Mathlogの 高校数学の数列と微分積分は似ているという話(和分差分) を拝見し、自分も同じようなことをはてブロにかいたこと思い出したので、それを再構成してみました。厳密なものではないのでその点はご承知ください。
関数を積分すると、ある区間の面積や体積などを求めることができる。例えば、関数
これと同じように数列でも簡単に部分和を求めることができる方法がある。それが和分法であり、積分法の離散バージョンと考えて良い。例えば、数列
これは Wolfram Alphaで求めた結果 と一致している。
和分記号
微分では、以下が成り立っていた。
この性質により、積分は以下のように計算できる。
離散系でこの性質が成り立つのが先程導入した下降階乗である。微分に対応する演算として差分を以下のように定義する。
差分に関して以下のことが成り立つ。
負の数に対してもこの性質は成り立つ。この性質を使って、積分に対応する演算である和分は以下のように考えることができる。
以上のことを一般化すると、次の対応表が得られる。
微分 | 積分 | |
---|---|---|
連続系 | ||
離散系 |
また、定和分については以下が成り立つ。
以上が先程の数列の部分和が定和分で求められる理由である。和分法ではこれ以外にも多くの数列の部分和を求めることができる。
下降階乗についての性質は、連続系と同じように
これは、以下のように確かめることができる。
これは
となり、差分が元の関数と一致する。これは連続系の
連続系の部分積分のように、離散系での部分和分を考える
これを移項して和分すると、部分和分が得られる。
以上のことを使って和を求めてみる。
Wolfram Alphaで確認してみると 一致していることがわかる。
Wolfram Alphaで確認してみると 一致していることがわかる。
和分法を用いると複雑な部分和を計算だけで求めることができる。以下の和も和分法で求められる例である。
任意の多項式は下降階乗のみを用いた式に表せることが知られている。下降階乗のみの式に変換してから和分法を適用すれば良い。この変換には、スターリング数を使う。
スターリング数の定義に関しては こちらのサイト がわかりやすい。
第2種スターリング数を
通常のべきの場合は、第2種スターリング数を以下のように使うことで下降階乗に変換することができる。
これは数学的帰納法で証明できる。
となるので成り立つ。
より、移項すると
が成り立つ。これを利用すると、
となるので、成り立っている。
和分法では下降階乗の性質を使うことによって計算ができていた。第2種スターリング数使って下降階乗に変換してから和分する。例えば、以下のように計算できる。
これを組み合わせれば、任意の多項式を下降階乗のみの式にするとこができるため、任意の多項式で和分法は適用可能である。