この記事では,記号を以下の意味で使用します.
$\thick_\T T$: $\T$の対象のsubset$T$を含む最小のthick部分圏(=直和因子でとじる三角部分圏)
$\Loc_\T T$: $\T$の対象のsubset$T$を含む最小のlocalizing部分圏
$\T^c$: $\T$のコンパクトな対象全体からなる$\T$のfull部分圏.
また,ホモトピー余極限を以下のように定義しておきます.
$\T$を任意の添字集合に対する直和をもつ三角圏とする.
下に有界な$\T$の列
\begin{align}
X_0 \overset{\varepsilon_0}\to X_1 \overset{\varepsilon_1}\to\cdots
\end{align}
に対して,そのホモトピー余極限$X$を次の完全三角形における対象として定義する:
\begin{align}
\oplus X_i\overset{\mathrm{id}-\textrm{1-shift}}\to\oplus X_i\to X\to\oplus X_i[1]
\end{align}
(すなわち,$X=\cone(\mathrm{id}-\textrm{1-shift})$である).
今回の目標は次の定理です.
$\T$を任意の添字集合に対する直和を持つ三角圏で,compact generatorをもつとする.$T$を$\T$の対象のcompact subsetとする.このとき次は同値:
前回の記事 で出てきた便利な同値条件ですね.
今回は,次の2つの定理を認めて使用します.
$\T$を任意の添字集合に対する直和をもつ三角圏であるとする.このとき,直和で閉じる$\T$の三角部分圏は直和因子でも閉じる.
定理2はホモトピー余極限の基本的な性質から導かれます.多分いつか記事にします.
(NeemanのProposition 1.6.8はさらに強く,$\T$が冪等完備であることを主張しています).
$\T$を任意の添字集合に対する直和を持つ三角圏で,compact generator$T$をもつとする.$\T$のホモロジー関手$H$について,任意の集合$\Lambda$で添字づけられた族$\{X_\lambda\mid\lambda\in\Lambda\}$における自然な射
\begin{align}
H(\oplus X_\lambda)\to\prod H(X_\lambda)
\end{align}
が同型ならば、$T$の元の直和の有限回の拡大で得られる対象の族$\{Y_i\in\T\mid i\in\mathbb Z_{\geq 0}\}$とその列
\begin{align}
Y_0 \overset{\varepsilon_0}\to Y_1 \overset{\varepsilon_1}\to\cdots
\end{align}
が存在して,そのホモトピー余極限$Y$で表現可能,すなわち$H\simeq\T(-,Y)$である.
この定理は,$\T$のホモロジー関手が表現可能となるためのシンプルな十分条件を与える非常に強い定理です.
いくつか補題を用意します.
$\T$を任意の添字集合に対する直和を持つ三角圏で,$T$をcompactな対象の集合とする.このとき,$\thick_\T T\subset\T^c$が成り立つ.
compact性がshift,cone,直和因子を取る操作で保たれることを示せば良い.shiftを取る操作で保たれることは$\T(X[1],Y)\simeq\T(X,Y[-1])$から明らか.coneを取る操作で保たれることは可換図式
\begin{align}
\begin{xy}(0,-20)*+{\T(X_2[1],\oplus Y_\lambda)}="1",(45,-20)*+{\T(X_1[1],\oplus Y_\lambda)}="2",(90,-20)*+{\T(\cone f,\oplus Y_\lambda)}="3", (135,-20)*+{\T(X_2,\oplus Y_\lambda)}="4",(180,-20)*+{\T(X_1,\oplus Y_\lambda)}="5",(0,0)*+{\oplus\T(X_2[1],Y_\lambda)}="6",(45,0)*+{\oplus\T(X_1[1],Y_\lambda)}="7",(90,0)*+{\oplus\T(\cone f,Y_\lambda)}="8", (135,0)*+{\oplus\T(X_2,Y_\lambda)}="9",(180,0)*+{\oplus\T(X_1,Y_\lambda)}="10",\ar@{->}"1";"2"\ar@{->}"2";"3"\ar@{->}"3";"4"\ar@{->}"4";"5"\ar@{->}"6";"7"\ar@{->}"7";"8"\ar@{->}"8";"9"\ar@{->}"9";"10"\ar@{<-}^\simeq"1";"6"\ar@{<-}^\simeq"2";"7"\ar@{<-}"3";"8"\ar@{<-}^\simeq"4";"9"\ar@{<-}^\simeq"5";"10"
\end{xy}
\end{align}
に5-Lemmaを適用すればよい.直和因子を取る操作で保たれることは$\T(X_1\oplus X_2,Y)\simeq\T(X_1,Y)\oplus\T(X_2,Y)$から明らか,
次の補題が非常に非自明な補題です.
