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偏差値erからの手紙(解答編)

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  前回の記事 で紹介した問題の解答を記す。問題文の再掲はするが、前回を読まれていない方はそちらを先に読んでいただきたい。


問題 ~手紙では相手にとって分かりやすい伝え方を心がけましょう~

 数学者Aからこのような手紙が送られてきた。
 先日、僕はあるゲームに参加した。そのゲームの参加者は僕を含めて4人で、僕は2位だった。
 ゲームにはスコアというものがあって、スコアが高ければ順位が上になる。
 ゲーム終了後、僕自身のスコアの偏差値を計算してみたんだ。そのとき、ふと気づいた。
 僕の偏差値を知るだけならば、3位と4位のスコアを完全に知る必要はなく、その積$P$だけを知っていればよい、と。
 1位と僕のスコア、それから$P$の値がうまく噛み合った上に、同順位の参加者がいなかったからね。
 Aの偏差値はいくらか。ただし、スコアは任意の実数値をとる。




方針 ~偏差値erって何? 経歴は? 年収は? 調べてみました!~

 この問題は、以下の補題の考察を経て解くことができる(高校生以下が本記事を読むことも想定し、数理論理学的表記は用いていない)。
補題
 ゲームに参加した4人のスコアがそれぞれ$x,y,0,1$(ただし$x<0,y<0$)であったと仮定する。
 ある実数$d,p,q,r$が存在し、$(x+p)(y+q)=r$を満たす任意の$x,y\,\,\, (x<0,y<0)$について『スコアが$0$の人の偏差値は$d$である』が成り立つとき、$d,p,q,r$の値を求めよ。


 元の問題(原題)を一言で表すならば、「1位のスコア、2位のスコアおよび3位と4位のスコアの積のみから2位の偏差値が一意に定まる場合、その偏差値はいくらか」である。問題文が冗長すぎる。
 このことを踏まえて補題に注目すると、これは原題と殆ど同じものだと言える。1位と2位のスコアを仮定しただけだ。
 けれども、この補題はある点で原題よりも制約が弱くなっている。すなわち、$(x+p)(y+q)=r$の部分。これは「$x$$p$を足したものと$y$$q$を足したものの積が$r$で一定である」ということを示している。$p,q,r$の値は現時点で不明なので、その点において、補題は原題よりも少し強い主張を試みたものだと言える。



 ということで、補題から考えていこう。言うまでもないが、偏差値は((素点)-(平均点))÷(標準偏差)×10+50で与えられる。



解説 ~日本のスマ補題は長すぎる~

 上の補題において、$\displaystyle (d,p,q,r)=\left( 50+\frac{10}{\sqrt{3}},1,1,1 \right)$を証明することができる。
補題の証明
クリックすると証明が現れます
 スコアが$0$の人(以下、この人を「N」と呼ぶ)の偏差値は$d$になるそうだが、まずは偏差値の定義通りにNの偏差値を求めよう。つまり計算だ。
 スコアの平均を$M(x,y)$、分散を$V(x,y)$、標準偏差を$S(x,y)$、それからNの偏差値を$N(x,y)$とおくと、これらは以下のように表せる。
$$\begin{align} M\left(x,y\right)&=\frac{x+y+1+0}{4} \\ V\left(x,y\right)&=\frac{x^{2}+y^{2}+1^{2}+0^{2}}{4}-\left(M\left(x,y\right)\right)^{2} \\ S\left(x,y\right)&=\sqrt{V\left(x,y\right)} \\ N\left(x,y\right)&=\frac{0-M\left(x,y\right)}{S\left(x,y\right)}\cdot10+50 \end{align}$$
 ただし、表記を簡単にするため、分散の一般的な定義である「偏差の2乗の平均値」から派生した「素点の2乗平均から素点平均の2乗を減じたもの」を$V(x,y)$の定義に用いた(この2つが一致することは有名事実であり、もしご存知でなければ Wikipedia を参照されたい)。



