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行列のLTEの補題

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$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathrm{div}} \newcommand{division}[0]{÷} \newcommand{grad}[0]{\mathrm{grad}\ } \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{rot}[0]{\mathrm{rot}\ } \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

この記事は正確とは限らないしかなり適当です.()

今回は前回の予告通り代数体のLTEの補題を行列に応用したいと思います.早速今回のメインの定理を紹介します.記号等はは前回と同様です.

行列のLTEの補題

$K$を代数体,$n$を正整数とする.$n$次元正方形行列$A\in M_n(K)$の要素が以下の条件を満たすとき,$v(\det(A^m-I))=v(\det(A-I))+nv(m)$が成立する.

  • $A-I$の成分は$P=\{x\in K|v(x)>\frac{e}{p-1}\}$に含まれる.
    ($I$$n$次元単位行列である.)

方針は$A$を対角化することである.$A$の重複を含めた固有値を$\lambda_k$とするとき,$K$の代わりに$K[\lambda_1,...,\lambda_n]$を考えれば良いので$\lambda_k\in K$として良い.$A$の固有方程式は$\det(A-xI)=\det(A-I-(x-1)I)$より$\lambda_k-1=y_k$とすると,$y_k\in P$となる.これは,$t\in P$$v(t)$が最小になるものを一つ取ってきて(存在することは明らか)$\frac{y_k}{t}$$\mathcal O_{\mathfrak p}$上整であることを言えばいいがこれは固有方程式に代入して両辺を適当な数で割るとわかる.
よってジョルダン標準形を$P^{-1}AP=J$とすると$\det(A^m-I)=\det(P^{-1}(A^m-I)P)=\det(J^m-I)=\displaystyle{\prod_{k=1}^n(\lambda^m-1)}$
なので前回の記事の定理2より
$$v(\det(A^m-I))=\displaystyle{\sum_{k=1}^nv(\lambda_k^m-1)}\\=\displaystyle{\sum_{k=1}^nv(\lambda_k-1)+v(m)}=nv(m)+v(\displaystyle{\prod_{k=1}^n(\lambda_k-1)})\\=nv(m)+v(\det(J-I))=v(\det(A-I))+nv(m)$$
よって示された.

LTEの補題が行列にも適用できるのはかなり面白いと思った.少し前に別の形の行列のの補題を書いたがそれとは少し違ったものとなっている.これ以外にも行列のLTEの補題が成立するのではと考えてたりします.(行列の積の非可換性がやっかいである)あと具体例を計算すると楽しいかもしれないです.

投稿日:202111

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