はじめに
この記事では合同方程式
のにおける解を求めます。
具体的には以下の結果が得られます。なおは素数とし、は
・のとき
・のとき
なる整数とします。
とおいたとき、整数が合同方程式
を満たすことと
を満たすことは同値である。
- のとき
の解はで尽くされる。 - のとき
の解はで尽くされ、
の解はで尽くされる。
なお原始根の公式でも見つからない限りの場合に関する一般的な結果は得られないものと思われます。
そしてこの系として以下の事実が成り立ちます。
整数を動かしたときにが取りうる値を考えると以下が成り立つ。
この系はなかなか面白いもので、例えばとすると任意の奇数に対して
が成り立ち、また例えばとするとの倍数でない任意の整数に対して
が成り立つことがわかります。
これらの剰余関係が一々にからまでの値を代入して確かめなくても簡単にわかるというのは楽なもので、例えば以下のような応用が思い付きます。
をでない正数とし、もしも等式が成立しているならば、のうち少なくとも一つはの倍数であることを示せ。(1998 信州大)
上の系においてとするとの倍数でない任意の整数に対して
が成り立つのでとすると
となって矛盾。よってを得る。
の解の個数
整数が合同方程式を満たすこととを満たすことは同値である。
群の一般論よりがを満たすときの位数はを割り切るということと、より任意のに対してが成り立つことから
を得る(のときは(下の命題からもわかるように)任意のに対してが成り立つことが知られているのでとできることがわかる)。
の構造について
- のとき
ある位数の元が存在し、任意のは
の形に一意的に表せる。 - のとき
ある位数の元が存在し、任意のは
の形に一意的に表せる。
- のとき
の解の個数は丁度個である。 - のとき
の解の個数は丁度個であり、
の解の個数は丁度個である。
- のとき
命題4のようなに対し、がを満たすこととつまりを満たすことは同値である。そしてそのようなの取り方は
の通りあるので符号の取り方もあわせての取り方は通りあることになる。 - のとき
上と同様にしてが
・を満たすときの取り方はの通り
・を満たすときの取り方はの通りあることになる。
の解
- のとき
は合同方程式を満たす。 - のとき
は合同方程式を満たし
は合同方程式を満たす。
二項定理より
と表せるので
が成り立つことを示せばよい。
いまルジャンドルの公式から
特にが成り立つことに注意すると
を得る。
において
なのでとは異なる剰余を持つ。
また
が成り立つとすると、この両辺にを掛けることで
となるのでよりでなければならないがのときはとしていたので矛盾。
以上より主張を得る。
命題5と補題7から補題6で挙げた解の個数と方程式の解の個数が一致することがわかるので定理2を得る。
の剰余
定理2
整数を動かしたときにが取りうる値を考えると以下が成り立つ。
- のとき
はやを満たすのであるを用いて
と表せ、逆に命題5の証明から任意のに対しあるが存在して
が成り立つことから主張を得る。 - のとき
上と同様にあるが存在して
と表せるが任意の奇数に対し
が成り立つことに注意すると符号は正となる。また任意のにあるが存在して
が成り立つが
なので符号は正となることから主張を得る。