 $d=10c+50$と定めることで、以下の式が成り立つ。
$$\begin{align} N\left(x,y\right)&=d \\ \frac{0-M\left(x,y\right)}{S\left(x,y\right)}\cdot10+50&=10c+50 \\ -\frac{M\left(x,y\right)}{S\left(x,y\right)}&=c \end{align}$$
 $M(x,y)$$V(x,y)$および$S(x,y)$の定義をそのまま代入して、さらに式をゴリゴリと整理していく。
$$\begin{align} -\frac{M\left(x,y\right)}{\sqrt{V\left(x,y\right)}}&=c \\ -\frac{M\left(x,y\right)}{\displaystyle \sqrt{\frac{x^{2}+y^{2}+1^{2}+0^{2}}{4}-\left(M\left(x,y\right)\right)^{2}}}&=c \\ -\frac{\displaystyle \frac{x+y+1+0}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{x^{2}+y^{2}+1^{2}+0^{2}}{4}-\left(\frac{x+y+1+0}{4}\right)^{2}}}&=c \\ -\frac{x+y+1}{\displaystyle \sqrt{4\left(x^{2}+y^{2}+1\right)-\left(x+y+1\right)^{2}}}&=c \\ -\frac{x+y+1}{\sqrt{\displaystyle 3\left(x^{2}+y^{2}+1\right)-2\left(xy+x+y\right)}}&=c \\ c\sqrt{\displaystyle 3\left(x^{2}+y^{2}+1\right)-2\left(xy+x+y\right)}&=-(x+y+1) & \\ c^2 \left(3\left(x^{2}+y^{2}+1\right)-2\left(xy+x+y\right) \right)&=(x+y+1)^2 \\ \left(3c^2 -1\right)\left(x^2+y^2+1\right)-2\left(c^2+1\right)\left(xy+x+y\right)&=0 &\dots (\bigstar) \end{align}$$
 さて、$(\bigstar)$を満たす$(x,y)$の組を$xy$直交座標平面上にプロットすれば、明らかに2次曲線(2次曲線の基本的な性質は Wikipedia を参照)、もしくはそれが退化したものが描かれる。いま、$(\bigstar)$の式に登場する$x,y$$(x+p)(y+q)=r$を満たす任意の数であったため、$xy$直交座標平面上のグラフ$(x+p)(y+q)=r$$(\bigstar)$のグラフに完全に含まれていなければならない。



 グラフ$(x+p)(y+q)=r$を考えると、以下の考察から$r \neq 0$が判るので、これは2次曲線(特に、直角双曲線)の形状を呈する(反比例のグラフを思い出してほしい)。
 $r=0$と仮定する。この場合、$p$$q$の少なくとも一方は正でなければならない($\because$ $p,q$がともに負であれば$x<0,y<0$を満たす$x,y$の組が存在しなくなる)ので、$p>0$と仮定できる(そう仮定しても一般性を失わない)。すると、$(x,y)=(-p,-1),(-p,-2)$はいずれもグラフ$(x+p)(y+q)=r\,\,\, (=0)$上の点となる。いずれの$(x,y)$の値においても偏差値が$d$で一定なので、
$$\begin{align} N(-p,-1)&=N(-p,-2)\,\,\, (=d) \\ -\frac{M\left(-p,-1\right)}{S\left(-p,-1\right)}&=-\frac{M\left(-p,-2\right)}{S\left(-p,-2\right)} \\ -\frac{-p-1+1}{\sqrt{\displaystyle 3\left(p^2+1+1\right)-2\left(p-p-1\right)}}&=-\frac{-p-2+1}{\sqrt{\displaystyle 3\left(p^2+4+1\right)-2\left(2p-p-2\right)}} & \\ \frac{p}{\displaystyle \sqrt{3p^2+8}}&=\frac{p+1}{\displaystyle \sqrt{3p^2-2p+19}} \\ p{\displaystyle \sqrt{3p^2-2p+19}}&=(p+1){\displaystyle \sqrt{3p^2+8}} \\ p^2 \left( 3p^2-2p+19 \right) &=(p+1)^2 \left( 3p^2+8 \right) \\ 3p^4-2p^3+19p^2 &= 3p^4+6p^3+11p^2+16p+8 \\ 8p^3-8p^2+16p+8&=0 \\ p\left(p-4\right)^{2}+7p^3+8&=0 &\dots (\triangle)\\ \end{align}$$
が必要である。しかしながら、$p>0$において常に$p\left(p-4\right)^{2}\geq 0$かつ$7p^3>0$であるため、左辺は常に$8$より大きくなり、方程式$(\triangle)$は解をもたない。よって$r=0$は補題に不適である。



