はじめに
以前の記事[
逆関数が導関数になるとき
]がTwitter上で拡散されて(
拡散されたツイート
),せっかくなのでもう少し考えてみることにしました。
しかし,2020年12月13日時点ではぱるちは2例目を見つけることすらできていません。
その代わりに,少し一般化された問題でも似たようなことが言えないかを考えましたので,ここにメモ書き程度の備忘録を残します。
問題
正の整数を固定し,関数が以下の条件を満たすとします。(前回結構がばがばに書いていていたので,真面目に書きます。)
- はある実数上のある区間上で定義されており,実数値を取る関数である。の値域をと表記する。
- は(の内部)上で階微分可能である。階導関数をと表記する。
- は上で逆関数を持つ。
は上の任意の内点に対して,を満たす。
【追記】以下のように訂正します。ご指摘頂いたbdさん,誠にありがとうございます。- の内部は空集合ではなく,その任意の内点に対してを満たす。
このようなは存在するのか? すべて求めることは出来ないか? というのが今回考えている問題です。
もしも“内部”とか“内点”という言葉に聞き覚えがなければ,やは開区間であるとして考えてもらっても大差はありません。具体的には
- はある実数上のある開区間上で定義されており,実数値を取る関数である。
- は上で階微分可能である。
- は上で逆関数を持つ。
- は空集合ではなく,任意にをとったときにを満たす。
という状況で考えてもらっても構いません。
とりあえず1つ求めることに
前回の記事
と同様に,条件を満たす関数を探してみました。
逆関数が階導関数になるとき
各正の整数に対して,区間上の関数をとする。このとについては,
と定める。このは,上の任意の点に対してを満たす。
ガンマ関数とか下降階乗冪の記号を使えばもっと楽に記述できるって?ちなみに,
は,それぞれ黄金数,白銀数,青銅数と呼ばれている値です。また,は第貴金属数です! まさかこんなところでお目にかかれるとは思いませんでした。(参考:[
貴金属比 - Wikipedia
])
以下,この関数を見つけた経緯を述べていきます。やってることはほとんど前回の記事と同じです。
見つけた経緯
でない実数を用いてと表せると仮定します。このとき階微分と逆関数をそれぞれ計算しますと,となります。条件よりですので,です。が整数でないとしてこの式を少し変形すると,となります。右辺は定数ですから,左辺も定数でなければなりません。すなわち,でなければいけません。これは……貴金属数を特徴付ける方程式ですね! 言い換えると,でなければなりません。1つ見つけられれば満足ですので,を第貴金属数として,を代入します。このときはを満たさなければなりません。つまり,です。従っての表示として,を得ることが出来ました。実際にこれが条件を満たすことは,計算することによって確認出来ます。少し追記
[見つけた経緯]において,を整数でないとして議論していましたが,を整数だと仮定するとなんだかんだで条件に反してしまいます。
また,が偶数であれば,としても条件を満たします。が奇数の時はが実数でなくなるため条件に反します。
やはり全部求めたわけではない
条件を満たす関数をすべて求めるためには今やってるような十分条件から攻める方法ではダメで,全く違う方法を考える必要がありますね。。。
そもそもぱるちは(本質的に異なる)2例目を見つけることすら出来ていません。簡単な状況なのに難しいですね......
この問題について進展があった! どこかで似たようなものを見たことがある! という場合は,コメントにて教えていただけると嬉しいです。