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Σ1/2^(n!) が超越数であることの証明

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昨日「Σ[n=0,∞]1/2^(n^2)が無理数であることを示せ。」というツイートをしたところ、Q-rad.heartさんから「Σ_{n ∈ N} 1/2^(n!) が超越数であることを示せ.」という引用リツイートをいただいたので証明してみました。

(証明)
x=n=012n!とおく。
まず、xは無理数である(前回の記事を参照)
xQm次の無理数であったと仮定する。
リウヴィルの定理より、|xn=0N12n!|>c(2N!)mとなるが、Nが十分大きいときに矛盾するのでxは超越数である。

この証明にリウヴィルの定理を使いましたが、リウヴィルの定理のステートメントを知ったのは今日が初めてでn=01/10n!が超越数であることを示すのに使うということぐらいしか知らなかったので折角なので証明してみました。

(リウヴィルの定理)
無理数xQn次の無理数であるとき、xによって定まる定数c(x)が存在して任意の整数p,q(q>0)に対して|xpq|>c(x)qnが成り立つ。
(証明)
xの最小多項式を適当に定数倍して整数係数にしたものをf(X)とし、f(X)=anXn+an1Xn1...+a0とおく。
|xpq|1のときはc<1とすれば題意をみたすのは明らかである。
|xpq|<1であるとする。
まず、f(X)xの最小多項式であるのでf(x)=0,f(pq)0である。
よって、
|f(x)f(pq)|=|f(pq)|=|an(pq)n+an1(pq)n1+...+a0|1qn
一方、
|f(x)f(pq)|=|an(xn(pq)n)+an1(xn1(pq)n1)+a1(x(pq))|=|xpq||an(xn1+...+(pq)n1)+an1(xn2+...+(pq)n2)+...+a1|
であり、pq|xpq|<1の範囲で動かしたときに|an(xn1+...+(pq)n1)+an1(xn2+...+(pq)n2)+...+a1|は有界であり、|an(xn1+...+(pq)n1)+an1(xn2+...+(pq)n2)+...+a1|<CとなるCが存在する。
よって、|xpq|>1Cqnであり、題意が示された。
投稿日:202159
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tria_math
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