こんにちは!今回は最近勉強していて面白いなと思った判別式について書こうと思います.
まずは簡単な二次方程式の判別式を見てみましょう.
二次方程式
これだけだと何がうれしいかよく分らないですね.この意味は(よく知られたように)
二次方程式
(i)
(ii)
(iii)
特に
証明は簡単ですし教科書にものってる(はず)なので省略します.応用もこの定理から分るように代数寄りの問題や整数問題など幅広いです(手元の問題集を参照してみてください).
今回はこの便利な判別式を一般化するところから始めたいと思います.今,判別式の定義は解の公式のルートの中身として定義しました.しかし,三次方程式の解の公式は扱いにくいし,五次以上の方程式にはルートのみでかけるような解の公式はないので,一般化には向いていなさそうです.(一応三,四次方程式の解の公式の形から判別式を考える事は可能らしいので暇な人はどうぞ())
ここで,解の公式や定理
二次方程式
より示された.
こっちの形なら,計算は大変でも一般化はしやすいなと感じます.これを利用すればぱっと見不思議な式を得ることが出来ます.
まず,前半の主張について
後半の主張を示す.
(絶対値をつけているので途中の絶対値の中の正負は見やすいように入れ替えたりしている)よって示された.
判別式と積分をつなぐ少し変わった式ですね,ここから先,判別式を一般化するのですが判別式と微分の間には密接な関係があることが分るのです.(この定理とはあまり関連はありませんが)それでは判別式を一般化してみましょう.
では一般の多項式についての判別式を見ていきましょう.扱いにくいのでこれ以降の多項式の最高次の係数は特に断らない限り
定義より,明らかに次のことが言える.
まず気になるのは,
まず
対称式は基本対称式の多項式の形で書けるので示された.
(最後の部分について補足しておく.少し複雑なので飛ばして良い)
どのように
まずは
まず次数が最も偏っているもの項達を選ぶ.つまり
(ここで
他のどの項に対しても任意の
とにかくもっとも次数が偏っている項を見つけたら,その項を
これで判別式が元の多項式の係数から表されることが分った.少し小さい次数について判別式を求めてみよう...といいたいが ウィキ に答えがある(おい)のでそれを書いてみます.
(間違ってたら訂正してください…)
とりあえず高次の判別式はほとんど使い物にならないし(この形だと)規則性もありません.式の長さは定理
ただし,三次方程式の
略証は後でしますが今知りたい方は
高校数学の美しい物語
のものを参照してください.
他にも二次形式などにも判別式は定義されますがここでは本筋と逸れるので省略します.
ここまで,判別式を一般化して,その式を上手く求めるのは難しいという話をしました.ではどのように判別式を扱うのが良いでしょうか?
正解は微分を利用することです.いままでずっと代数的な話をしていたのにいきなり微分という言葉を聞いて驚いた人もいるかもしれませんが次の命題を見れば多少は納得できると思います.
方程式
まず
次に
ここで因数定理と積の微分法を使っているのが鍵です.まずは少しレベルアップして次の定理を示します.
積の微分より
よって示された.
ここで三次方程式の解の個数の問題を思いだそう.
また一般の多項式では同様の定理が成り立たないのも三次方程式の時は極値の積で解の個数が分かるという特殊な性質から来ているということを考えれば自然に感じるでしょう.(多少の情報は得られるそうですが)
さてここからの話は高校数学を一気に離れるので一回ここで区切りをつけておきます.
次は終結式を定義してそれを使って判別式を表し,さらに判別式の整数論的な観点や,少し違った微分との関係を探っていきたいです.