 したがって、2つの2次曲線には(どの3点も同一直線上に無い)共有点が少なくとも5点存在する。「5点を通る2次曲線は一意に定まる」という2次曲線の性質を思い出せば(こちらも有名事実なので、もしご存知なければ「2次曲線 5点」でGoogle検索していただきたい(日本語版Wikipediaには掲載されていなかった))、この2つの2次曲線は同一のものと導かれる。
 同一の2次曲線を表す式では係数の比が一致するので、特に$x^{2}$および$y^{2}$の係数は$0$である必要がある。$(\bigstar)$の当該係数に注目して、
$$\begin{align} 3c^2 -1&=0 \\ c &= \pm \frac{1}{\sqrt{3}} \end{align}$$
と判る。このとき$(\bigstar)$
$$\begin{align} 0\left(x^2+y^2+1\right)-2\cdot \frac{4}{3}\cdot \left(xy+x+y\right)&=0 \\ xy+x+y&=0 \\ (x+1)(y+1)&=1 \,\,\,\,\,\, \dots (\spadesuit ) \end{align}$$
と変形できるので、$p=q=r=1$が判明する。



 あとは$c$の正負を考えればよい。Nの偏差値$d$について$d=10c+50$であったから、「Nのスコア(つまり$0$)が平均を超えているか否か」が判れば、$d$$50$より大きいか小さいか、すなわち$c$の正負を求められる。$0$がスコアの平均を超えていればcは正で、逆もまた然り。実は、これはすぐに判明する。$x<0,y<0$の範囲における$(\spadesuit )$のグラフを考えることで$x<-1,y<-1$が言えるからだ(お手元の紙にグラフを描いて確認してみよう)。ゆえに、
$$\begin{align} M(x,y)=\frac{x+y+1+0}{4}<\frac{-1-1+1+0}{4}=-\frac{1}{4}<0 \end{align}$$
を得て、$0$はスコアの平均を超えていることが従う。
 よって$c$は正、言い換えれば$\displaystyle c=\frac{1}{\sqrt{3}}$であり、$\displaystyle d=10\cdot \frac{1}{\sqrt{3}}+50=50+\frac{10}{\sqrt{3}}$である。 (証明終)



 補題に答えられたところで、以下に示す偏差値の性質を思い出しておきたい。
  • すべてのデータに定数を加えても各データの偏差値は不変
  • すべてのデータに正の定数を乗じても各データの偏差値は不変
偏差値の性質の証明
クリックすると証明が現れます
 以下では本問への応用を考えて4人の場合を示すが、一般の場合も同様に示せる。
 4人の素点を$s_1,s_2,s_3,s_4$と文字でおいて集合$s$$s=\left\{ s_1,s_2,s_3,s_4\right\}$と定め、平均$M(S)$、標準偏差$S(s)$を計算すると以下のようになる。
$$\begin{align} M(s)&=\frac{s_1+s_2+s_3+s_4}{4} \\ S(s)&=\sqrt{\frac{\displaystyle \left( s_1-M(s) \right)^2 +\left( s_2-M(s) \right)^2 +\left( s_3-M(s) \right)^2+\left( s_4-M(s) \right)^2}{4}} \end{align}$$
 ただし、今回は分散を「偏差の2乗の平均値」として計算した(そのほうが議論が簡単になるので)。このとき、素点が$s_n\,\,\, (n=1,2,3,4)$の人の偏差値$N(s_n)$
$$\begin{align} N(s_n)=\frac{s_n-M(s)}{S(s)}\cdot 10 +50 \end{align}$$
になる。



 すべてのデータに定数$X$を加えた場合を考える。$\left\{ s_1+X,s_2+X,s_3+X,s_4+X \right\} =s+X$と表すと、$M(s+X)$および$S(s+X)$
$$\begin{align} M(s+X)&=\frac{(s_1+X)+(s_2+X)+(s_3+X)+(s_4+X)}{4} \\ &= \frac{s_1+s_2+s_3+s_4}{4} + \frac{4X}{4} \\ &= M(s)+X \\ S(s+X)&=\sqrt{\frac{\displaystyle \left( (s_1+X)-M(s+X) \right)^2 +\left( (s_2+X)-M(s+X) \right)^2 +\left( (s_3+X)-M(s+X) \right)^2+\left( (s_4+X)-M(s+X) \right)^2}{4}} \\ &=\sqrt{\frac{\displaystyle \left( s_1+X-M(s)-X \right)^2 +\left( s_2+X-M(s)-X \right)^2 +\left( s_3+X-M(s)-X \right)^2+\left( s_4+X-M(s)-X \right)^2}{4}} \\ &= \sqrt{\frac{\displaystyle \left( s_1-M(s) \right)^2 +\left( s_2-M(s) \right)^2 +\left( s_3-M(s) \right)^2+\left( s_4-M(s) \right)^2}{4}} \\ &= S(s) \end{align}$$
である。したがって、$N(s_n+X)$は以下の通り。
$$\begin{align} N(s_n+X)&=\frac{(s_n+X)-M(s+X)}{S(s+X)}\cdot 10 +50 \\ &= \frac{s_n+X-M(s)-X}{S(s)}\cdot 10 +50 \\ &= \frac{s_n-M(s)}{S(s)}\cdot 10 +50 \\ &= N(s_n) \end{align}$$
 ゆえに、すべてのデータに定数$X$を加えても各データの偏差値は変わらない。



