン円の半径にあたる。

[解答]
 EN座標により FuNaとIOは同じ長さである。
オイラーの定理から  答え √(R(R-2r))

問題②

  次の長さを求めよ
1.ONaの長さ
2.VFuの長さ

[解答]
ONaはINの二倍である。 ONaはINの二倍である。
 1.EN座標を使うことで、ONaはINの倍の長さであることがわかる。
だから、2・R/2-r=R-2r   答え R-2r

2.EN座標を使うことで、FuVとHOは平行かつ長さが等しいことがわかる。
FuV=HO FuV=HO
FuV=HO=3GO
GO=√(R^2-(a^2+b^2+c^2)/9) だから、
答え 3√(R^2-(a^2+b^2+c^2)/9)

★EN座標Extra

①出てくる直線

EN座標(x,y)において、
オイラー線 y=0
ナーゲル線 x=0
ソディ線     -x/4+1   と表せる。ソディ線はこの論文では紹介しない

②中点三角形、オイラー三角形とEN座標

1.EN座標(x,y)で表せる点が中点三角形にあるとき、それは元の三角形の(-x/2,-y/2)である。
2.EN座標(x,y)で表せる点は、中点三角形の(-2x,-2y)である。
3.EN座標(x,y)で表せる点がオイラー三角形にあるとき、それは元の三角形の(x/2-1,y/2)である。
4.EN座標(x,y)で表せる点は、オイラー三角形の(2x+2,2y)である。

③ EN座標とETC

[28]にいろいろな三角形の中心が掲載されている。実にEN座標はETCにのっているあらゆる点を表現できるのだ。

これがEN座標の真髄である。 これがEN座標の真髄である。

投稿日:20241017
更新日:20241020

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投稿者

高一です。JMOの合宿に参加するために、論文を書いています。

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