積分の技法01です。積分でよく使う技についてまとめていきます。
今回の記事では、複素数を用いて計算量を減らす方法について解説します。
まずは、
こちら
の記事をご覧ください。
途中式に$\Re$というものが入っています。これを使うと途中式を減らせるよ!ということを詳しく解説していきます。
簡単に定義について説明します。$\Re f(z)$は$f(z)$の実部、$\Im f(z)$は$f(z)$の虚部です。
$\Re$($1+2i$)=$1~~~~,~~~~\Im$($e^{iz}$)=$\sin z ~~(\Im z=0) ~~~~$ などとなります。
これがどういう役に立つの?と思う方もいると思うので、実際に問題を考えてみます。
$$ \displaystyle \int_0^1 \cos\log xdx $$
この問題を考えてみましょう。まずは普通に解いてみます。
$
\begin{eqnarray*}
&&\int_0^1 \cos\log xdx\\
&=&\int_0^\infty e^{-t}\cos tdt~~~~~(x=e^{-t})\\
&=&-\left[e^{-t}\cos t \right]_0^\infty -\int_0^\infty e^{-t}\sin tdt\\
&=&1+\left[e^{-t}\sin t \right]_0^\infty-\int_0^\infty e^{-t}\cos tdt\\
&=&\frac12
\end{eqnarray*}
$
こうなります。ここではかなり略していますが部分積分は面倒ですよね。
そこで$\Re$や$\Im$の出番です!これを使って解いてみましょう。
$
\begin{eqnarray*}
&&\int_0^1 \cos\log xdx\\
&=&\Re\int_0^1 x^idx\\
&=&\Re\frac1{i+1}\\
&=&\frac12
\end{eqnarray*}
$
なんと!計算量が激減しました。計算量が減ると計算ミスをする可能性が減るので嬉しいですね。
これは様々なところで役に立ちます。特に三角函数と指数函数、対数函数で構成されている積分ではこの技法が高確率で使えるので是非試してみてください。