Legendreの微分方程式とは、以下のような有理関数係数の2階の線形微分方程式である。
実は超幾何級数を使うと一瞬で解けますが、飛び道具に頼らず着実に計算できるべき級数法も両方重要だと考えています。
Legendreの微分方程式はシュレディンガー方程式を球座標
このようなモチベーションのもと、固有値問題
という変数変換は極めて有効です。
に注意し、
となります。Legendreの微分方程式は、
の時はLegendreの陪多項式と呼ばれます
こうした背景の下では、波動関数が
有理係数線形微分方程式はべき級数解で解くのが鉄板なので、処方箋に従って、解を導出してみましょう。
変数分離などの特殊解法が通用しないとわかったら、汎用性の高い級数解の形で解を作ってしまいましょう。
第1項は以下の通り。
第2項は以下の通り。第1項に合わせ、1次と2次以降に分けています。
第3項は以下の通り。同様に0次、1次と2次以降に分けています。
0次、1次、2次以降に分類して全ての項を足して以下のように書けます。
漸化式を解く際、2個跨ぎの漸化式なので、偶数項と奇数項に分けると見通しが良くなります。
この事実は、パリティ変換
に対して方程式が不変であり、解空間が偶関数と奇関数に分類できる事実を反映しています。
(1)
となり、
漸化式は確かに解けましたが、境界条件にはまだなにもふれていませんでした。実はこの条件はとても大切で、境界条件によっては
境界での漸近的挙動を把握すべく、ダランベールの判定法を使ってみます。
より、べき級数は漸近的に幾何級数
に近づきます。解が無限級数だと境界で発散してしまうので、係数
漸化式の分母に着目すると、
・境界条件を無視:境界で発散し、
・境界で発散しない:
Legendreの微分方程式の解のうち、
境界条件下で漸化式を解きましょう。
を初期条件にとると意外と綺麗になります。これは
べき級数は昇べきの順で書くことが多いですが、最大次数が
だとわかっているので、降べきの順の方が見通しが良くなります。
逐次代入して規則性を見つけていくと、
以下同様に、
この和の範囲は
のように表現できることが示され、無事にLegendreの多項式が表現できました。
Legendreの微分方程式と周期境界条件を満たす解は多項式であり、以下のような表式で表される。
べき級数法で証明するのは超大変でしたが、実はこの多項式を簡便に表現する公式があります。
本来は直交多項式の統一理論に由来する明確な数学的意義があるのですが、脱線してしまいそうなので、また別の記事で紹介します。
Strum-Liouville理論や、超幾何関数などが代表的です。いずれ執筆しようと温めています。
これはLegendreの多項式と一致する。
シュレディンガー方程式からの導出にて
境界条件を加味すると、固有値
先ほどの
にたどり着くことができます。この関数変換を施すと、
より、
両辺足して
整理すると、こんな形になります。
(1)変形したLegendre陪微分方程式
非常によく似た形をしているので、(1)を同様に級数展開しても上手くいきそうです。ところが、(2)の両辺を微分すると面白いことが起こります。
となり、
同様に
が導かれ、(2)の
お疲れ様でした。主に自分に向けて
ここからわかる通り、Legendreの微分方程式を愚直に解くことはできます。しかし、計算量も重いながら、Legendre微分方程式の解の本質を見抜けないまま時間だけが過ぎてしまいやすいので、個人的にはこの解法はお勧めしません。
気分が乗ったら、Legendreの微分方程式の見通しをもう少し良くする方法を執筆しようと思います。
追伸:執筆しました https://mathlog.info/articles/6FLHkDavWkEYBBjsVAqR