 すべてのデータに正の定数$Y>0$を乗じた場合を考える。$\left\{ s_1 Y,s_2 Y,s_3 Y,s_4 Y \right\} =sY$と表すと、$M(sY)$および$S(sY)$
$$\begin{align} M(sY)&=\frac{(s_1 Y)+(s_2 Y)+(s_3 Y)+(s_4 Y)}{4} \\ &= \frac{s_1+s_2+s_3+s_4}{4} Y \\ &= M(s)\cdot Y \\ S(sY)&=\sqrt{\frac{\displaystyle \left( (s_1 Y)-M(sY) \right)^2 +\left( (s_2 Y)-M(sY) \right)^2 +\left( (s_3 Y)-M(sY) \right)^2+\left( (s_4 Y)-M(sY) \right)^2}{4}} \\ &= \sqrt{\frac{\displaystyle \left( s_1-M(s) \right)^2 +\left( s_2-M(s) \right)^2 +\left( s_3-M(s) \right)^2+\left( s_4-M(s) \right)^2 }{4} Y^2} \\ &= S(s) \cdot Y \end{align}$$
である。したがって、$N(s_n Y)$は以下の通り。
$$\begin{align} N(s_n Y)&=\frac{(s_n Y)-M(sY)}{S(sY)}\cdot 10 +50 \\ &= \frac{s_n Y-M(s)\cdot Y}{S(s)\cdot Y}\cdot 10 +50 \\ &= \frac{s_n-M(s)}{S(s)}\cdot 10 +50 \\ &= N(s_n) \end{align}$$
 ゆえに、すべてのデータに正の定数$Y$を乗じても各データの偏差値は変わらない。



 $X,Y$は任意なので、これらの性質は正しい。 (証明終)



 いよいよ仕上げである。上記に倣って、原題でゲームに参加した4人のスコアを$s_1$$s_4$で表す。ただし、「$n$位のスコアが$s_n$である$(n=1,2,3,4)$」という条件を加えておく。当然のことだが、数学者Aは2位だったので、Aのスコアは$s_2$である。



 仮に$\left\{ s_1,s_2,s_3,s_4\right\} = \left\{ f_1,f_2,f_3,f_4 \right\}$(ただし$f_1>f_2>f_3>f_4$かつ$z$を定数として$f_3 f_4=P$)という分布で$f_2$の偏差値が一定となる場合、偏差値の性質から
$$\begin{align} \left\{ s_1,s_2,s_3,s_4 \right\} &= \left\{ \frac{f_1-f_{2}}{f_{1}-f_{2}},\frac{f_2-f_{2}}{f_{1}-f_{2}}, \frac{f_3-f_{2}}{f_{1}-f_{2}},\frac{f_4-f_{2}}{f_{1}-f_{2}} \right\} \\ &= \left\{1,0,\frac{f_{3}-f_{2}}{f_{1}-f_{2}},\frac{f_{4}-f_{2}}{f_{1}-f_{2}}\right\} \end{align}$$
という分布(ただし、$f_3 f_4=z$)における$0$の偏差値も一定となる($\because$すべてのデータに$-f_2$を加えて$\displaystyle \frac{1}{f_{1}-f_{2}}>0$を乗じても各データの偏差値は不変)。さらにこのとき
$$\begin{align} \left( s_{3}+\frac{f_{2}}{f_{1}-f_{2}}\right) \left( s_{4}+\frac{f_{2}}{f_{1}-f_{2}}\right) =\frac{f_3 f_4}{(f_{1}-f_{2})^2}=\frac{P}{(f_{1}-f_{2})^2} \end{align}$$
が成り立つため、補題の結果を用いると$ \displaystyle \frac{f_{2}}{f_{1}-f_{2}} = \frac{P}{(f_{1}-f_{2})^2} = 1 $である。これを解くことで$f_1=2f_2,P=f_2^{\,\,2}$が得られて、$f_1>f_2$より$f_2>0$が従う。
 よって、そのときのスコアの分布は実数$k<0$を用いて
$$\begin{align} \left\{ s_1,s_2,s_3,s_4 \right\} &= \left\{ 2f_2, f_2, f_2 k, \frac{f_2}{k} \right\} \end{align}$$
と表せる($\because$ $k>0$としてしまうと$f_3 \geq f_2$または$f_4 \geq f_2$が成り立ち、仮定した大小関係に矛盾する)。$f_3>f_4$を思い出すと$ \displaystyle f_2 k>\frac{f_2}{k} $、ゆえに$k>-1$であるから、$f_2=F$として
$$\begin{align} \left\{ s_1,s_2,s_3,s_4 \right\} &= \left\{ 2F, F, F k, \frac{F}{k} \right\} \,\,\, (F>0,-1< k<0) \end{align}$$
こそが、Aの参加したゲームにおける4人のスコアだったわけだ。要するに、このスコアの分布における$F$の偏差値が、原題で問われている偏差値である。我々はそれを既に計算している。何故ならば、この分布における$F$の偏差値というのは、
$$\begin{align} \left\{ s_1,s_2,s_3,s_4 \right\} &= \left\{1,0,\frac{f_{3}-f_{2}}{f_{1}-f_{2}},\frac{f_{4}-f_{2}}{f_{1}-f_{2}}\right\} \\ &= \left\{1,0,k-1,\frac{1}{k}-1 \right\} \end{align}$$
という分布における$0$の偏差値と同一なのだから。補題より、その偏差値は$\displaystyle 50+\frac{10}{\sqrt{3}}$である。