$\T$を任意の添字集合に対する直和を持つ三角圏で,$T$を$\T$のcompactな対象の集合であるとする.$X$を$\T^c$のcompactな対象する.また,$Y',Y\in\T$とその間の射$f\colon Y'\to Y$について,$\cone f$が$T$の対象の直和の有限回の拡大で表されるとする.このとき,任意の射$\varphi\colon X\to Y$に対して,次の可換図式を満たす$X'\in\T$と$g\colon X'\to X$が存在して,$\cone g\in\thick_\T T$を満たす.
\begin{align}
\begin{xy}(0,0)*+{X'}="1",(45,0)*+{X}="2",(90,0)*+{\cone g}="3", (135,0)*+{X'[1]}="4",(0,-20)*+{Y'}="6",(45,-20)*+{Y}="7",(90,-20)*+{\cone f}="8", (135,-20)*+{Y'[1]}="9",\ar@{->}^{g}"1";"2"\ar@{->}"2";"3"\ar@{->}"3";"4"\ar@{->}^{f}"6";"7"\ar@{->}"7";"8"\ar@{->}"8";"9"\ar@{->}"1";"6"\ar@{->}^{\varphi}"2";"7"\ar@{->}"3";"8"\ar@{->}"4";"9"
\end{xy}
\end{align}
$\cone f$の長さ($T$の対象の直和から拡大をとり続けて$\cone f$が現れる最小の回数)による帰納法で示す.長さが1のとき,$\cone f$は$T$の対象の直和である.このとき,$X$が$\Loc_\T T$のcompactであることから,射$X\to Y\to\cone f$を考えると$\cone f$の直和因子であって有限個の$T$の対象の直和で表される対象$Z$を経由する.このとき,$Z\in\thick_\T T$である.図式
\begin{align}
\begin{xy}(0,0)*+{X}="1",(45,0)*+{Z}="2",(0,-20)*+{Y}="6",(45,-20)*+{\cone f}="7",\ar@{->}^{}"1";"2"\ar@{->}^{}"6";"7"\ar@\ar@{->}^{\varphi}"1";"6"\ar@{->}"2";"7"
\end{xy}
\end{align}
について,三角圏の公理から,$Z=\cone g$となるような$g\colon X'\to X$が取れる.よって長さが1のときは示された.長さが$n$以下の場合に成立を仮定して,長さが$n+1$の場合を示す.$\cone f$は長さが$n+1$であるから,長さが$n$以下の対象$E_1,E_2$を用いて
\begin{align}
E_2\to\cone f \to E_1\to E_2[1]
\end{align}
が完全三角形となるようにできる.このとき,まず八面体公理から,
\begin{align}
\begin{xy}(0,0)*+{Y'}="1",(45,0)*+{Y}="2",(90,0)*+{\cone f}="3", (135,0)*+{Y'[1]}="4",(0,-20)*+{Y'}="6",(45,-20)*+{Y''}="7",(90,-20)*+{E_2}="8", (135,-20)*+{Y'[1]}="9",(45,20)*+{E_1}="10",(90,20)*+{E_1}="11",(45,-40)*+{E_1[-1]}="12",(90,-40)*+{E_1[-1]}="13"\ar@{->}^{}"1";"2"\ar@{->}"2";"3"\ar@{->}"3";"4"\ar@{->}^{}"6";"7"\ar@{->}"7";"8"\ar@{->}"8";"9"\ar@{=}"1";"6"\ar@{<-}"2";"7"\ar@{<-}"3";"8"\ar@{=}"4";"9"\ar@{=}"10";"11"\ar@{->}"2";"10"\ar@{->}"3";"11"\ar@{=}"12";"13"\ar@{->}"12";"7"\ar@{->}"13";"8"
\end{xy}
\end{align}
の各行各列が全て完全三角形である.そこで,$X$がcompactであることと$E_1$の帰納法の仮定から可換図式
\begin{align}
\begin{xy}(0,0)*+{A}="1",(45,0)*+{X}="2",(90,0)*+{\cone g_1}="3", (135,0)*+{A[1]}="4",(0,-20)*+{Y''}="6",(45,-20)*+{Y}="7",(90,-20)*+{E_1}="8", (135,-20)*+{Y''[1]}="9",\ar@{->}^{g_1}"1";"2"\ar@{->}"2";"3"\ar@{->}"3";"4"\ar@{->}^{}"6";"7"\ar@{->}"7";"8"\ar@{->}"8";"9"\ar@{->}"1";"6"\ar@{->}"2";"7"\ar@{->}"3";"8"\ar@{->}"4";"9"
