の中心を、をと書く。は随伴表現によりに埋め込むことができるが、はあるLie群のLie環であることが既に分かっているから、は単連結Lie群のLie環として実現できる。
事実
単連結なLie群の2次以下のde Rahmコホモロジー群は消える。
これは普通、Lie群の2次ホモトピー群が消えること(難)とHurewiczの定理(ホモロジーとホモトピーの行き来)と普遍係数定理(ホモロジーとコホモロジーの行き来)などから説明される。後でこの事実の簡単な証明を紹介する。
という拡大の(線形写像のレベルでの)セクションを取り、コサイクルをで定める。Lie環の公理から
となる。 と同一視することで、は上の値左不変2次微分形式だと思える。外微分の内在的な表記(括弧積を使う長い式)から、の巡回和が0という条件はと同値である。
先の事実を使ってこのを積分していくと元のLie環のコサイクルを群のコサイクルに持ち上げることができ、の積をそのコサイクルで捻ったものが求めるLie群になる。
2次コホモロジーの消滅からなる上の値1次微分形式(左不変とは限らない)が存在し、完全1形式を引くことでとしておく。の左不変性からは閉形式であり、かつなるが存在する。をと定めると級である、が具体的にと記述できるから。これはからへの道(一つ取る)への制限を積分するという意味。
定数の特定にを使った。これによりは2-cocycle条件を満たすので、上にで群構造が入り、には直積として微分構造が入る。がそうだから演算は全て級となる。
残るは、元々のLie環とのLie環の同型である。それは、セクションによる同一視と(と接空間と左不変ベクトル場の同一視)の合成によって得られることを確認する。まず、元のLie環の構造はに
で入る。また、の平行移動を見れば、上の左不変ベクトル場はと書ける。特に、上の左不変ベクトル場をの方向に微分しても0である。
より、最後の式は
どちらも括弧積が同じ形をしている。