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行列の対角化の計算方法

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行列の対角化の意味と計算方法

与えられた正方行列$A$に対して、正則行列$P$をうまく取ってきて$ P^{-1}AP $を対角行列にする操作を対角化と言う。

対角化の条件&計算方法

$A$$n \times n$行列とし、$A$の固有値と固有ベクトルを$ λ_{i}, x_{i}(i=1,・・・n) $とします。

  1. 線形独立な$A$$n$本の固有ベクトルを取ってこれるとき,$A$は対角化可能である。
  2. 対角化に用いる行列として,固有ベクトルを並べた行列 $ P=( x_{1} ,x_{2},・・・ x_{n} ) $が使える。
  3. 得られる対角化行列$D$の対角成分は$A$の固有値である。

$A$の固有ベクトル$ x_{1} ,x_{2},・・・ x_{n} $が線形独立なとき,$P$は正則であり,$ P^{-1} $が存在する。このとき,$ P^{-1}AP $を計算する。
まず,固有値,固有ベクトルの定義より,
$ AP=A( x_{1} , x_{2} ,・・・x_{n} )=( λ_{1}x_{1},λ_{2} x_{2},・・・λ_{n}x_{n} ) $
また,$ P^{-1} $の第$i$行目を$ y_{i} $(横ベクトル)とおくと,
$ P^{-1}= \begin{pmatrix} y_{1} \\ y_{2} \\ ... \\ y_{n} \end{pmatrix} $であり,逆行列の定義より内積$ y_{i} x_{i} $$i$$j$が等しいとき$1$,そうでないとき$0$になる。
よって,$ P^{-1}AP= \begin{pmatrix} y_{1} \\ y_{2} \\ ... \\ y_{n} \end{pmatrix} ( λ_{1}x_{1},λ_{2} x_{2},・・・λ_{n}x_{n} )=D$

(ただし,$D$は第$ii$成分が$ λ_{i} $である対角行列)となる。

対角行列の具体例

実際に$ 2 \times2 $行列を対角化してみます。

$ A= \begin{pmatrix} 3 & 1 \\ 2 & 2 \end{pmatrix} $を対角化せよ。

解答

固有値、固有ベクトルの求め方は こちら

固有値$1$に対応する固有ベクトル$ \begin{pmatrix} 1 \\ -2 \end{pmatrix} $,

固有値$4$に対応する固有ベクトル$ \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} $

$ P= \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ -2 & 1 \end{pmatrix} $,$ D= \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 4 \end{pmatrix} $とおくと,

$ P^{-1}AP=Dとなる $

投稿日:20201020

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hayato
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