\end{xy}
\end{align}
を満たし$\cone g_1\in\thick_\T T$であるような$A,g_1$をとる.ここで,特に補題4から$\cone g_1$はcompactであり,したがって$A$もcompactである.よって,$E_2$の帰納法の仮定から
\begin{align}
\begin{xy}(0,0)*+{B}="1",(45,0)*+{A}="2",(90,0)*+{\cone g_2}="3", (135,0)*+{B[1]}="4",(0,-20)*+{Y'}="6",(45,-20)*+{Y''}="7",(90,-20)*+{E_2}="8", (135,-20)*+{Y''[1]}="9",\ar@{->}^{g_2}"1";"2"\ar@{->}"2";"3"\ar@{->}"3";"4"\ar@{->}^{}"6";"7"\ar@{->}"7";"8"\ar@{->}"8";"9"\ar@{->}"1";"6"\ar@{->}"2";"7"\ar@{->}"3";"8"\ar@{->}"4";"9"
\end{xy}
\end{align}
を満たし$\cone g_2\in\thick_\T T$であるような$B,g_2$をとる.ここで,上の二つの図式の一番左側の図式を結合させた
\begin{align}
\begin{xy}(0,0)*+{B}="1",(45,0)*+{X}="2",(0,-20)*+{Y'}="6",(45,-20)*+{Y}="7",\ar@{->}^{g_1\circ g_2}"1";"2"\ar@{->}_{f}"6";"7"\ar@\ar@{->}^{}"1";"6"\ar@{->}^{\varphi}"2";"7"
\end{xy}
\end{align}
の$B$と$g_{1}\circ g_2$が求めるべき対象と射であることを示す.これを完全三角形の間の射に拡張すると,
\begin{align}
\begin{xy}(0,0)*+{B}="1",(45,0)*+{X}="2",(90,0)*+{\cone (g_1\circ g_2)}="3", (135,0)*+{B[1]}="4",(0,-20)*+{Y'}="6",(45,-20)*+{Y}="7",(90,-20)*+{\cone f}="8", (135,-20)*+{Y'[1].}="9",\ar@{->}^{g_1\circ g_2}"1";"2"\ar@{->}"2";"3"\ar@{->}"3";"4"\ar@{->}_{f}"6";"7"\ar@{->}"7";"8"\ar@{->}"8";"9"\ar@{->}"1";"6"\ar@{->}"2";"7"\ar@{->}"3";"8"\ar@{->}"4";"9"
\end{xy}
\end{align}
$\cone (g_1\circ g_2)\in\thick_\T T$を示せばよい.いま,八面体公理から次の図式が可換かつ全ての行と列が完全三角形である:
\begin{align}
\begin{xy}(0,0)*+{B}="1",(45,0)*+{X}="2",(90,0)*+{\cone g_1\circ g_2}="3", (135,0)*+{B[1]}="4",(0,-20)*+{B}="6",(45,-20)*+{A}="7",(90,-20)*+{\cone g_2}="8", (135,-20)*+{B[1]}="9",(45,20)*+{\cone g_1}="10",(90,20)*+{\cone g_1}="11",(45,-40)*+{\cone g_1[-1]}="12",(90,-40)*+{\cone g_1[-1].}="13"\ar@{->}^{}"1";"2"\ar@{->}"2";"3"\ar@{->}"3";"4"\ar@{->}_{g_2}"6";"7"\ar@{->}"7";"8"\ar@{->}"8";"9"\ar@{=}"1";"6"\ar@{<-}_{g_1}"2";"7"\ar@{<-}"3";"8"\ar@{=}"4";"9"\ar@{=}"10";"11"\ar@{->}"2";"10"\ar@{->}"3";"11"\ar@{=}"12";"13"\ar@{->}"12";"7"\ar@{->}"13";"8"
\end{xy}
\end{align}
よって特に左から2列目が完全三角形であり,$\cone g_1,\cone g_2\in\thick_\T T$であることから$\cone g_1\circ g_2\in \thick_\T T$である.以上から示された.
