3次元の回転変換を四元数で記述する方法を紹介します。なお、この内容は先日開催された 第3回すうがく徒のつどい の「四元数と回転」で話した内容の一部です。その際の 講演資料 では計算を省略しましたが、今回は計算も書きます。
四元数の乗法は非可換である点に注意してください。実数と実数の積や実数と虚数との積は可換です。しかし、虚数と虚数の積は可換とは限りません。
四元数
四元数
共役と大きさのあいだに次のような関係があります。これは実際に計算することで分かります。この関係は後で計算に使います。
四元数
共役と内積のあいだに次のような関係があります。これは実際に計算することで分かります。この関係は後で計算に使います。
実部を持たない四元数、すなわち次の形の四元数を純虚四元数と呼びます(
純虚四元数と3次元ベクトル空間のベクトルを、次のように対応させます。
純虚四元数
これは3次元ベクトル空間の外積と対応しています。
純虚四元数
この関係から次が導けます。これは後で計算に使います。
四元数を使って、3次元空間の回転を次のように記述できます。
大きさ
ただし、
なお、
「四元数による回転」の定理の証明ですが、実は「 ロドリゲスの回転公式 」に帰着できます。
この右辺を、四元数と3次元空間の対応を考えてベクトルの記述にすれば次のようになります。
これは、「ロドリゲスの回転公式」そのものです。したがって、「四元数による回転」の定理が証明できます。
あとは、
これを、各項ごとに計算していきます。
途中で、純虚四元数の外積の関係式を使いました。また、最後の変形は2倍角の公式
ここで、四元数の内積の関係式から次が分かります。
ここから、
以上から、
最後の変形は2倍角の公式
これで、無事に四元数による回転の式をロドリゲスの回転公式に帰着させて証明できました。