Euler-Maclaurinの定理
この記事においてのEuler-Maclaurinの定理とは, 次を指すものとする.
Euler-Maclaurinの定理
をである整数とする. 実数値関数が区間で減少するとき,
が成り立つ. 特に, 実数に対してが上の非負な減少関数であれば, 次が成り立つ.
が有界閉区間でRiemann積分可能であることを認めているかに思えるが, 実はその必要はない. 実際,
Lealzさんの記事
で, 有界閉区間上の減少関数は積分可能であることが証明されている.
定理の後半においてを考えれば, が収束することとが収束することは同値なことが分かる. そのため, この定理はDirichlet級数の絶対収束域を求めるのにしばしば利用される.
ゼータ関数はの実部がより大きい領域でのみ絶対収束する.
例1を示そう. の実部をとおいて定理の後半を適用すれば, 実数に対して
が成り立つので, のにおける収束域を求めればよい.
だから, で収束するのはの場合に限る.
このようにして, 特定のDirichlet級数の絶対収束域を求めることができる. では, 定理の証明に移ろう.
定理
はで減少する故, 各に対して
が成り立つ. この辺々をに関して足せば, 前半を得る. 後半は,
に注意しつつ, 適宜前半を使えば
というように示すことができる. 但し, 最後の不等式ではが非負である事実を用いた.
参考:共立講座 数学の輝き 素数とゼータ関数, 小山信也, 共立出版.