 以上の議論より、ゲームにおけるAの偏差値は$\displaystyle 50+\frac{10}{\sqrt{3}}$(約55.77)であった。




別解 ~補題に頼らなければこうなります~

 上の解説で示した偏差値の性質より、$P=0,\pm 12$の場合のみ考えればよい。1位と2位のスコアをそれぞれ$t_1,t_2 \,\,\,(t_1>t_2)$とする(当然ながら数学者Aのスコアは$t_2$である)。


$Case\,\, 1.$ $P=0$の場合
クリックすると証明が現れます
 3位と4位のいずれかのスコアが$0$なので、$t_2>0$が判る。ここで、4つの要素からなる集合
$$\begin{align} \alpha_1 = \{ t_1,t_2,0,-1 \} , \,\, \alpha_2 = \{ t_1,t_2,0,-2 \}, \,\, \alpha_3 = \{ t_1,t_2,0,-3 \} \end{align}$$
のいずれにおいても、$t_2$の偏差値は一定であることを利用しよう。この偏差値を$10h+50$とおくと、偏差値の定義より
$$\begin{align} &\left \{ \begin{array}{l} \frac{\displaystyle t_2-\frac{t_1+t_2+0-1}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+0^2+1^2}{4}-\left(\frac{t_1+t_2+0-1}{4}\right)^2}}&=h \\ \frac{\displaystyle t_2-\frac{t_1+t_2+0-2}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+0^2+2^2}{4}-\left(\frac{t_1+t_2+0-2}{4}\right)^2}}&=h \\ \frac{\displaystyle t_2-\frac{t_1+t_2+0-3}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+0^2+3^2}{4}-\left(\frac{t_1+t_2+0-3}{4}\right)^2}}&=h \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow &\left \{ \begin{array}{l} \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+1\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2}&=h^2 \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-2\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+4\right)-\left(t_1+t_2-2\right)^2}&=h^2 \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-3\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+9\right)-\left(t_1+t_2-3\right)^2}&=h^2 \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow &\left \{ \begin{array}{l} \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+1\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2}&=\frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-2\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+4\right)-\left(t_1+t_2-2\right)^2} \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-2\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+4\right)-\left(t_1+t_2-2\right)^2}&=\frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-3\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+9\right)-\left(t_1+t_2-3\right)^2} \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-3\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+9\right)-\left(t_1+t_2-3\right)^2}&=\frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+1\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2} \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} {\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+4\right)-\left(t_1+t_2-2\right)^2\right)&={\displaystyle \left(t_1-3t_2-2\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+1\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2\right) \\ {\displaystyle \left(t_1-3t_2-2\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+9\right)-\left(t_1+t_2-3\right)^2\right)&={\displaystyle \left(t_1-3t_2-3\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+4\right)-\left(t_1+t_2-2\right)^2\right) \\ {\displaystyle \left(t_1-3t_2-3\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+1\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2\right)&={\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+9\right)-\left(t_1+t_2-3\right)^2\right) \\ \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} 8(t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}-6t_1 t_2+9t_2^{\,\,2}-2t_1+4t_2)& =0 \\ 8(t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}-10t_1 t_2+15t_2^{\,\,2}-6t_1+12t_2)&=0 \\ -16(t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}-8t_1 t_2+12t_2^{\,\,2}-3t_1+6t_2)&=0 \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}&=6t_1 t_2-9t_2^{\,\,2}+2t_1-4t_2 \\ t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}&=10t_1 t_2-15t_2^{\,\,2}+6t_1-12t_2 \\ t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}&=8t_1 t_2-12t_2^{\,\,2}+3t_1-6t_2 \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow &\left \{ \begin{array}{l} 10t_1 t_2-15t_2^{\,\,2}+6t_1-12t_2&=8t_1 t_2-12t_2^{\,\,2}+3t_1-6t_2 \\ 8t_1 t_2-12t_2^{\,\,2}+3t_1-6t_2&=6t_1 t_2-9t_2^{\,\,2}+2t_1-4t_2 \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} 2t_1 t_2-3t_2^{\,\,2}+3t_1-6t_2&=0 \\ 2t_1 t_2-3t_2^{\,\,2}+t_1-2t_2&=0 &\dots (\heartsuit ) \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow & 3t_1-6t_2=t_1-2t_2 \\ \\ \Leftrightarrow & t_1=2t_2 \end{align}$$
が必要である。これを$(\heartsuit )$に代入すれば$t_2^{\,\,2}=0$となって$t_2=0$を得るが、これは最初に確認した$t_2>0$矛盾
 よって、この$Case$は問題に不適である。


