目的
・
こちら
の記事で紹介された級数の値を変換をもちいて求める。
数字和をで割った級数
【数字和をで割った級数】
a(n)は自然数を進数表記したときの
数字和
。また、単位階段関数を使ってを整数に拡張したを
と定義する。このとき
の性質
- をで割ったの極限は。
である。この極限を求める証明はこちら
単位階段関数の微分は
で与えられる。ただし、はディラックのデルタ関数で
で定義される。求める極限はの不定形なのでロピタルの定理から
となり求める極限が求まった。
2.は以上の整数に対して以下。等号がなりたつのはが桁のとき。
証明
を表す式
は床関数を使うとの桁数に応じて以下のようにあらわせる。
のときがなので、の範囲をまでとっても総和の値は変わらない。よっては
と表せる。また単位階段関数を使って床関数をあらわすと
なので、は
とあらわせる。
の変換
の収束領域
以上の整数に対してが成り立っている。またの変換の収束領域はなので、の収束領域をとすると。よっての変換はにおいて一様収束する。ゆえにの収束領域は。
を変換する
を変換する。変換の定義から
の変換を求める
両辺にをかけて
をにおきかえて両辺をからまでで積分して
ここでだから変換の積分則を適用できて
なので
ここで定積分はとおくと、なので
よって
ここで総和内のの箇所はの和に分解される。
よって
となり変換が得られた。収束領域は。
級数の値
のの極限をとった値が求める級数の値。しかし、の収束半径がであるための極限をとった際に級数 が収束するか否かはわからない。よってまず級数の収束性を判定する。収束すればアーベルの連続性定理から級数の値は、を複素平面上の単位の外側、つまり収束領域からに近づけた に等しい。
ゆえに
を示したことになる。
級数の収束判定
収束判定
は各桁の値の和なのでが桁のときが成り立つ。つまり、各桁をすべてとしたときの和は常に以上である。の桁数はなので
ダランベールの級数判定法から、項目と項目の比をとって
比がになったのでラーベの判定法を使えて
なので正の数が存在するので、級数は絶対収束する。
よって
なので、級数は絶対収束する。
級数の値を求める。
となり示された。
途中あらわれた級数の値の求め方はこちら。
変換をもちいて求める。変換のスケーリング則との変換から
収束領域は。この変換の結果についての極限をとった値がの値で
となる。
参考文献
数字和
アーベルの連続性定理
ダランベールの収束判定法
ラーベの収束判定法