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この記事では, いつの問題なのかわからないのですが, ネットで見かけた, 大学への数学で出されたらしい以下の極限の問題を, オミクロン記法を使ってすこし簡単に解こうと思います.
オミクロン記法については こちらの記事 を参照してください.
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(証明)
まず, $f(x)$の$x\to\infty$でのオーダーを考えてみます. $f(x)=e+o(1)$であることは確かですが, ここでは$x^{-1}$の項まで近似してみようと思います. (即ち, $f(x)$が$e$にどれくらいの速さで近づくのかを調べてみます.)
$x\to\infty$のとき$x^{-1}\to0$であることに注意して,
$$\beq \log f(x)&=&x\log(1+x^{-1})\\[5pt] &=&x\Big(x^{-1}-\frac12x^{-2}+O(x^{-3})\Big)\\[5pt] &=&1-\frac12x^{-1}+O(x^{-2}) \eeq$$
これと$t\to0$のとき$e^t=1+t+O(t^2)$であることから,
$$\beq f(x)&=&\exp\big(\log f(x)\big)\\[5pt] &=&\exp\Big(1-\frac12x^{-1}+O(x^{-2})\Big)\\[5pt] &=&e\cdot\exp\Big(-\frac12x^{-1}+O(x^{-2})\Big)\\[5pt] &=&e\Big(1-\frac12x^{-1}+O(x^{-2})\Big)\\[5pt] &=&e-\frac{e}2x^{-1}+O(x^{-2}) \eeq$$
とわかりました!
ここで, 一般に$\ds x^{-n}-(x+1)^{-n}=\frac{nx^{n-1}}{x^n(x+1)^n}=O(x^{-(n+1)})$ なので,
$$\beq f(x+1)-f(x)&=&-\frac{e}{2}\Big(\frac{1}{x+1}-\frac1x\Big)+O(x^{-3})\\[5pt] &=&\frac{e}{2}\cdot\frac{1}{x(x+1)}+O(x^{-3})\\[5pt] &\sim&\frac{e}2x^{-2}+O(x^{-3}) \eeq$$
従って
$$\lim_{x\to\infty}x^2\Big(f(x+1)-f(x)\Big)=\frac{e}2$$
を得ます.
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ちなみに, 大学受験でこれは使えないことになっているので, 今回のようにオーダーを求めたあと, 適当な定数$c_1,c_2$により, 十分大きい$x$で
$$ e-\frac{e}2x^{-1}+c_1x^{-2}\leq f(x)\leq e-\frac{e}2x^{-1}+c_2x^{-2}$$
みたいに評価できることを示してあげれば良いと思います.
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読んで下さった方, ありがとうございました.
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最後に演習問題をつけておきます.
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