$Case\,\, 2.$ $P=12$の場合
クリックすると証明が現れます
 $Case\,\, 1.$と同様に考える。正直に言うとこの解法は大変なのでこれ以上書きたくない。4つの要素からなる集合
$$\begin{align} \beta_1 = \{ t_1,t_2,-1,-12 \} , \,\, \beta_2 = \{ t_1,t_2,-2,-6 \}, \,\, \beta_3 = \{ t_1,t_2,-3,-4 \} \end{align}$$
のいずれにおいても、$t_2$の偏差値は一定であることを利用しよう。この偏差値を$10h+50$とおくと、偏差値の定義より
$$\begin{align} &\left \{ \begin{array}{l} \frac{\displaystyle t_2-\frac{t_1+t_2-1-12}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+1^2+12^2}{4}-\left(\frac{t_1+t_2-1-12}{4}\right)^2}}&=h \\ \frac{\displaystyle t_2-\frac{t_1+t_2-2-6}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+2^2+6^2}{4}-\left(\frac{t_1+t_2-2-6}{4}\right)^2}}&=h \\ \frac{\displaystyle t_2-\frac{t_1+t_2-3-4}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+3^2+4^2}{4}-\left(\frac{t_1+t_2-3-4}{4}\right)^2}}&=h \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow &\left \{ \begin{array}{l} \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-13\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-13\right)^2}&=h^2 \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-8\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-8\right)^2}&=h^2 \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-7\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-7\right)^2}&=h^2 \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow &\left \{ \begin{array}{l} \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-13\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-13\right)^2}&=\frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-8\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-8\right)^2} \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-8\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-8\right)^2}&=\frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-7\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-7\right)^2} \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-7\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-7\right)^2}&=\frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-13\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-13\right)^2} \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} {\displaystyle \left(t_1-3t_2-13\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-8\right)^2\right)&={\displaystyle \left(t_1-3t_2-8\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-13\right)^2\right) \\ {\displaystyle \left(t_1-3t_2-8\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-7\right)^2\right)&={\displaystyle \left(t_1-3t_2-7\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-8\right)^2\right) \\ {\displaystyle \left(t_1-3t_2-7\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-13\right)^2\right)&={\displaystyle \left(t_1-3t_2-13\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-7\right)^2\right) \\ \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} -40(t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}-42t_1 t_2+63t_2^{\,\,2}-128t_1+280t_2+252)&=0 \\ -8(t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}-30t_1 t_2+45t_2^{\,\,2}-80t_1+184t_2+180)&=0 \\ 48(t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}-40t_1 t_2+60t_2^{\,\,2}-115t_1+254t_2+240)&=0 \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}&=42t_1 t_2-63t_2^{\,\,2}+128t_1-280t_2-252 \\ t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}&=30t_1 t_2-45t_2^{\,\,2}+80t_1-184t_2-180 \\ t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}&=40t_1 t_2-60t_2^{\,\,2}+115t_1-254t_2-240 \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow &\left \{ \begin{array}{l} 42t_1 t_2-63t_2^{\,\,2}+128t_1-280t_2-252&=40t_1 t_2-60t_2^{\,\,2}+115t_1-254t_2-240 \\ 40t_1 t_2-60t_2^{\,\,2}+115t_1-254t_2-240&=30t_1 t_2-45t_2^{\,\,2}+80t_1-184t_2-180 \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} 2t_1 t_2-3t_2^{\,\,2}+13t_1-26t_2-12&=0 \\ 5\left(2t_1 t_2-3t_2^{\,\,2}+7t_1-14t_2-12\right)&=0 &\dots (\diamondsuit ) \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow & 13t_1-26t_2=7t_1-14t_2 \\ \\ \Leftrightarrow & t_1=2t_2 \end{align}$$
が必要である。これを$(\diamondsuit)$に代入すれば$t_2^{\,\,2}-12=0$となって$t_2=\pm 2\sqrt{3}$を得るが、$t_2$は集合の中で2番目に大きい要素なので$t_2=2\sqrt{3}$が判る。
 このとき、集合
$$\begin{align} \left \{ 2t_2,t_2,k,\frac{12}{k} \right \} = \left \{ 4\sqrt{3},2\sqrt{3},k,\frac{12}{k} \right \}\,\,\,(k<0) \end{align}$$
において($k>0$の場合は$k \geq t_2$または$\displaystyle \frac{12}{k} \geq t_2$が成り立つため除外できる)、$t_2=2\sqrt{3}$の偏差値が$\displaystyle 50+\frac{10}{\sqrt{3}}$であることを確かめられる(証明略)。よって$\displaystyle 50+\frac{10}{\sqrt{3}}$は本問の解の1つである。


