約数個数函数というものがあります。その名の通り整数
と定義されます。(
この約数個数函数の2つの母函数をこの記事では求めます。具体的にいうと、
母函数としてのディリクレ級数
通常型母函数
この2つを求めます。
以上より、
がわかりました。
1行目から2行目への式変形ですが、
通常型母函数を求める前に、q-類似について軽く触れます。
q-類似(きゅーるいじ、英: q-analog, q-analogue)とは、理論に q → 1 の極限で、元の理論に一致するように径数 q を導入するような拡張のことをいう。q-拡張(英: q-extension)などとも呼ばれる。
詳しく知りたい、という方は こちら をご覧ください。q-類似に関するwikiです。また、 nkswtr さんが書かれた こちら のPDFも良いかもしれません。
ここでは通常型母函数を導出するにあたり必要なq-Pochhammer記号、q-ガンマ函数、q-ディガンマ函数、q-Euler定数の定義について説明します。
まず、q-Pochhammer記号です。これは
と定義されます。この記事では
を使います。
次にq-ガンマ函数です。これは
と定義されます。この記事ではこの定義を式変形し、
としたものを使います。
そしてq-ディガンマ函数とq-Euler定数ですが、それぞれ
と定義されます。
定義を一通り確認したところで本題に入ります。
まず、
ここで、
より、
がわかりました。
ディリクレ級数の方ですが、この等式をうまく用いることで 前回の記事 の問題を解くことが出来ます。興味が湧いた方は是非挑戦してみてください。
この記事を書くにあたり協力してくださった don@ld さん、本当にありがとうございます。