三角関数のn倍角の公式と双曲線関数を因数分解
三角関数のn倍角の公式
一般的な 倍角の公式の導出方法は至ってシンプルで
といわゆる「ド・モアブルの定理」を用いて求めるかと思われます。
この方法の場合 を使った総和の式で表されることになるわけですが、この式を因数分解、すなわち を使った総積の式で表してみよう、っていうのが今回のテーマです。
正弦関数と余弦関数の再認識
三角関数を少し抽象的な目線からビジュアル的に捉え直してみましょう。
と というのは、 と を基底の元とする直交座標系において である複素数 の偏角 を引数として、 方向のスカラー成分である と 方向のスカラー成分である をそれぞれ抽出する関数です。
文章ではなんだかややこしいので、 の複素共役である を用いて示しますね。
よーするに、正弦関数 と余弦関数 というのは絶対値が の複素数の偏角が与えられたときその実部と虚部の射影値を返す関数で、ビジュアル的に捉えるとそれらは複素共役のペアの組み合わせで示せますよってことをここではおさえていただければ十分です。
n倍角の因数分解
さて、今回のお題は 倍角でした。 の偏角の 倍は の三点からなる直角三角形の斜辺 を 新たに とみなす座標系で自己相似、という操作を繰り返すことで得られる の偏角として表わせます。これを先程の式に当て嵌めてみると。
ということは、 と さえ因数分解できれば 倍角の公式を因数分解したことになりそうです。そこで、
前回の記事
に登場したフェルマーの最終定理の因数分解を使ってしまいましょう。
フェルマーの最終定理の因数分解 |
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と に と を代入してしまえばおっけー(*´∀`*)
一旦、代入用の変数を整理しておきます。
では、準備が整ったところでレッツ代入‼
において
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n倍角の公式の因数分解 |
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ちなみに双曲線関数でも
より
と表せるため、フェルマーの最終定理型の表現が可能です。
ということは、全く同じ要領で引数を 倍にしたときの因数分解が可能といえます。
双曲線関数のn倍引数の因数分解 |
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このように、フェルマーの最終定理型 の式であれば同様に因数分解することができちゃいます。
三項間漸化式の一般項を求めるときにも出てきますし、いろんな場面で使ってみていただくと面白いんじゃないでしょうか?
何か面白い応用がありましたら、ぜひ教えてくださいね(´∀`)
最後に
検算に協力くださったハーディ先生こと
nayuta_ito
さん と
博士(笑)のわた
さん に感謝いたします。