主定理を示す準備ができました.もう一回主定理を掲示しておきます.
$\T$を任意の添字集合に対する直和を持つ三角圏で,compact generatorをもつとする.$T$を$\T$の対象のcompact subsetとする.このとき次は同値:
1.$\Rightarrow$2.を示す.まず,$Y\in\T$に対して,
\begin{align}
\mathrm{ob\ }\mathcal C=\{A\in T\mid\forall n\in\mathbb Z,\T(A[n],Y)=0\}
\end{align}
であるような$\T$のfull部分圏$\mathcal C$を考えると,これは$\T$のlocalizing部分圏となる.まずこれを示そう.シフトで閉じることは定義から明らかである.coneで閉じることを示す.$A\overset{f}\to B\in \mathcal C$に対して$\T(-,Y)$がホモロジー関手であることから
\begin{align}
0=\T(A[1]),Y)\to\T(\cone f,Y)\to \T(B,Y)=0
\end{align}
が完全列であり,ここから$\cone f\in \mathcal C$が従う.直和で閉じることを示す.集合$\Lambda$で添字づけられた$X_\lambda\in\mathcal C$に対して,
\begin{align}
\T(\oplus X_\lambda,Y)\simeq \prod\T(X_\lambda,Y)=0
\end{align}
となることから,$\oplus X_\lambda\in \mathcal C$が従う.よって,1.の仮定から,$\mathcal C=\T$である.$Y$は任意の$\T$対象からの射が0射しかないことになるので$Y=0$である.
2.$\Rightarrow$1.を示す.任意の$Y\in\T$に対して,$\T(-,Y)$を$\Loc _\T T$に制限した$\T(-,Y)\mid_{\Loc_\T T}$を考える.このとき,この関手はホモロジー関手であり,集合$\Lambda$で添字づけられた$X_\lambda\in\mathcal C$に対して$\T(\oplus X_\lambda,Y)\mid_{\Loc_\T T}\simeq \prod\T(X_\lambda,Y)\mid_{\Loc_\T T}$であるからBrownの表現定理の仮定を満たしている.よって,ある$Z\in \Loc_\T T$が存在して自然同型
\begin{align}
\theta\colon\Loc_\T T(-,Z)\simeq \T(-,Y)\mid_{\Loc_\T T}.
\end{align}
が取れる.よって,米田の補題(
前回の記事
参照.補題中の$\mathcal A(-,A)$を$\T(-,Y)|_{\Loc_\T T}$,$F$を$\Loc_\T T(-,Z)$とする)から$\alpha\colon Z\to Y$で任意の$X\in \Loc_\T T$に対して$\theta_X=\Loc_\T T(X,\alpha)$であるものが存在する.ここで,完全三角形
\begin{align}
Z\overset{\alpha}{\to}Y\to\cone \alpha\to Z[1]
\end{align}
を考えてこれに$\T(A,-)$(ただし$A\in T$)を作用させると,$\T(A,-)$がホモロジー関手であることと$\T(A,Z)\simeq \T(A,Y)$である($\Loc_T T$はfull部分圏なので$\Loc_\T T(-,Z)=\T(-,Z)$に注意)ことから,$\T(A,\cone\alpha)=0$.仮定から$\cone\alpha=0$であり,これは$Y\simeq Z$を意味する.よって,$Y\in \Loc_\T T$となり$\Loc_\T T=\T$が示された.