$Case\,\, 3.$ $P=-12$の場合
クリックすると証明が現れます
 $Case\,\, 2.$と同様に考える。特に大変なのが式の展開。4つの要素からなる集合
$$\begin{align} \gamma_1 = \{ t_1,t_2,1,-12 \} , \,\, \gamma_2 = \{ t_1,t_2,2,-6 \}, \,\, \gamma_3 = \{ t_1,t_2,3,-4 \} \end{align}$$
のいずれにおいても、$t_2$の偏差値は一定であることを利用しよう。この偏差値を$10h+50$とおくと、偏差値の定義より
$$\begin{align} &\left \{ \begin{array}{l} \frac{\displaystyle t_2-\frac{t_1+t_2+1-12}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+1^2+12^2}{4}-\left(\frac{t_1+t_2+1-12}{4}\right)^2}}&=h \\ \frac{\displaystyle t_2-\frac{t_1+t_2+2-6}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+2^2+6^2}{4}-\left(\frac{t_1+t_2+2-6}{4}\right)^2}}&=h \\ \frac{\displaystyle t_2-\frac{t_1+t_2+3-4}{4}}{\displaystyle \sqrt{\frac{t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+3^2+4^2}{4}-\left(\frac{t_1+t_2+3-4}{4}\right)^2}}&=h \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow &\left \{ \begin{array}{l} \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-11\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-11\right)^2}&=h^2 \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-4\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-4\right)^2}&=h^2 \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2}&=h^2 \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow &\left \{ \begin{array}{l} \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-11\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-11\right)^2}&=\frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-4\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-4\right)^2} \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-4\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-4\right)^2}&=\frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2} \\ \frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2}&=\frac{\displaystyle \left(t_1-3t_2-11\right)^2}{\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-11\right)^2} \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} {\displaystyle \left(t_1-3t_2-11\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-4\right)^2\right)&={\displaystyle \left(t_1-3t_2-4\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-11\right)^2\right) \\ {\displaystyle \left(t_1-3t_2-4\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2\right)&={\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+40\right)-\left(t_1+t_2-4\right)^2\right) \\ {\displaystyle \left(t_1-3t_2-1\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+145\right)-\left(t_1+t_2-11\right)^2\right)&={\displaystyle \left(t_1-3t_2-11\right)^2}\left(\displaystyle 4\left(t_1^{\,\,2}+t_2^{\,\,2}+25\right)-\left(t_1+t_2-1\right)^2\right) \\ \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} -56(t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}-30t_1 t_2+45t_2^{\,\,2}-20t_1+16t_2-180)&=0 \\ -24(t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}-10t_1 t_2+15t_2^{\,\,2}+20t_1-64t_2-60)&=0 \\ 80(t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}-24t_1 t_2+36t_2^{\,\,2}+13t_1-50t_2-144)&=0 \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}&=30t_1 t_2-45t_2^{\,\,2}+20t_1-16t_2+180 \\ t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}&=10t_1 t_2-15t_2^{\,\,2}-20t_1+64t_2+60 \\ t_1^{\,\,3}-4t_1^{\,\,2} t_2+3t_1 t_2^{\,\,2}&=24t_1 t_2-36t_2^{\,\,2}-13t_1+50t_2+144 \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow &\left \{ \begin{array}{l} 30t_1 t_2-45t_2^{\,\,2}+20t_1-16t_2+180&=24t_1 t_2-36t_2^{\,\,2}-13t_1+50t_2+144 \\ 24t_1 t_2-36t_2^{\,\,2}-13t_1+50t_2+144&=10t_1 t_2-15t_2^{\,\,2}-20t_1+64t_2+60 \end{array} \right. \\ \\ \Leftrightarrow &\left \{ \begin{array}{l} 3\left(2t_1 t_2-3t_2^{\,\,2}+11t_1-22t_2+12\right)&=0 \\ 7\left(2t_1 t_2-3t_2^{\,\,2}+t_1-2t_2+12\right)&=0 &\dots (\clubsuit ) \end{array} \right. \\ \\ \Rightarrow & 11t_1-22t_2=t_1-2t_2 \\ \\ \Leftrightarrow & t_1=2t_2 \end{align}$$
が必要である。これを$(\clubsuit)$に代入すれば$t_2^{\,\,2}+12=0$となるが、そのような$t_2$は存在しないため矛盾
 よって、この$Case$は問題に不適である。


