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オミクロン記号のお話

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$$\newcommand{a}[0]{\alpha} \newcommand{b}[0]{\beta} \newcommand{beq}[0]{\begin{eqnarray*}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{ds}[0]{\displaystyle} \newcommand{eeq}[0]{\end{eqnarray*}} \newcommand{G}[1]{\Gamma({#1})} \newcommand{g}[0]{\gamma} \newcommand{hp}[0]{\frac{\pi}2} \newcommand{limn}[0]{\lim_{n\to\infty}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{sumk}[0]{\sum_{k=1}^n} \newcommand{sumn}[1]{\sum_{n={#1}}^\infty} \newcommand{t}[0]{\theta} \newcommand{tc}[0]{\TextCenter} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

はじめに

この記事では, お受験のときの極限の問題で役に立つかもしれない, ランダウのオミクロン記号について説明しようと思います.

簡潔になるようにがんばりたいと思います.
${}$

定義

オミクロン記号は, 次のように定義されます.


$\hspace{0.5cm}$$f(x)=o(g(x))\ \ (x\to\infty)$であるとは,
$$\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}{g(x)}=0$$
であることを言う.
${}$
$\hspace{0.5cm}$$f(x)=O(g(x))\ \ (x\to\infty)$であるとは, ある定数$M$が存在して, 十分大きい全ての$x$に対し
$$\Bigg|\frac{f(x)}{g(x)}\Bigg|< M$$
であることを言う.

また, $x\to a$の場合も同様の式で定義されます.

これは感覚的には, $f(x)=o(g(x))$$f$$g$よりもとても小さいこと, $f(x)=O(g(x))$$f$$g$はだいたい同じくらいの大きさであること, を表しているような感じです.
${}$

また最後に, これもよく使うことがあるので知っておくと良いです.


$\hspace{0.5cm}$ $f(x)\sim g(x)\ \ (x\to\infty)$であるとは,
$$\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}{g(x)}=1$$
であることを言う.

これは, $f(x)$$g(x)$がほぼ同じ大きさであることを表していると思えば良いです.
${}$

いくつか例を挙げます. 基本的に$g(x)$$x^n$の形にすることが多いです.

$x\to\infty$のとき,
$$\beq &&2x^3+3x+\sin x=O(x^3)\\ &&\frac1x=o(1)\\ &&\log x=o(x^{\epsilon})\ \ \ (\epsilon>0)\\ &&x+\sqrt{x^2+1}\sim 2x \eeq$$

$x\to0$のときは, 次の式が重要です. $f(x)$は原点で連続微分可能として,


$$ f(x)=f(0)+f'(0)x+O(x^2)$$

これはもう, 微分の定義のようなものですね.

あとは, $O(x)$$O(x^2)$ですが$O(x^2)$$O(x)$ではないことに注意してください.

応用例

${}$

$\hspace{0.5cm}$$(1)$$\ds\limn\big(\sqrt{n^2+n}-n\big)$

$\ds\sqrt{n^2+n}=n\sqrt{1+\frac1n}$ と書きます. $n\to\infty$$\ds\frac1n\to0$であることと, $x\to0$$\ds\sqrt{1+x}=1+\frac x2+O(x^2)$であることから, $\ds\sqrt{1+\frac1n}=1+\frac1{2n}+O\Big(\frac1{n^2}\Big)$です. 従って,
$$\beq \ds\sqrt{n^2+n}-n&=&n\Big(1+\frac1{2n}+O\Big(\frac1{n^2}\Big)\Big)-n\\ &=&\frac12+O\big(\frac1n\big)\\ &\to&\frac12 \eeq$$
となります.
${}$

$\hspace{0.5cm}$$(2)$$\ds\limn n\Big(\big(1+\frac1n\big)^n-e\Big)$

こちらの記事 を参照してください.

${}$

おわりに

読んで下さった方, ありがとうございました.
${}$

投稿日:20201116

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投稿者

東大理数B4です

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