はじめに
代数学の演習結果をメモしていくものです.今回は巡回群に関する基本的な問題を持ってきました.
その他の問題たちは
こちらのまとめページ
から見れます.よろしければリンクをご利用ください.
更新履歴
(2022/8/8):解答を少し修正しました.
問題と解答
間違っている方
証明を表示
で群の単位元を表す.まずを素因数分解すると
となる.よってSylowの定理より,にはSylow7部分群とSylow17部分群とSylow47部分群が存在する.Sylow17部分群の個数はの約数でで割った余りがとなる整数であるが,そのような整数はしか存在しない.これよりはの中で正規となる.同様に,もの中で正規となる.よってはの正規部分群である.とは互いに素なのでが成り立つ.従って,群論の一般論から
が成り立つ.ここでもの正規部分群であることが示されれば,はの部分群で,とが互いに素であることから,
が成り立つ.すると,であることからとなるので証明が完了する.よって示すべきはがの正規部分群であることである.
まず,がの中で正規であることから,はの部分群である.とが互いに素であることからの位数はである.これより,はのSylow7部分群であり,その個数はの約数でで割った余りがである整数となる.そのような整数はしか存在しないので,はにおいて正規である.はにおいても正規であるから,
が成り立つ.即ち,は可換部分群である.すると,任意のに対して
が成り立つ.これより,へのの共役作用(ここが間違っている.と共役な部分群がのみかどうか分からないのでそのような作用はまだ定義できない)は,へのの共役作用を引き起こす.即ち,とにおいて共役な部分群はへのの共役作用による軌道の元で尽くされる.その軌道の元の個数はの約数であるが,そもそもにおけるSylowの定理よりと共役な部分群の個数はもしくはであったので,しかとり得ない.従ってもの正規部分群であり,題意は示された.(証明終)
修正された方
証明を表示
で群の単位元を表す.まずを素因数分解すると
となる.よってSylowの定理より,にはSylow7部分群とSylow17部分群とSylow47部分群が存在する.Sylow17部分群の個数はの約数でで割った余りがとなる整数であるが,そのような整数はしか存在しない.これよりはの中で正規となる.同様に,もの中で正規となる.よってはの正規部分群である.とは互いに素なのでが成り立つ.従って,群論の一般論から
が成り立つ.ここでもの正規部分群であることが示されれば,はの部分群で,とが互いに素であることから,
が成り立つ.すると,であることからとなるので証明が完了する.よって示すべきはがの正規部分群であることである.
まず,がの中で正規であることから,はの部分群である.とが互いに素であることからの位数はである.これより,はのSylow7部分群であり,その個数はの約数でで割った余りがである整数となる.そのような整数はしか存在しないので,はにおいて正規である.よって
がにおいて成り立つ.の演算とにおける演算は一致しているから,これはにおいても成り立つ.
のSylow7部分群全てからなる集合をとし,のへの共役作用を考える.Sylowの定理から全てのSylow7部分群は互いに共役であるので,この作用は推移的であり,の軌道が全体に一致する.よっての元の個数は(はの固定部分群)の位数に等しい.ところで,式(1)からはを含む.すると,
となる.よっての位数,即ちの元の個数はの約数である.におけるSylowの定理よりの元の個数はもしくはであるから,その値はしか取り得ない.従ってもの正規部分群であり,題意は示された.(証明終)
感想
素因数分解をしてSylowの定理,といういつものやつですね.
今回使った事実
剰余群の元は上にバーを付けて表します.
を群,をの部分群とする.がの正規部分群であるとき,は部分群である.も正規ならはの正規部分群である.
証明を表示
任意のに対して
が成り立つ.よってはの部分群である.も正規であるとすると,任意のと任意のに対して
が成り立つので,はの正規部分群である.(証明終)
を群,をの正規部分群とする.このときが成り立つ.特にであるとき,が成り立つ.
証明を表示
補題1よりはの(正規)部分群である.任意のに対して
が成り立つので,である.これはではを意味する.
写像をに対してを満たすものとして定める.すると,任意のに対して
が成り立つので,は群準同型である.その定義から明らかには全射.がを満たすとすると,となる.よって
となるので,である.ならは明らかであるから,
となる.よって準同型定理より同型
を得る.(証明終)
を群,をの部分群とする.がの正規部分群であるとき,同型が成り立つ.特に,が有限群であるとき,位数に関して
が成り立つ.
証明を表示
は部分群の中でも正規であることに注意する.からへの自然な準同型をとすると,は全射でその核はである.よって,準同型定理より題意が従う.後半はこの同型から明らかである.(証明終)
Sylowの定理
を有限群とし,その位数をとする.をの素因数とし,(はと互いに素)と表す.このとき,の部分群でを満たすものが存在し,これをSylow部分群という.また,の全てのSylow部分群は共役であり,その個数はを満たす.
証明
自明である(冗談です.長いから略しました).(証明終)
今回の記事は以上です.
最後までお読み頂きありがとうございました.
[1]
永田雅宜, 復刻版 大学院への代数学演習, 現代数学社, 2021
[2]
代数学1 群論入門, 雪江明彦, 日本評論社, 2010