2

多項式の総積を素数で割った余り

373
0
$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathrm{div}} \newcommand{division}[0]{÷} \newcommand{dps}[0]{\displaystyle} \newcommand{grad}[0]{\mathrm{grad}\ } \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{rot}[0]{\mathrm{rot}\ } \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

先日Isoさんのツイートで面白い問題が紹介されていたので一般化してみました.( 元ツイはこちら )
まずは簡単な一般化から.

$f(x)$を整数係数多項式とすると整数の有限集合$S$が存在して任意の素数$p$に対して$\displaystyle\prod_{i=0}^{p-1}f(i)\equiv s(\bmod p)$となる$s\in S$が存在する.

これをさらに一般化するとこうなります.

$K$を代数体,$\mathcal O_K$をその整数環,$f(x)\in \mathcal{O}_K[x]$を多項式とすると$\mathcal O_K$の有限部分集合$S$が存在して任意の極大イデアル$\mathfrak p$に対して$\displaystyle\prod_{i\in \mathcal O_K/\mathfrak p}f(i)\equiv s(\bmod \mathfrak p)$となる$s\in S$が存在する.

定理1は定理2の特殊な場合なので定理2を証明する.
後々ややこしくなるのを防ぐため$f$の最高次係数$a$もしくは$2$を割り切る極大イデアルに関する総積の値(この種類は有限である)は$S$に含めておき,以下$\mathfrak p$$2a$を割り切らないものとする.
$\displaystyle\prod_{i\in \mathcal O_K/\mathfrak p}f(i)(\bmod \mathfrak p)$を簡単な形で書くことが目標である.$k(\mathfrak p)=\mathcal O_K/\mathfrak p$とすると,因数定理より$\displaystyle\prod_{i\in k(\mathfrak p)}(i-t)=(-1)^{\#k(\mathfrak p)}(t^{\#k(\mathfrak p)}-t)=t-t^{\#k(\mathfrak p)}$がわかる.
$f(x)$$K$における最小分解体を$L$とし,その整数環を$\mathcal O_K$とし,$L$における$f$の根を(重複を込めて)$\alpha_1,...,\alpha_m$とし,$\mathfrak p$を含む極大イデアルを一つ選び$\mathfrak P$とする.このとき$k(\mathfrak P)=\mathcal O_L/\mathfrak P$$k(\mathfrak p)$の有限次拡大であり,$\overline\alpha_i$(最初の仮定より定義可能である)を用いて$\overline f(x)=a\displaystyle\prod_{i=1}^m(x-\overline\alpha_i)$と表される.よって
$$ P(\mathfrak p)=\prod_{i\in k(\mathfrak p)}\overline f(i)=\prod_{j=1}^ma\prod_{i\in k(\mathfrak p)}(i-\overline\alpha_j)=a^m\prod_{j=1}^m(\overline\alpha_j-\overline\alpha_j^{\#k(\mathfrak p)}) $$を得る.ここで,$\#k(\mathfrak p)$乗する写像を言い換えることを考えるとこれはフロベニウス写像であるので,$\mathrm{Gal}(k(\mathfrak P)/k(\mathfrak p))$の生成元である.(有限体の有限次拡大はガロア拡大である)また,同型$D_\mathfrak{P}/I_\mathfrak P\cong\mathrm{Gal}(k(\mathfrak P)/k(\mathfrak p))$($D_\mathfrak{P},I_\mathfrak P\in \mathrm {Gal}(L/K)$は分解群,惰性群)がある事を思い出すと,(任意の$\mathfrak p$に対して)ある$\sigma\in \mathrm{Gal}(L/K)$があって$$P(\mathfrak p)\equiv a^m\prod_{j=1}^m(\alpha_j-\sigma(\alpha_j))(\bmod \mathfrak p)$$ここで$a^m\prod_{j=1}^m(\alpha_j-\sigma(\alpha_j))\in K$(ガロア群の作用で不変なので)の取り得る値は$L/K$が有限次拡大であることから有限である.また,最小多項式を考えると$a\alpha_i\in O_L$であるため$a^m\prod_{j=1}^m(\alpha_j-\sigma(\alpha_j))\in \mathcal O_K$がわかる.従って$S$にその値を全て追加したものを取れば条件を満たす有限集合となる.

爆速で書いたので不備などがありましたら教えください.

投稿日:202153
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

整数が好きです

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中