** 謹賀新年
2021年を迎えることとなった。新年も数学研究と数学の発信に励んでいきたい。
昨日にして昨年の記事に続き、オイラー関数を含む和に関する不等式について触れていきたい。
通例通りオイラー関数
また
また
つまり、平方因子をもたない数全体でオイラー関数の逆数の和をとると、大きさはだいたい自然対数と一致する(したがって調和級数と増加の速さは一致する)ことがわかる。
下からの評価を
Kevin Ford,
An explicit sieve bound and small values of \sigma(\varphi(m)),
Period. Math. Hungar. 43 (2002), 15–29
があるが、意外と上記の形の不等式を証明した文献が見当たらないので、ここで証明しておきたい。
が成り立つ。
で
このとき
だから
となる。よって
が成り立つ。
主要項に現れる
が成り立つ。また
となるが、
および
が成り立つから、
とおくと
となる。
誤差項において、
が成り立つ。
よって (1) の右辺について
がいえる。
を求める必要がある。
だから
となる。よって
となって1に一致してしまう。(1) と (3) から
となって、定理が証明された。