こんにちは、MakkyoExistsです。Mathlogをだいぶ長い間放置していました。色々忙しかったのでしょうがないですね。気分転換に書いてみようと思います。記事タイトルにもある通り本日は「最大公約数」について考えてみたいと思います。
そして、こちらもずっと放置していましたが、僕がやっているYoutube数学チャンネルを最近運営再開しました。よろしければそちらもご視聴下さい。再生回数良い感じだと僕の勉強するモチベーションにもなりとても励みになります(本当に笑)。是非よろしくお願いします!
約数や公約数は小学校で習いますね。僕らが数学をやる以前に算数の基本だと思います。すごく簡単に言ってしまえば$a$という数を$b$が割り切ることができれば
「$b$は$a$の約数である」
と言うことができますし、そうでないなら
「$b$は$a$の約数ではない」
ということになります。まさに数の基本的な概念ですね。これから発展させて、可換環の約元や素元、既約元などを考えて数学を展開する人も数多く居らっしゃることだと思います。
さてここからが最大公約数の話です。僕らは小学生のとき「最大公約数とは公約数のなかで一番大きいもの」と習いました。本当にそうなのかということを考えます(勿論、この辺りの話は初等整数論で必ず出てきますのでご存じの方も多いと思いますが、敢えてこのような文体で書いてます。。。)
実際にほとんどの場合だと最大公約数は「最大の」公約数で良いことになります。例を挙げるなら、
12の約数・・・1, 2, 3, 4, 6, 12
30の約数・・・1, 2, 3, 5, 6, 10, 15, 30
であり、12と30の公約数は1, 2, 3, 6となるのでこの中で「最大の」公約数であるものは6。つまり「12と30の最大公約数は6」ということになります。このような例は挙げればキリがなく、最大公約数の定義は「最大の」公約数でよさそうに思えます。
しかし、それは「$0$と$0$の最大公約数」を考えると「あれ? 最大公約数は何だ?」と引っかかることになり路頭に迷ってしまします。実際$0$と$0$の最大公約数を探してみましょう。
まず$0$の約数を探します。しかし$0$はどんな自然数で割っても割り切れることになります。
$$
0 \div 1=0,
$$
$$
0 \div 2=0,
$$
$$
0 \div 3=0 \cdots
$$
以下ずっと続きますね。つまり
「$0$の約数はすべての自然数」
であるということが言えます。ということは「$0$と$0$の公約数もすべての自然数」ということになります。同じ数を考えてますからね。
さて、ここで「$0$と$0$の"最大"公約数」を考えてみましょう。$0$と$0$の公約数は「全ての自然数」なのでした。くどいようですが"全て"です。ということは、もし「最大公約数とは公約数のなかで一番大きいもの」としてしまうと、$0$と$0$の最大公約数は「全ての自然数」の中で「最大」のものが最大公約数ということになってしまいます。しかし「全ての自然数」の中で最大のものはありませんよね。ということで「$0$と$0$の最大公約数は存在しない」ということになってしまいます。
しかしながら、整数論を展開していく上で最大公約数の存在(と一意性)は重要なもので、どんな整数の組にも最大公約数は存在していてほしいのです。以上から、僕らは最大公約数の再定義を迫られることになります。
もうご存じの方も多いとは思いますが、僭越ながら最大公約数の定義を以下に述べます。
$a$, $b$を2つの整数とする。$0$以上の整数$d$が以下の条件(1), (2)を満たしているとき、$d$は$a$と$b$の最大公約数という。
これが最大公約数の定義となります。平たく言ってしまえば最大公約数とは「すべての公約数の"情報"を持っているような約数」ということになるでしょうか。ちなみにこの定義で行くと、$0$と$0$の最大公約数は$0$になります。実際に、どんな自然数$n$に対しても$0=n \times 0$となるので(1)と(2)を満たしているからです。
本日は最大公約数について書きました。いつもは表現論や有限群論のことばかり考えているので新鮮でした笑 初等整数論って楽しいですよね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。またネタが思いついたら何かしら書きたいと思います。
では、また!