 以上3つの$Case$を考えた結果として、本問の解は$\displaystyle 50+\frac{10}{\sqrt{3}}$に限られる。




あとがき ~この部分に入れる文章は朝4時のテンションで決めています~

 Aはゲーム終了後、直ちにこの事実を見抜いたという。ゲームの会場で紙とペンを取り出し、場の空気も読まずに黙々と計算したのだろうか。それとも、この程度の事実は暗算で導けたのだろうか。謎は深まるばかりだが、いずれにせよ、いかにも数学者らしいエピソードであろう。勿論フィクションである。


 本問を解く鍵はどこにあったか。それは、「Aが2位であったこと」、「3位と4位のスコア自体は不必要で、その積だけを用いてAの偏差値が算出されたこと」、それから「同順位の参加者がいなかったこと」の3つだ。
 最後の1つは一見役に立っていないように思われるが、実際には補題を解く過程で強く貢献している。それを確認しよう。補題において$x=y=0$とすると、これは$(x+1)(y+1)=1$を満たし、かつNのスコアが2番目に大きい状況は覆らない。だが、このときNの偏差値を計算すると$\displaystyle 50-\frac{10}{\sqrt{3}}$になってしまう($\because$ $0$はスコアの平均である$\displaystyle \frac{0+0+0+1}{4}=\frac{1}{4}$よりも小さい)。補題の解が存在しなくなるのだ。補題が解けなければ原題も解けないので(原題においては4人のスコアが$2,1,1,1$である場合が考えられる)、このケースを除外するために「同順位の参加者がいなかったこと」はどうしても必要だった。


 最後に解説(もしくは別解)を検討すると、副次的な結果として「題意を満たす得点分布において、1位のスコアは2位のスコアの2倍である」という性質も得られている。こちらも興味深い性質だ。もしも読者がこのゲームに(読者含め4人で)参加して2位となり、1位が読者のスコアの2倍となっていれば、本問と同様の状況を迎えているかもしれない。の可能性に賭けて、直ちに3位と4位のスコアの積を訊いてみよう。ゲームの名前は知らないけれども。
 本問を通じて、新たなる偏差値erが誕生することを微かに望む。
 長かった。前回の「テストと8人の受験者」で「HTMLコードも含めて7000文字以上書いたのだが」などと甘えたことを言っていたのがもはや懐かしい。今回はなんと約29000文字(HTMLコードも含めて)。「別解を書こう」と思った時点で間違っていたのかもしれない。
投稿日:2021824

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主に初等幾何・レムニスケート。時々偏差値・多重根号。 「たとえ作曲家が忘れ去られた日であっても、彼の旋律が街並みを縫って美しく流れていますように。」

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