【後編】→まだ公開してないよ!
問題
この問題を初等的な知識だけで解いてみよう!というのがこの記事の目標です。長くなってしまいましたので,【前編】と【後編】に分けております。
解答作り
以下,先の問題に解答を与えます。なお,
とナンバリングしておきます。
,,はそれぞれ互いに素としてよい
は①を満たすとします。この時とは互いに素としても一般性は失われません。実際,とが共通な素因数を持つならば,ある自然数が存在して,,と書けますが,このとき①は
と書けるので,はの倍数であることが分かります。よってと書けるので,
となります。で何回割れるかに着目すれば,もの倍数でなければなりません。として,
ですので,もの倍数です。として,
同様にはの倍数だからとすれば,
であり,も①の解となります。というわけで,とが①を満たすならばとが互いに素の時を考えれば十分だということが分かりました。
同様にとを互いに素,とを互いに素としても一般性は失われないことが分かります。ですのでそれぞれが互いに素であるという仮定のもと,①について考えていくことにします。
とは互いに素としていますので,考えうる組合せとしては次の通りが考えられます。
- との偶奇が異なるとき
- とが共に奇数のとき
それぞれの場合で考えることとしましょう。
との偶奇が異なるとき
とについて,一方が偶数,他方が奇数のときを考えます。
,とすると,もも奇数であり,と分かります(途中,が奇数であること,とが互いに素であることを用いている。)ので,とは互いに素です。またとをそれぞれとを用いて表しますと,
となります。。これを①に代入すると,
となります。ここでとの最大公約数を考えると,とが互いに素であることから,その可能性はかしかないことが,互除法を用いることで分かります。それぞれの場合を見ていきましょう。
のとき
のとき,は奇数であるから,②より,ある自然数,が存在して
と表せます。
理由
もしもが自然数の乗として表せないならば,はある素数で最大奇数回割り切れることになるが,②の左辺はで最大偶数回割り切れなければならず,これはも素因数を持つこととなり,としたことに矛盾する。
このとき,となりますが,①式を変形すると,とも表せます。③と④を比較することで,を得ます。ここで,次の補題 1 を用意します。
自然数の組が,
を満たす為には,を満たすことが必要十分である。
この補題 1 を認めれば,⑤は⭐の形をしているので,
が従い,これよりとなるから,①の自然数解とはならないことが結論付けられました。
補題 1 の証明は【後編】にて扱います。
のとき
のとき,が奇数であることから,②よりある自然数,が存在して
と表せます(が平方数となることについてはのときと同様の議論をすればよいです)。のときと同様にして,とについて通りの表示が得られます。従っての間には
なる関係があります。これも⭐の形をしているので,補題 1 から
ですので,正整数ではありません。
以上より,との偶奇が異なるときは①式は正整数解を持たないことが分かりました。
とが共に奇数のとき
とが共に奇数のとき,ある整数を用いて,と表せます。このとき
と表せるので,とは偶奇が異なり,特に互いに素となることが分かります。
とが互いに素な理由
とは共に奇数で互いに素だから,
⑥を①に代入することで,
を得ます。との最大公約数を考えると,とが互いに素,は奇数であるため,その可能性はかしかなりえません。それぞれの場合を見ていきましょう。
のとき
のとき,⑦よりは偶数ですので,ある自然数を用いてと表すことが出来ます。または奇数だから,ある自然数,が存在して,
と表せます。これと①より,は2通りの表示ができて,
と,
です。これら式を比較することで,
とまとめることが出来ました。これも⭐の形をしているので,補題 1 を適用することが出来ます。つまり
が従いますので,自然数解とはなりません。(そもそもを奇数としたことに矛盾していますね。)
のとき
のときも同様に考えます。⑦より,これまでと同様に,ある自然数が存在して,
と表せます。やはりを通りで表すことによって,
となり,これも⭐の形をしていますので,補題 1 を適用して,
よってこれも自然数解とはなりません。
以上ですべての場合を考えましたので,①を満たす自然数解は存在しないことが示されました。
ここまでのまとめ
【前編】では,を満たす自然数解について,補題 1 が成り立つならば存在しない!ということを証明しました。
証明の中身を見れば分かりますが,副産物として以下も従います。
の“整数”解
の整数解は,整数を用いて以下のパターンに分類される。
特にについては,かなり非自明な雰囲気を感じますね。
【後編】では補題 1 を証明します。
ここまで見ていただきありがとうございます!