1.$\Rightarrow$ 3.を示す.任意のcompactな対象$Y\in\T^c$に対して,$\T(-,Y)$にBrownの表現定理を適用する.すなわち,$\T$の列
\begin{align}
Y'_0 \overset{\varepsilon_0}\to Y'_1 \overset{\varepsilon_1}\to\cdots
\end{align}
で,そのホモトピー余極限$Y'$が,$\T(-,Y)\simeq\T(-,Y')$となるようなものをとる.このとき,米田の補題から$Y\simeq Y'$であるから$Y'$もcompactである.このとき,完全三角形
\begin{align}
\oplus Y'_i\overset{\mathrm{id}-\textrm{1-shift}}\to\oplus Y'_i\to Y'\overset{\psi}\to\oplus Y'_i[1]
\end{align}
において$Y'$がcompactであることから$\psi$は$Y'_i[1]$の有限直和を経由する(ここで,この有限直和は$Y'_1[1]\oplus\cdots\oplus Y'_n[1]$として一般性を失わない).このとき,完全三角系は複体であるから$(\mathrm{id}-\textrm{1-shift})[1]\circ\psi=0$であり,$\psi$を有限直和への射$\psi'$と埋め込み$\iota$に分解して$\psi=\iota\circ\psi'$とすると,$(\mathrm{id}-\textrm{1-shift})[1]\circ\iota$は次の行列で表される射である:
\begin{align*}
\begin{bmatrix}
1&0&\cdots&&\cdots&0\\
-\varepsilon_0&1&0&\cdots&\cdots&0\\
0&-\varepsilon_1&1&0&\cdots&0\\
\vdots&&&\ddots&&\vdots\\
\vdots&&&-\varepsilon_{n-1}&1&0\\
0&\cdots&&0&-\varepsilon_{n}&1
\end{bmatrix}
\end{align*}
(正確にはこれは像を$Y'_i[1]$の有限直和に制限した表示であり,これを$\oplus Y'_i[1]$へ埋め込んだものが$(\mathrm{id}-\textrm{1-shift})[1]\circ\iota$である).このとき,これは左逆射
\begin{align*}
\begin{bmatrix}
1&0&\cdots&&\cdots&0\\
\varepsilon_0&1&0&\cdots&\cdots&0\\
\varepsilon_1\circ\varepsilon_0&\varepsilon_1&1&0&\cdots&0\\
\vdots&&&\ddots&&\vdots\\
\vdots&&&\varepsilon_{n-1}&1&0\\
\varepsilon_{n}\circ\cdots\circ\varepsilon_0&\cdots&&\varepsilon_n\circ\varepsilon_{n-1}&\varepsilon_{n}&1
\end{bmatrix}
\end{align*}
をもつ.よって,$\psi'=0$,特に$\psi=0$である.よって,$\oplus Y'_i\to Y'$はretractionとなる.対応するsection$Y'\to \oplus Y'_i$を考えると,$Y'$のcompact性から$Y'$は$Y'_i$の有限直和の直和因子である.各$Y_i$は$T$に属する対象の直和の有限回の拡大で記述されることから特にその有限直和も同様である.ここで,補題5を以下の図式に適用する:
\begin{align}
\begin{xy}(45,0)*+{Y'}="2",(0,-20)*+{0}="6",(45,-20)*+{\underset{\mathrm{finite}}\oplus Y'_i}="7",(90,-20)*+{\underset{\mathrm{finite}}\oplus Y'_i}="8", (135,-20)*+{0.}="9",\ar@{->}^{}"6";"7"\ar@{=}"7";"8"\ar@{->}"8";"9"\ar@{->}^{}"2";"7"
\end{xy}
\end{align}
このとき,ある$A\in\T$と$f\colon A\to Y'$でsection $Y'\to \oplus Y'_i$との合成が$0$を経由するものが存在して$\cone f\in \thick_\T T$であるというのが補題5の主張であった.sectionは特に単射なので,$f$は$0$射なので$Y'$は$\cone f$の直和因子であるから$Y'\in \thick_\T T$である.よって,$\T^c\subset \thick_\T T$である.逆は補題4から明らか.
3.$\Rightarrow$1.を示す.$\T^c\subset\thick_\T T\subset\Loc_\T T$なので,$T^c$はcompact generatorを含むことから$\Loc_\T T=\T$.
以上で示されました.
主定理の「$\T$がcompact generatorを持つとする」という仮定は必要な仮定です.2.から1.を示すときにBrownの定理を使いますが,Brownの定理は三角圏がcompact generatorを持つとしたうえでホモロジー関手が表現可能である条件を述べたものです.また,3.から1.を示すときにこの仮定がないと$\Loc_\T\T^c=\T$が導出できません.
間違っている部分などございましたらコメントにて指摘していただけますと幸いです.
わからないところを一緒に議論して考えてくださった後輩のA氏に感謝いたします.
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