はじめに
この記事では,僕流のの近似の仕方について少しお話したいと思います. 現在,円周率の値はコンピュータの計算によって数十兆桁までわかっています.しかし,それ以前の時代では,偉大なる数学者たちが円周率の近似を手計算で求めていました.(その歴史については下のリンクから見れます.)手計算でやることの楽しさと難しさが伝わればいいなと思います.
円周率の歴史
近似の手順
ここから,僕がやっている近似の方法について話します.近似の手法は次の通りです.
区間においてほぼとなる関数で,
のかたちで表されるものを見つけてくる.このとき であることを利用して
と近似できる.
これだけ見ても分かりずらいと思うので,簡単な例を見ていきましょう.
とすると,
はの近くではほぼなので,
こんな感じでを近似することができます.さらに言えば,被積分関数は常により大きいので,とを下から評価することもできます.
近似の精度を高めるために
積分区間を短くする
先程の例において,としてみましょう.
よって
先程よりも良い近似ができました.この近似のやり方はをとみなすことによって行っていたので,区間が大きくなればなるほど,誤差が大きくなってしまい,精度が悪くなってしまいます.
マクローリン展開を考える
冒頭の近似のやり方において,においてほぼとなる関数を見つけてくるといいましたが,これについてもう少し詳しく話します.ここではの場合に限った話とします.先ほども述べましたが,この近似のやり方はをとみなすことによって行っていました.ですので,精度を高めるためには,付近においてができるだけに近づける必要があります.したがって,をマクローリン展開したとき,最低次数が大きくなるようにすればよいです.
極端な例を考えましょう.(WolframAlphaを使いました)
これより
小数第位まで一致しました.なぜここまで精度が高いかといえば,だからです.とはいえを手計算でやるのは不可能に近いです.手計算が可能かつマクローリン展開したときに最低次数が大きくなるをうまく見つけられるかがポイントになってきます.
なお,先ほど登場したはで,簡単な関数にしてはかなり良い関数になっています.
ここで登場したランダウの記号()については,湧水さんの記事を参照してください.
湧水さんの記事
僕が見つけたの証明
最後に僕が今まで試行錯誤したなかで一番うまくいった例を示します.
・の証明
これがより大きいこととより
・の証明
これがより大きいこととより
ここで登場したとをマクローリン展開すると
になります.
さいごに
以上でこの記事は終わりです.みなさんもを手計算で近似してみませんか?最後まで読んでいただきありがとうございます.