筆者は、この話題について知ったばかりの素人です。面白さを共有したくて記事を書いていますが、内容の正確性について責任が取れません。ご了承ください。
ピタゴラス数とは、正整数の組
ピタゴラス数を全て決定することは、
が一般解となる。
この事実は、有理数の世界から飛び出して、
と簡単になり、その解は
で与えられる。さらに、
と書くことができる。ここで
以降、この記事では、この
尚、途中から体論についての基本的な知識を要求するが、筆者自身が素人のため、深入りはしない(できない)。コホモロジーについては、前提知識を要求しない。
示すべき主張を改めて記そう。
これは、単に複素数の問題として、次のように示すことができる。
このとき, ある
より,
となる.(証明終)
あっさり証明が終わってしまいましたが、この記事はまだ終わりません(ですます調に変えます)。
実は、上記の証明は、コホモロジーの言葉で書き直すことができ、一般化するとヒルベルトの定理90が得られます。
元の問いより一般的な場合について、同様の結果になることが知られています。
この定理は、群コホモロジーを用いて以下のように表現することができます。
これにて、タイトルのピタゴラス数,ガロア群,コホモロジーが全て出揃いましたが、果たしてこの式はどういう意味なのでしょうか・・・
非負整数
の元を
また, 群準同型
により定める. すると,
はコチェイン複体であるという.(正確な定義は他の文献を参照のこと)
さらに,
を
を
を
コホモロジーの用語は、双対概念であるホモロジーの方で考えた方が分かりやすいかもしれません。ホモロジーというのは、雑に言えば、コホモロジーの準同型の向きが逆になったものです。準同型として、
図形に対して、
次に、サイクルの説明をします。これは、言葉のイメージ通り、端が途切れていない図形、つまり境界をとると
全てのバウンダリはサイクルですが、全てのサイクルがバウンダリであるとは限りません。例えば、トーラス上に、穴に引っかけるような閉曲線を考えます。これはサイクルですが、トーラス上のいかなる面(
トーラスの例
ホモロジー群は、このような、サイクルとバウンダリにどれくらい差があるかを表す量であり、図形的には、穴の個数などの位相幾何的な情報を持ちます。
チェイン複体
さて、長々と説明を書きましたが、今回の内容では
まず,
次に準同型の計算をします。
です。
また,
です。
なので、ちゃんとコチェイン複体になっていることが確認できました。
群コホモロジーの準備が整ったので、実際に
より,
が分かります。つまり、ノルムが
ここで、ヒルベルトの定理90(コホモロジー版)が活躍します。この定理の主張は
でした。従って、問題は
コバウンダリの計算は簡単です。
です。
これらの結果を合わせると
となり、元の問題をコホモロジーの問題として扱い、同じ結果を得ることができました!
次回は、今回の複素数による解法をコホモロジーの言葉に変換することで、ヒルベルトの定理90を一般的な場合について証明します。